劇場公開日 2009年2月7日

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生のレビュー・感想・評価

全156件中、141~156件目を表示

4.0これ観たあとあてどもなく街を歩いちゃいました(苦笑)

2009年2月26日

泣ける

悲しい

萌える

本当は「チェンジリング」が観たくてわざわざ時間まで合わせて映画館に行ったつもりが時間を勘違い。やむなく20分後に上映だった本作を観ることにしました。

それから2時間40分画面に釘づけ。一糸の乱れも感じさせないような映像と老いていき若返っていく主役二人の特殊効果が素晴らしいのです。本作の主役は、その二人を演じたブラット・ピット&ケイト・ブランシェットと特殊効果につきるでしょう。

内容的には脚本が弱く、いまひとつ設定との一体感を感じません。でも観ている間はそれが気にならないくらい、自然体で演技する二人がとても良いのです。(「レボリューショナリー・ロード」のレオ&ケイトWのがつがつした演技とは大違い)

総合的には傑作といえる程の作品ではありませんが、わたくし個人的には人生について考えさせられたという意味でとてもインパクトのある作品でした。映画というものは総合的にパッとしなくても、何か一つつかみのあるものがあれば心に残るものなのだと思ったものです。生き急ぐのは間違っているが、それでも人生は刻一刻と終わりに近づいている。そんな事思うと泣けてきちゃいました。

欲を言えば本作はデビッド・フィンチャーではなくフランスのパトリス・ルコントに作ってほしかったです。

でも最近観た映画の中では珍しく心に染みる良い映画でしたよ。

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あんゆ~る

2.0ブラッド・ピットは永遠の美男子である。

2009年2月25日

単純

幸せ

という定説を再確認できる作品。彼が演じる老人時代のうまさに注目が集まりがちだが、個人的には、20代(あるいは10代後半?)まで遡っていった姿の演技はまさに秀逸だと思う。
ケイト・ブランシェットも負けじと10代後半の役どころを演じきっているが、そこはさすがオスカー女優、見事である。
「生まれた時が老人で、年をとるにつれて若返っていく」主人公の「不自然さ」がテーマではあるが、主演ふたりの演技力の高さから、そこがすべて「自然」に見える。そこがこの作品の最も評価されるべきところ。
ただ、やはりタイトルに「人生」とあるだけに、全体として主人公の「人生」を淡々と追うだけになってしまった。そういった意味で、ストーリー性の凡庸さ(盛り上がりに欠ける)は否めず、正直、「つまらない」気分になる。

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mira

4.5あるいはファンタジーかも

2009年2月19日

泣ける

知的

萌える

最初の赤ちゃんはびっくりでした。年とともに若くなる主人公をブラビが演じていますが、年寄りの演技は素晴らしかった。おとぎばなしのような映画でした。

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未散

4.0この作品すごく哲学的なテーマを感じました。 それは無常と永遠。でも全然深刻にならないは、人と人との出会いに喜びを描いているからでしょう。

2009年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 この作品すごく哲学的なテーマを感じました。
 それは無常と永遠。
 監督は、登場人物に永遠という言葉を何度も語らせ、「8」という数字の意味とかハチドリの舞に腐朽・普遍を暗示させていました。
 だけれど、物語はベンジャミンの若返りしていく加齢と周りの老人たちの死や恋人のデイジーが老けていくところを見せていき、人生は無常なんだということを際立たさせていきます。
 ベンジャミンがデイジーとの時間のズレに耐えられなくなったとき、彼女は永遠ってあるのよと励ました言葉が印象的です。
 デイジーは永遠って、具体的には答えなかったけれど、彼女が語る「みんな人と違う人生を送っていると思うけれど、たどる道が違うだけ。結局同じなの」というセリフには、いのちとは「大河の一滴」、大きないのちの大海に注がれてひとつに結ばれるという意味も込められているように思えました。

 また養老施設で育つ幼少時代の死期の迫った老人たちに囲また生活。「幼い」ベンジャミンは、自らの外見と同じ周囲の人の死と間近に接することで、やがてくる自分の運命も悟ることができたのではないかと思います。その達観したことが、やがて自身の家族との別離する決断に繋がっていったのでしょう。

