ICHIのレビュー・感想・評価
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平成三大女剣士
稚拙自ブログより抜粋で。
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鑑賞前は「愛が見えたら、きっと泣く」とのキャッチ・コピーにヌルい恋愛映画になってたらやだなぁと危惧していたんだが、なかなかどうして色恋成分は最小限に抑えられた至極まっとうなチャンバラ娯楽時代劇として楽しめた。
(中略)
最初に断っておくと、2003年の北野武版『座頭市』は観てますけど、世代的に間に合っていない勝新太郎の元祖座頭市シリーズはまったく観たことがありませんので、勝新版との比較はできません。
そんなわけで“座頭市”にはそれほど思い入れはないんだが、“女剣士もの”は結構好きなジャンルで、そういう意味で期待に応えてくれたのがまずはともあれ嬉しい。綾瀬はるか演じる女座頭市がなかなかかっこいいのだ。
近年の女剣士といえば上戸彩の『あずみ』シリーズ(1:2003年 北村龍平監督、2:2005年金子修介監督)が有名だろうが、これまで自分の中ではその上戸彩のあずみを含め、『さくや 妖怪伝』(200年原口智生監督)で安藤希が演じた咲夜、『修羅雪姫』(2001年佐藤信介監督)で釈由美子が演じた雪の三人を“平成三大女剣士”と呼んでいたんだけど、この綾瀬はるかの市が上戸あずみに取って代わったな。あずみは金子監督の2の印象が悪すぎた。
北野武版『座頭市』は北野監督らしいバイオレンス風味をまぶしつつもいたって正攻法な娯楽チャンバラに徹していた印象だったけれども、本作も女座頭市という新機軸こそあれど、王道をゆく娯楽チャンバラである点は踏みはずしていなくてすこぶる好印象。いつの時代にも通じる座頭市の魅力、強いてはチャンバラ時代劇の魅力がここでも健在ということか。
綾瀬はるかといえば『僕の彼女はサイボーグ』(2008年 クァク・ジェヨン監督)でのとぼけた可愛らしさが記憶に新しいのだが、本作ではそれとはまた違う可憐な力強さで魅了してくれる。
正直この二作を観るまではとりたてて興味の湧かない女優さんだったんだけど、今年のこの二本で見方が変わった。ファンには今さらかと言われそうだが、いい味持ってるわ。
ただ、殺陣シーンはそこそこ様になっているんだが、三味線の演奏は練習が足りないらしく、ほとんど顔のアップでごまかしているのが気になった。そういうシーンでもきっちり魅せてこそ殺陣シーンが際だつってものだから、手抜かり無くやって欲しい。
一方、二枚目を演じることの多い大沢たかおの茶目っ気は楽しいし、歌舞伎役者でもある中村獅童の悪役ぶりもまさに貫禄の芝居。大沢たかおの刀を抜けない芝居や中村獅童演じる万鬼の高笑いなど、いい意味でデフォルメされた芝居臭さがここでは心地いい。
万鬼の魔の手から宿場町を守ろうとするヤクザの息子・虎次を演じた窪塚洋介も、ヘタウマなのか計算された芝居なのかわからない魅力があって可笑しい。前半はひ弱なダメ息子っぽさが強調されるんだけど、クライマックスでは妙に頼もしい兄貴っぷりに惚れ惚れとする。
そう、これはリアリティより芝居小屋で観る演劇のような見せ物に徹したエンターテイメント映画なんだ。
説明的な市の独白やチャンバラシーンで多用されたスローモーション、市が十馬を想うシーンでのわかりやすいフラッシュバックなどに演出過剰を感じることもありはしたが、最初に危惧した「愛が見えたら、きっと泣く」そのままのクライマックスに嫌味は感じられず、素直に感動させてもらった。
綾瀬はるかの演じる市の今後の活躍も見たいと思わせるに充分な快作。ぜひ続編を作って欲しい。
期待してなかったけどはずれ。
なんじゃ~これ?
