4ヶ月、3週と2日

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4ヶ月、3週と2日

解説

チャウシェスク独裁政権によって個人の自由が制限されていた80年代のルーマニア。大学生のオティリアは、ルームメイトのガビツァの違法中絶を手助けするべく準備を進めていた。ところが、手術当日に思わぬ問題が発生する。ルーマニアの新鋭クリスティアン・ムンジウ監督が、ヒロインたちの長い1日をリアリズムに徹底した映像で描き切り、2007年カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを獲得した社会派ドラマ。

2007年製作/113分/ルーマニア
原題または英題:4 Luni, 3 Saptamani si 2 Zile
配給:コムストック・グループ
劇場公開日:2008年3月1日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第65回 ゴールデングローブ賞(2008年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  

第60回 カンヌ国際映画祭(2007年)

受賞

コンペティション部門
パルムドール クリスティアン・ムンジウ

出品

コンペティション部門
出品作品 クリスティアン・ムンジウ
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(C)Mobra films 2008

映画レビュー

3.0不自由な社会体制の中で…

2023年8月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「聞くところによれば」ということなのですが、本作のタイトルになっているのは、本作の製作国のルーマニアで人工的な中絶が(安全に?)施術可能な期間ということだそうです(日本の場合は21週と6日)。

本作は1987年の時代設定ということですけれども。すでに母体保護法の拡大解釈で、子供をおろすことの刑法的な罰則(妊婦自身についての自己堕胎罪、関与した産婦人科医の業務上堕胎罪)は、すでに空文化していたのが、当時の(そして今の)日本であったと思います。

せっかく授かった子どもを手術してしまうことについては、当事者となる男女の倫理観だけでなく、育てて行けるかという経済的な問題や、宗教的な戒律などもあり、簡単に是非を論じることができないとは思いますが、本作の場合は、軍事独裁下の何かと不自由な社会というのが本作の背景設定ですから、広く女性一般の人権や女性に固有の権利(産む自由etc.)についての軽視・無理解があったように思われました。評論子には。

そして、そういう時代(社会)背景が、本作のペペのような悪徳?産婦人科医を産み出していたということになるのでしょうか。

「希望のない時代の希望のない問題」とくくってしまうことはたやすいかも知れませんがら本作で唯一の「救い」といえば、全部をおえ、ホテルのダイニングで食事をしようとしていたガビツァの表情がとても柔和だったことでしょうか。
(食事をしようとしていたということは、体調の回復を窺わせるだけでなく、気分が良くなり食欲が戻ったということで、(幸いにも)母体にも問題は残らなかったことも意味しそうです。)

いずれにしても、生理として望まない妊娠という「危険」を常に(一方的に?)負っている女性の側には、また違った感慨のあった一本ではなかったかと思いました。

佳作であったと思います。

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talkie

4.0なぜそこまでする

2023年8月15日
Androidアプリから投稿

ヨーロッパ新世紀の予習で鑑賞
なぜか本人ではなくルームメイトのために
所謂闇人工中絶手術の手配に奔走するお話
その内容にも驚く、えぇっそんな場所で?
ルーマニアについて詳しければ行動原理にも納得なんだろうけど謎要素多し
当の本人のガビツァさんがアホ過ぎて呆れる、主人公はなぜあんなに親身なんだろう?しかし映像は中々リアル、長くて疲弊する様子や当時の女性達の息(生き)苦しさみたいなものは充分伝わった

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ゆう

4.0ルーマニアEU加盟直前に撮られた映画

2020年4月17日
Androidアプリから投稿

この映画を見た欧米人と我々日本人とでは感じ方がそれぞれ違うのではないかという気がふとした。のぞまない子供を妊娠してしまった友人ガビツァの中絶を助けるために奔走するけなげな女の子オティリアのお話は、「困ったときはお互い助け合おうよ」という一昔前の日本だったら当り前(?)の相互扶助精神を素直に描いた作品だからだ。

中絶場所を確保するために官僚的なホテル従業員と折衝したり、手術費用を補うためにもぐりの医者に我が身を捧げたり、肉の塊のような堕胎した赤ちゃんを友人の代わりに決死の覚悟で捨てに行ったり・・・・。個人主義の発達した欧米人が見れば、「なんでそこまでしてあげなきゃならんの」という疑問をきっと抱くにちがいない。しかも、労働力確保のため避妊も中絶も許されていなかったチャウシェスク政権末期の貧しいルーマニアにおいてである。

オティリア以外の登場人物たち(中絶施術を受けたガビツァ本人、SEXのことしか考えていない大学のボーイフレンドや医者、内輪話に花を咲かせるボーイフレンドの家族、官僚的に接するヤル気のないホテルの従業員)は、他人の困惑などはおかまいなしで自分のことしか考えていない。それでも友人の面倒を最後まで見ようとするオティリアを通して、監督は観客に何を伝えようとしたのだろう。

はるか昔、統一後間もないドイツのライプチヒ(旧東ドイツ)を観光で訪れたのだが、そこに暮らす人々の無垢なふるまいに驚かされたことがある。相手の弱みにつけ込んで少しでも有利に立とうとする西側自由主義国のこすっからさを微塵も感じさせない、(本作におけるオティリアのように)親切心の塊のような人の良さに感動すら覚えたものである。

監督クリスティアン・ムンジウのインタビューによれば、本作によってチャウシェスク政権圧制下の緊張感を描いたということらしいが、映画の真意としてそれとはまるっきり逆のことをいいたかったのではあるまいか。EUに加盟し共産主義国から自由主義国に移行するとは一体どういうことなのか。ガヴィツァのように自分のことしか考えていない利己的な人間たちと付き合っていくことになるのですよそれでいいんですね、と。

映画のタイトル『4ヶ月、3週と2日』とはまさに、一度自由主義を導入したらもう2度と後戻りできないという、祖国ルーマニア社会における人心の臨界点を暗にほのめかしたメタファーだったのではないだろうか。「迷ってないで早くEUに加盟しろよ」とばかりにけたたましくクラクションを鳴らす車に、あきらかな不快感を示すオティリアのアップで映画は幕を閉じる。コ口ナ禍の影響で幸か不幸か、仕事に追われる毎日から一服つけた感がある日本の働く皆さんへ是非オススメしたい1本である。

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かなり悪いオヤジ

3.0ガビツァに終始腹が立つ映画

2020年2月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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ままま