 ベンジャミンが味わう不条理は、結局彼を孤独と絶望に追い込んでいくことになります。普通の人なら老いていくと、やがて死を迎えることになります。しかしそれはいつのことか決まっていないことが、わずかな救いとなっているのですね。けれども、ベンジャミンの場合、80代相当の年齢で生まれて、日々若返っていくなら、あと何年生きられるか、その変化のスピードから、察しがついてしまいます。
 自分があと何年生きられるか、予想がついてしまう「無常じゃあない人生」なんて、どれだけ当人にとって、「苦」であったでしょうか。

 でも画面から全然ベンジャミンの深刻さは伝わってきません。それは演出において、彼の内面に踏み込んでなく淡々と描いていることも関係しているかもしれません。
 また彼が人生の途次で出会う素晴らしい人との一期一会に喜びと充実感を漲らせているところを多く描いているからだとも思えます。
 ラストにワンカットずつ再登場する、ベンジャミンに関わり死んでいった人たち。それら人々のショットに監督の深い哀惜の思いを感じずにいられませんでした。無常という言葉の響きは、悲しいものがあります。しかし、こんな素晴らしい出会いももたらすものなら、喜びでもありますよね。
 あとデイジーとひさびさに出会う場面が、印象的でした。『少年』時代から、憧れていいて、海の仕事に就いてからも、寄港時に欠かさずハガキを送り続けていたデイジーがいきなり大人の女に化けていた衝撃。しかも淫売のようにいきなり激しく求められたら「若い」ベンジャミンが引いてしまうのも無理からぬもの。
 二人の時間のズレというのが、際だったシーンでした。

 それにしても、ふたりがやっと同じ時間を刻める40代になって、本格的ラブストーリーが始まるまでが、長~い伏線と言えます。ここまでくるまでになんと1時間半もかかります。その間、こんな事もあんなこともありましたよとエピソードは繋がっていくのです。でも2時間47分は長い。もっと前半は短縮してもよかったのではないでしょうか。
 ただ前半のエピソードは、ブラビの老け役のリアルさ見せつけるところだから、仕方がないのかもしれません。
 加えてデイジーのバレーを踊るシーンは、きれいでしたね。演じているケイト・ブランシェットは、幼いころバレエを習っていたそうです。だから『エリザベス』でも華麗なダンスを披露できたわけなんですね

 最後に皆さん、この物語の本当の主人公は、何だと思います?
 小地蔵は、冒頭に登場した駅に付けられた大きな時計だと思うのです。その時計を作った時計職人は、第一次世界大戦で息子を失いました。息子を蘇らせて、元の平和な時代を取り戻したいという思いから時計は、逆回転していきました。
 この時計が逆回転を始めた1918年に、ベンジャミンは誕生し、彼が亡くなる年に時計もまたデジタルに付け替えられました。
 この時計の生涯をベンジャミンに託して描いた作品なんだと思うのです。

 この時計がリタイアして倉庫にしまわれ、台風による浸水で、水没しかけたとき、何故か止まっていた時計は、突如右回りに動き始めます。
 そのエンディングシーンにどんな意味を監督は込めたのでしょうか。意味深ですね。

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流山の小地蔵

4.0生きて死んで

2009年2月13日

泣ける

老いて若返る事と若く誕生し、老いていく事と
自分ならどちらが良いだろうと考えさせられた。

劇中、逆に動く時計がゆっくりと針をを進めて行く様に
この作品も静かに物語りを展開していく。
だからこそ、『ベンジャミン・バトン』という人の一生を
ゆっくり感じながら見る事が出来たのだろうと思う。
作中に漂う静粛な雰囲気は、人の一生を描くには良いトーンだったように感じる。

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橘哉

4.540年後のブラピに逢えた!?^^

2009年2月12日

悲しい

幸せ

摩訶不思議なストーリーとは言え、
人間の生と死をシリアスに描いた映画。
その中に、切ないながらも温かい愛情や
外見にとらわれない無垢な気持ち、
いつかは訪れる死を覚悟しながら
相手を思いやるという優しい話。
淡々としてる分、ちょっと長いなぁ~と感じたのも事実ですが、
後からじんわりと心が温かくなる映画です^^

ケイト・ブランシェット扮するデイジー。
誰もが魅了される美しい彼女が、年月を経て年老いていく中、
愛するベンジャミンが若返っていくのって、
一緒にいて、切ないものがあったろ~なぁ~^^;
・・・って同じ女性として
ちょっぴりショックなものを感じてしまいましたが
デイジーの決意には目頭が熱くなりましたね。