もったいない
勿体無い感じがしました。役者たちは凄く役にハマッていたんですよ。綾瀬はるかの座頭市も、大沢たかおの侍も、中村獅童の野党も、窪塚洋介なんて久々にハッチャけた窪塚みること出来たし。
でもね、肝心の物語の主題がぶれていると思った。
この話って『綾瀬はるかの座頭市物語』というよりは『大沢たかおの侍物語』だとボクは観てて思ったんです。市と侍が出会うことでお互い影響し合って変わっていくんだけど、侍の方の心理描写の方が作りこまれているし、こっちを主題に持ってきた方が絶対しっくりくると思う。
タイトルはインパクトあるから『ICHI』のままにしといてさ、話はもう完全に侍の話にしちゃうんですよ。『ドラえもん』が、「ドラえもん」が未来から来ることによって変わっていく「のび太」の成長物語だとしても、タイトルを『のび太』にしないことと同じにさ。
侍の心理描写を描ききって終わりにすりゃ良かったのに、どうしても主役の市で締めたくてまた上乗せしてブレちゃった感じになっていた。
なんとも勿体無いと感じてしまうのでありますよ。
監督さんはよっぽど綾瀬はるかが好きなんですね
綾瀬はるかは素敵なんだけどね・・・。
はるかちゃんは素敵なんだけどね~。
でも元からはるか好きの私の意見なのでこの映画を観てはるかが好きになるかどうかっていうとよくわかんないのです。
というのも、女座頭市をやっている!という言葉でいうほどのインパクトを映画の中で感じられるかって~とどうなのかしら?と思っちゃう。
殺陣とかはかっこよくうまくやってはいるんだけど、それってその時だけの印象で全体通して「市」という女性の感情の移り変わりの波というものが伝わってこないんだよね・・・。
彼女は“静”のキャラクターだけどクライマックスで今まで静だった彼女に強い“動”の感情が表れる、そこをもっと激しく描いたのなら「市」という女性をもっと強く印象に残せたと思うんだけどね。
そしてそれ以前にというか、ストーリーが全然面白くなかった。
目新しいのは綾瀬はるかが座頭市ってだけ後の主要三人、大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介はなんかいつもと同じような役。
そして話の展開もまたそれか!という流れ。
正直そんな結末よりも今まで一人で人を寄せつけず生きてきた市が誰かとともに歩くことを決めると決意するまで過程を描いた方がずっと深みが出るし、面白くできたし、感動したと思う。
終わりもすっきりするしね。
時代活劇としてはいいけど座頭市を強調するなら大沢たかおのキャラクターをおさえた方がよかった
勝新太郎、ビートたけしが演じた座頭市をまさか綾瀬はるかがやるってことにまず驚きなんだけどこれはリメイクではなく座頭市をベースにはしているものの全く別ものとして描いている☆
性別を女性にすることでバッシングからも逃げられるってこともあったのかもしれないけど勝新の座頭市らしきキャラクターもチラリと登場するなど憎い演出もあってなかなか楽しめる時代活劇に仕上がっている(>_<)
綾瀬はるか主演だから余分なシーンがたくさんあるのかと思ったけど直球の時代活劇で単純に楽しむことができて映画としてそこそこ満足のいく出来になっている(>_<)
ただ綾瀬はるかファンにとっては今回かつてないほど彼女がボコボコにされるから辛いシーンはあるかもしれない(>_<)ただこの人はちゃんと女優魂を持ってる女優だということを確信させられたね☆
さすがに綺麗な顔を見せるため勝新みたく目をつぶってしいないから盲人という点ではリアリティにかける感じもするけどこの映画に関しては仕方ないしそう感じたの は勝新の演技が上手すぎたからかもしれない(>_<)
この映画を観る前にいくつか勝新の「座頭市」シリーズを観たんだけどさすがに今が旬の女優があそこまでやるっていうのは無理だろうね(@_@)
この作品実は影の主人公というか下手したらこっちのほうがメインにも思えるくらい大沢たかおが活躍していてこのキャラクターのストーリーを孤立させても十分に成立するから2つの映画が合体したような感じがするしラストもおいしい所をかっさらっていく(@_@)
個人的にはこれはこれで楽しめたけど座頭市というものを強調したいのであれば大沢たかおのキャラクター性は少し控えめにしたほうがよかったとは思うよ(>_<)
うん~
なぜ綾瀬はるか?
