「完璧、とまではいかないけど何回観ても面白い名作」アイアンマン NandSさんの映画レビュー(感想・評価)
完璧、とまではいかないけど何回観ても面白い名作
前提として
・多分6回目。
・原作と思しきものは未読。
・ジョン・ファブロー監督の他作品だと、MCU系列作品と『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を視聴済。
何回観ても面白い。
そもそもが異色のヒーロー像だと思う。特にスパイダーマンを見慣れている自分にはそう見えた。
能力は自分の知能と発明品頼り。女好きで酒飲み。自分の過ちに気づいてヒーローへと転身した人物。正体を自ら(←ここ大事!)世間に公表する。
良くも悪くも印象に残りやすいと思う。シリーズの第一作目として"トニー・スターク"の物語を選んだのは、大胆ながらも納得の決断だと思う。特に2024年現在となっては。
そんで言わずもがな、ロバート・ダウニー・Jr.さんの演技が素晴らしい。
日本人には"トニー・スターク"のイメージが無い。それでも一発で遊び好きの金持ちであることが伝わる。
さらには女好きで酒も呷り、天才だが自信過剰。それでいて子供っぽい。欠点だらけの人物を非常に建設的で好意的に演じている。
本来であればマイナスなイメージの方が強い。しかし、拉致され、命を救われ、改心する展開から始まることによって、マイナスからプラスに少しづつ変化していくように計算されている。ファンが多いのは、演技力と脚本の賜物だろう。
そういえばアドリブ多いのかな……? だとしたら非常に巧い。
ペッパーとの関係性も"大人の恋愛"って感じがして良い。親友のローディとの絡みも小気味良い。悪役は悪役として分かりやすい……などなど、人間関係のバランスも丁度良い。
脚本はもちろん素晴らしいが、画も全体的に美しくて見やすい構図。静止画で観ても楽しめる。
音楽もロック主体で、金属の質感と爆発を感じる。スパイっぽさも多少ある?
後の作品で起こりがちな、"MCU要素"によって作品が間延びしたりカットされたりすることも無い。特にSHIELD関係。これぐらいでちょうど良い。
もちろん"アイアンマン"スーツのかっこよさも忘れちゃいけない。赤と金のカラーリング。トライ&エラーの様子と少しづつ実装されていくアップグレード。
魔術や異星のテクノロジーとは違い、絶妙にあり得そうな工学とか科学の塊なのもグッド。妄想が捗る捗る。第一作目にしてプロトタイプとスタンダードを持ってきたのは妙技。次作からどんな進化が観られるのか、超絶楽しみになっていく。
地味に、"アイアン・モンガー"のデザインもめちゃくちゃ練られてて好き。オバディアの性格と技術力がよく出ている。
小気味良さを優先して違和感の残るカットがあったり、ギャグが似通っていたり、インセンの影響力が薄かったり、と気になるところはあるが"歴史に残る名作"と呼んでも過言じゃないだろう。
MCUの記念すべき一作である前に、何回観ても飽きない異色なヒーローオリジン。そんな作品。
余談だけど"不器用アーム"が好き。色々言ってるけど手放さない辺り、トニーも案外気に入ってるんだろうな。