それにしても。。。
イケメンって何歳になっても素敵なんっすね☆
老年のブラピも、なかなかの紳士顔(^o^)
そしてそして。。。
40年後のブラピの顔を見るのも得した気分ですが、
なんたって、今回は若い時のブラピにも逢える!!!
・・・っつ~ことで
かなりウキウキ!ウハウハでした\(^o^)/

ケイト・ブランシェットも相変わらずお綺麗で・・・^^
思わずため息が出るほど!!!
二人は以前にも共演してるせいか、ぎこちなさはなく
大人の雰囲気があって良かった^^

いつかは訪れる死。
それまで、自分なりに精一杯生きたいものです。

        2月10日109シネマズ高崎にて観賞

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ゆりこ

4.0淡々とした描写に静かな涙が流れる・・・

2009年2月11日

泣ける

ポスト『フォレスト・ガンプ』といわれるのが納得。
ストーリー展開は、ドラマティックという感じではなく(シチュエーションは限りなく独創的だけど)淡々と描写が続くだけ。
感動のクライマックス~!大きな泣き所はないけれど、なぜか涙が流れる映画でした。

人は
老いも若きも、金持ちも貧乏も、
優しい人も、意地悪な人も
きれいな人も、そうではない人も
誰もが「死」にむかっていくわけだよね。

何ももたずにこの世に生まれ
死ぬときも、何ももっていかない。

この映画を観ると、
肉体や、身体的な「老い」と
魂、精神的な「成熟」って
まったく別のものなんだなぁ~と思います。

シンプルなことなのに
どうして、こうも忘れてしまうんだろう、外見的なことに左右されてしまうんだろう?
「人は人生をどう生きるかという過程が大事」
映画の中で出てきたこの言葉が心にしみいります。

ベンジャミンの中年(=外見は青年)の姿に
ブラッド・ピットの若かりし頃の初々しい姿をひさしぶりに見ました。懐かしかった。
ケイト・ブランシェットも非常に好演です。
ダンサーとして踊るシーンが美しいです。

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sumomo3gou

4.0何が幸せかわからない

2009年2月11日

知的

見終わって、年をとって死ぬのと、若返って死ぬののどちらがよいかと友人とまじめに話してしまいました。人生何が起きるかわからないというセリフが繰り返し出てきますが、ベンジャミンのように波瀾万丈の人生を送れたら、年に関係なく幸せなんだろうなと思いました。
フィンチャー監督の映画なので、ひりひりとした感触の映画かなと勝手に思っていましたが、ユーモアのある穏やかな映画で意外でした。

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さくら

4.5眠いけど好き。

2009年2月9日

泣ける

単純

断片的なドラマが普通すぎるし,
周囲への気遣いが感じられず,
自分の結末を悟っていたとはいえ
自分勝手に見えるバトンに感情移入が出来なくて,
ラブストーリーには入り込めなかった。

展開が退屈で,睡魔が度々襲う。

ところが中盤,見方を,
「人生のエピソード集」に切り替えると,
俄然,面白く感じて画面に見入った。

映画ならではの手法で有り得ない嘘を語る設定と,
斬新な映像で興味を惹きながら,
数々の出会いと別れを経験するある男の生涯を追体験することで,
希望,後悔,切なさに満ちた多種多様な人間の生き様が浮かび上がり,
美しく輝く素晴らしい人間賛歌,
人生のロードムービーに,静かに感動した。

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AKIRA

4.0老いていく切なさが・・・

2009年2月8日

悲しい

いやあ、切ないです。
老いていく悲しさを見事に描いています。

ケイト・ブランシェット
ティルダ・スィントン
の2名はホントにうまいです。

この二人にはCGは入りません。
メイクだけで、演じ分けできますから!!

あとは、老人時代のブラピ
・・・笑った顔が可愛いです。
中年時代がちょっと・・・・

ブラピ×フィンチャー
でまた、傑作を作って
しまいましたね!!