感動と興奮が中途半端。
なめたらいかんぜよ
予想外に良かった
はるかの低音、歌声、純情。 魅力が満載!
綾瀬はるかは本作で、完璧に女座頭市のキャラを打ち立てたと言っていいでしょう。
市は、ずっと瞬きもせず
うつろな目で虚空を見つめていました。
肉の目が見えぬばかりか、
過酷な境涯を送るうちに
こころの目も閉ざしていたのです。
境目が見えない。
それは単に見えないのとは違います。
生きることと死ぬことの境すら、
見えない深い絶望のなかを彷徨う
苦悩そのものであったのです。
いつ崖から転げ落ちるのか、解らない。
いつ騙されて背中から刺し殺されるかもしれない。
他の人の善と悪のこころの境すら見えないから、
市のこころは人に向かって固く閉ざしていたのでした。
「別に生きていたいとも思っていませんけどね。」と
突き放したように語る市の心境には、
冥府魔道に生きる子連れ狼と同様の
生死を超えたものの凄みすら漂っていたのです。
登場人物がそれぞれに深い業を宿し、
求めるものは得られないという四苦八苦の無常の風に
人生を弄ばれていく様が克明に描かれていておりました。
女流脚本家の手によって、「切なさ」をテーマに市のこころを描かれた脚本なんだそうです。うわべの「切なさ」を超え、「刹那」の深みまで掘り下げていると思います。そして刹那なんだけど、人は繋がっているのだという救いを巧みに、著していきます。
その象徴的なシーンとして、絶体絶命のピンチの市に、ある人が手を差し伸べて市がそれをしっかり掴むところがあります。その人の「生きろ」という一声に、一瞬市の顔が綻ぶところが印象的でした。
この一声をきっかけに、市は境目が見えるように変わったのでした。殺伐とした舞台背景ながら、しっかり希望も描かれているので、見終わったとき心地よさを感じると思いますよ。
「あずみ」見たいなアイドルものの時代劇を連想していたけれど、しっかりした世界観を持った作品でした。
綾瀬はるかは本作で、完璧に女座頭市のキャラを打ち立てたと言っていいでしょう。何がすごいかといって、2時間通して一度もまばたきしてないことです。おまけに目力を込めていて、虚空を見つめ続けているです。もちろんシーンごとにカットは入ります。たとえワンシーンでもこの表情を続けることがどれほど大変か、皆さんご自身の身で試していただきたいものです。とにかくすごい演技だったと思います。
大沢たかおのトンマな十馬役もはまり役。彼の2枚目でも3枚目でも両対応できるし、顔つきがガラリ変えられるという能力が生きています。どうしょうもないへっぴり浪人が、意外や意外。本来の自分の持つ能力を、市と出会うことで開花させていく十馬の存在も、本作の大きな魅力です。彼がどんなヘンシンをするのか、是非見届けてください。
中村獅童が演じた、敵役であり人を切りまくる残忍な万鬼。彼にも訳ありで、同情の余地を感じさせる哀愁があるところがよかったです。なぜだか憎みきれない奴なんです。
窪塚洋介は、万鬼と対立する宿場町の若親分を演じていました。なかなかいなせで好演していましたが、存在感の重み、凄みではライバルの万鬼に負けていましたね。窪塚はもう少し自分の役に自信を持つ必要があると思います。
そして、全編を通じて曽根監督の巧みさ感じました。
冒頭の登場編から、凍えるような豪雪の夜のシーンが市の人生を暗示させておりました。掴みとして、一気にICHIの世界に引き込んでしまうのです。そして、イントロでかぶる音楽がバラードなんです。さすが配給はワーナー・パイオニアだけあって、音楽も洋物なんですね。映像も「ラストサムライ」に似た、洋画の雰囲気たっぷりでした。
それでいて、宿場町での決闘シーンは、どこか黒澤作品の『用心棒』を彷彿させます。きっと監督自身は、黒澤作品へのオマージュを込めているのでしょう。ただ表現において、要所にCGを目立たぬよう使っているようです。