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shinematsuyama

4.0育ての母の無上の愛。そして、二人の実らない恋。

2009年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

実は、あまり見に行こうと思って居なかったんですが、2008年度第81回アカデミー賞で、最多の13部門(作品賞、主演男優賞(ブラッド・ピット)、助演女優賞(タラジ・P・ヘンソン)、監督賞(デヴィッド・フィンチャー)、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、メークアップ賞、作曲賞、音響賞、視覚効果賞、脚色賞、編集賞)にノミネートと言う話を聞いて、見に行ってみました。アカデミーに功罪はありますが、それでも、アカデミーノミネート作品に駄作は無いと思ったので。

人が若返って行くなんていう話は、ファンタジー以外にはありえないんですが、ファンタジーがファンタジーでなく作られています。物語は、次第に若返っていくブラッド・ピット演じるベンジャミン・バトンが、タラジ・P・ヘンソン演じる育ての母クイニーに優しく育てられながら、ケイト・ブランシェット演じるデイジー(雛菊なんて、凄い名前ですね)と衝撃的な出会いをし、それぞれ別の人と恋をした後、二人で一緒になる・・・かと思いきや、別れてしまうと言う恋物語(長い説明でスイマセン)。別に物凄いジェットコースター物語と言う訳ではないんですが、お互いを思いつつ、なぜかすれ違う二人の姿は、正に悲哀ですね。人の愛(育ての母の愛、恋人との成就する事の無い愛)を描いた映画と言って良いんでしょうね。

アカデミー主演男優賞にノミネートされているブラッド・ピットの事はさておき、意外に、ベンジャミンの育ての母クイニー役のタラジ・P・ヘンソンが良いです。見ず知らずの、しかも、不気味な姿をした赤ん坊を育て上げる愛情たっぷりの女性の姿を、存在感たっぷりに演じています。助演女優賞ノミネートも納得です。

物語の舞台は、あの大被害を出したハリケーン・カトリーナの日のニューオリンズ。映画の最後に、時計が洪水に流されてしまうという映像は、何か象徴的なモノを感じました。って言うか、その時計が掛け替えられたと言うこと自体が、ベンジャミンそしてデイジーの人生を象徴する事だったのかもしれません。

不思議な話の割りに、何故か不条理な感じはせず、結構見入る事が出来た映画なんですが、物語の結末が思いっきり端折った感じがするのは、ちょっといただけません。もっとも、その頃のベンジャミンを描こうとすると、ブラッド・ピットを使うのはもはや不可能なので、仕方が無いとも言いますが。まぁ、最後はそんな感じですが、全般的には、良い意味で裏切られました。

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勝手な評論家

5.0フィンチャー流、人生賛歌

2009年2月7日

泣ける

楽しい

幸せ

あれは私がまだ10代の頃です。
当時、斜に構え、尖がってて、知った風な口を聞く、そんな愚かしい若者でした…
その真っ只中に出逢った映画が『セブン』です。
…ド肝を抜かれました。衝撃でした。自分の社会への反発精神が、全部バカらしく思えました。
それ程の衝撃だったんです…彼の映画との出逢いは。

それからです。本格的に、映画というものに、のめり込んだのは…

私にとって、デビッド・フィンチャーの名は絶対です。
敬愛しております。
特に今回、『セブン』、『ファイト・クラブ』で組んだブラピが主演なら、絶対観ない訳にはいきません。
内容は二の次です。フィンチャー監督が撮った映画なのですから。
絶対、絶対なのです。

セブンでは、デビッド・ミルズ刑事でした。
ファイトクラブでは、タイラー・ダーデン。
今回、僕の出逢った人物は、ベンジャミン・バトンです。
彼について思ったこと、感じたことは沢山あります。
映画手法についても、ストーリーについても…
ですけど、敢えて、ここには書きません。

只、感じたことは、言わせてください。

間違いありません。
傑作です。
私は泣きました。
デビッド・フィンチャーが、私の敬愛する監督だからではありません。
映画を愛する人間なら、絶対観るべき映画だからです。

どうか、どうか…心から映画を愛する方々…

穿った評論精神など持たず、ニュートラルな気持ちで、この映画を楽しんでください。
斜に構えて損をするのは…あなたです。
そして、心底楽しめるのも、またあなたなんです。