チャンバラシーンも個性的で、「300」のようにコマ落としとスローモーションとCGで人が斬られる様を、克明に描いていたのが印象に残りました。
時代劇の伝統を継承しつつ、最新の映像表現も取り入れている点で、CGからピンポン映画まで撮る『無国籍監督』としての真骨頂のような作品です。
もう一点、巧みさを感じさせるのが、市の過去の描き方です。
時折、市が回想することで、市がなぜ天涯孤独になったのか。市が消息を探している育ての親の座頭市らしき人物のことなどが次第に明らかになります。
普通カットバックを多用すると、ストーリーが混乱しがちです。けれども本作では、回想シーンはすべて台詞を抜き、彩度を抑え、はっきりと現在と過去の違いにメリハリをつけて描いています。台詞抜きでも、市の悲しい過去が充分に伝わるところが巧みですね。
追伸
ちなみに、殺陣も三味線も撮影半年前から練習を初めて、吹き替えなしで本人が演じたそうです。
おかげても足の爪は割るは、全身打撲状態になるやら、満身創痍に。それでも殺陣で型が決まってくると、すごく楽しくなるらしく、喜々としてやっていたそうです。市としての立ち回りは、自信があるらしく、知人には「どう、かっこよかったでしょ」と自慢げに話しているようです。
本作で、綾瀬はるかはシリアスにイメチェンしたと思われる方がほとんどでしょうけれど、撮影は1年前に終わっていて、その間に重いテーマのドラマ撮影が続けて入ったので、本人はそんなに新境地を開いたとは考えていないようです。
バッタバッタと悪を切る痛快さ。当の本人が頑張って体当たりしているから、それっぽく見えるのですね。
アンジーといい、ミラ・ジョヴォヴィッチといい最近の銀幕の世界では、強い女が台頭しています。同姓の女の子でも、強い女性にあごがれを持つのでしょうか。
その点市は、へっぽこ浪人の十馬ですら守ってやりたいと華奢なんだけど、いざとなったら「ワタシ実は強いんですぅ」と格好良く居合い切りを決めてしまう意外性が同性からも支持されると思います。
役作りは、座頭市シリーズよりも、『はなれ瞽女おりん』を参考にしたそうです。
綾瀬はるかが可愛いです。
必見!十人斬り。
あの「座頭市」が女性版になってスクリーンに現れた。
監督は「ピンポン」の曽利監督。
一体どんな仕上がりなのか?興味津々で観た。
観てみてビックリ。
綾瀬はるかちゃんが、こんなに芝居が上手い女優さんだとは知らなかった。
普段は「ぽわん」としたイメージの彼女ですが、今回は顔色の悪いメイクで
全編通して殆ど笑顔が無い ダークな役を見事にこなしていました。
ものすごいギャップ。いい意味で裏切られた感じ。
見せ場となっている殺陣のシーンは 特訓を積んだとあって迫力満点!
伏し目がちに、表情を乱さずバサリ、バサリと斬っていく市には
女でもちょっと惚れそうになった。
大沢たかおさん演じる十馬はホントにイライラするくらい情けなく、
中村獅童くんと竹内力は やりすぎだろ?ってくらいの悪役ぶり。
窪塚くんは何をやっても「窪塚洋介」、ちょんまげつけてても
それは変ってなかったけど、刀を抜くシーンだけは、メッチャ格好よかった!
市を助ける小太郎役の少年は いい味出してました。
最後の対決シーンは 西部劇を思わせる演出でちょっとニャッとしてしまう。
黒澤映画に影響を受けたハリウッドの西部劇を更に逆輸入・・・みたい。
チンピラの衣装がやたら派手だったり、悪役勢のかなり大げさな芝居や演出が
目立つものの、決して薄っぺらな仕上がりにはなっていないのは
やっぱり 市の静かな存在感のお陰だと思う。
ところどころポンと入る庄内の田園風景も美しい。
ピンポンでも対決した窪塚&中村 再度対決!!っていう
オマケもついていて、本人達もちょっと感慨深いものがあったそうな。(窪塚談)
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