映画を、楽しんで下さい。

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ロロ・トマシ

4.0「当たり前さ」に深い意味があった秀作

2009年2月6日

単純

幸せ

人は泣きながら生まれてくる・・・大凡の場合そうである。
では、老いた姿で生まれてくることは?・・・人の歴史に於いて一度もそのような事例はないだろう。
なので、普通の感性でそんなことなど思いつきもしない。
面白いことに、そこに着想を得て短編小説を書きおろした作家が唯一存在した。
それはF・スコット・フィッツジェラルド;Francis Scott Key Fitzgerald、ヘミンウェイとも双璧をなすアメリカ文学界の巨匠だ。
第一次大戦後の弊害(大恐慌も含み)により、青春期を嫌がおうにも国家社会へと費やされた彼ら。
失われた世代;Lost Generationと称され、ブルジョアジーに色取られた旧世代への憤りともいえる作品が目立つ。
どこか諦めと皮肉めいた内容、それを熱のこもった文体で綴るあたりが特徴だ(すべてがそうとは限らないが・・・)
そんな感受性高き作家陣の中にフィッツジェラルドも含まれた。
代表作「グレート・ギャッツビー」以来、奇抜な着想による隠れた逸品の映画化である。

「80歳の容姿で誕生し、歳をとる毎に若返る」というベンジャミンの人生を人気俳優のブラッド・ピット;Brad Pittが演じている。
特殊メイクを施し、老齢期から青年期あたりの風体の演出は興味深く見れる(さすがに幼少期は無理なので、その辺は子役だったりするが)
カッコいいブラピな場面も結局多いが、一貫して落ち着き払ったような演技に評価を称えたい。
実に淡々とした性格派な一面をみせてくれている。
「90年代のジェームス・ディーン」とも称されたミズーリ大学出身の彼も中年層の一員。
「ファイトクラブ」や「トロイ」などで見せたアクションや派手さとは違って、表情や何気ない動きで演じ切っている。
ケイト・ブランシェット;Cate Blanchettの、脇を支えるような助演振りも美しくしなやかだ。
彼女も年代ごとに容姿を変化させ、その成り切り振りは頷ける。

この主人公は有りえない奇抜な運命の下に生きた設定ではあるが、気負いを感じさせず起伏の激しさも無い。
むしろ当たり前な人として当り前な日々を全うしただけである。
まるで「フォレスト・ガンプ」を彷彿させるような生き様だ。
出会い、別れ、愛情や悲しみ・・・etc.人生のダイナミズムに潜む機微そのものは時も場所も関係なく一律なもの。
確かに自ら選べない境遇の下に強いられたシーンも窺えるが、本質的には大げさなことなど何一つ訴えてない。
ただ誠実に一人の主人公があらゆる事象を受け入れている。
その人生を2時間47分の物語で完結させている。

誠実な流れ・・・多分今の映画界では再検討されている最中なのかもしれない。
人間ドラマの主軸そのものを改めて謳っている。
シリアス路線の印象が深いデヴィッド・フィンチャー監督が新たに踏み出す側面として見ごたえもある。
昨今のハリウッド映画と言いつつ良い意味で「らしくない魅力」だ。
少し年代が遡って「シネマ」とか「銀幕」などと称された頃の名画リメイクといった趣にも近い。

生まれ逝く・・・一言で括るには、あまりに強引ではある。
でもこれが揺るぎない最大のテーマだ!
如何にしてドラマティックに生きるか?ではなく、如何にして当り前に生きるか?
むしろそのほうが意義ある生き方なのかもしれないと改心させられる。

過去や未来という概念で比べるのではなく、「今」という気づきが大事だ。
日々一つ一つの刻みは、本当に重みと深みに満ちている。

訪れる事象に対して、手を抜いたり逃げたりすることは、実に損益大きい行為なのだろう。
真っ当に人生と向き合わなければ・・・と思わせる。

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jack0001

4.5じんわり効いてくる・・・

2009年1月29日

泣ける

悲しい

老人の体で生まれ、年々若返っていく一人の男…という
現実的には全く有り得ない設定のストーリーで
冷静に考えれば突っ込みどころ満載なのかもしれないけれど、
人の愛と生と死という非常に普遍的なテーマを描いた作品で
そんなことは気にならないくらい入り込んでしましました。

観る前から(予告を観た時点で)泣くだろうなぁ、ってことは
予想できてましたが、やっぱり泣いてました…。
だって、最愛の人とすれ違っていくって…悲しすぎます。
特に女性ならきっと尚更、歳を取る一方の自分に、
若返っていく彼…って 辛いですよね。
通じあえた、と思ったらやっぱり二人の時間のベクトルは
逆を向いている訳で。とても切ないです。

主演のブラッド・ピットとケイト・ブランシェットの演技が
自然だからこそ、この映画に説得力が生まれたんだろうと思います。
あと、暖かく守ってくれたお母さんが素敵でした。

観ている間より、観終わった後の帰り道で色々思い出して、
自分はこれから周りの人の死をいくつ経験していくんだろう…
とかそんなことを考えてしまい、なんだかボディブローみたいに
じわじわと悲しい気持ちになって来ました…。

それぞれの年代で色々と考えさせられる映画ではないでしょうか。
もう少し歳を重ねて、例えば身近な人の死を経験したり、
自分の死についてもっとリアルに考えるようになってから観ると、
もっと違った感じ方をするだろうし、感慨深いものがあるかも。

最後に付け足すと、試写会なのに立ち見まで出ていたこと。
これには驚きでした。注目度の高さが伺えます。
色んな年代の人に観てもらいたい映画です。

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ゆきだるま

3.5とにかく長い

主演女優、助演女優の熱演が素晴らしかったが、ただ、残念ながら長すぎて、ところどころストーリー的に飽きることが多かった。あんなに長くせずにもう少しコンパクトにしたほうがよかったと思う

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デルフィニューム

5.0これは凄い! 傑作の誕生!

2008年12月7日

泣ける

悲しい

知的

先日の試写会で観ましたが、いやはやすごい映画でした!
2時間47分、目が釘付けでした!
オカルト・パニック・ホラー・アクション映画ではなく「愛の物語」なのに・・・・・
80歳の姿で生まれ 0歳で生涯を終えたベンジャミンの数奇な人生を描いた これはもう 宣伝文句ではないですが 本当に一生に一本心に残る名作ですよ!
だから 絶対にオスギには宣伝させて欲しくないですね!(一生に一本が彼には何本もあるようだから・・・笑)
波乱万丈以上の数奇な人生が時計を逆回しにしながら(ネタバレになるのでこれ以上は詳しくは説明しません)ニューオーリンズを舞台に実際に近年にあったハリケーンをもうまくストーリーに絡ませて展開していきますが、難解でもなくそれでいて 監督の描くメッセージはストレートで強烈です!
CGが メイクはもちろんのこと いたるところに使われているのに SF映画ではなく あり得ないストーリーからファンタジー映画と認めつつもこんなにも丁寧に人の命の尊厳を讃える映画が誕生したことに 驚きとともに感謝しています!
最近は 何でも可能にしてしまうCGだから・・・とケチをつけたくなる映画もありますが この作品ほどそのCG技術の進歩のおかげで原作では想像もつかない よりビジュアルな感動体験をさせてくれたという点で効果的であり映画に最適な題材でもあります。
自分の人生をも見つめなおさせてくれる 誰にとっても何かが得られる映画ではないでしょうかね!
中年以上の方は よりのめり込んでしまうでしょうねえ・・
実際、自分もラストに近づくにつれ身震いするほどの感動を覚えました。きっと「ビッグ」や「フォレスト・ガンプ」などを思い出しながら観てしまう人もたくさんいるのでは・・・・

確かアカデミー賞の今年度の対象となるのは12月25日までに公開される
作品だと思いましたから 全米公開がその25日(日本は2月7日)なので アカデミー狙いはもちろんなのでしょうが、まずはノミネイト7つ以上は確実だしメイキャップ賞は当然獲るでしょうねえ。エンドクレジットを見る限り かなりの日本人がこの特殊メイクに参加しているようです。

ブラピは久しぶりに 素晴らしい作品に恵まれましたね!
「ジョー・ブラツクをよろしく」のブラピに陶酔した女性たちには あの頃のブラピに会えるし「インディ・ジョーンズ」のおばさん・・・いや失礼(!)ケイト・ブランシェットの才能溢れる美しさにも脱帽!
そしてフィンチャー監督の丁寧で重厚な絵作りには参りました!

とにかく これは絶対に観落して欲しくない傑作です!
今年のベストに入れたいけれど公開が来年なので来年のベスト作品が
もう決定したとでもいえるでしょうか!

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愛すれど心さびしく