4ヶ月、3週と2日

ALLTIME BEST

劇場公開日:

  • 予告編を見る
4ヶ月、3週と2日

解説

チャウシェスク独裁政権によって個人の自由が制限されていた80年代のルーマニア。大学生のオティリアは、ルームメイトのガビツァの違法中絶を手助けするべく準備を進めていた。ところが、手術当日に思わぬ問題が発生する。ルーマニアの新鋭クリスティアン・ムンジウ監督が、ヒロインたちの長い1日をリアリズムに徹底した映像で描き切り、2007年カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを獲得した社会派ドラマ。

2007年製作/113分/ルーマニア
原題:4 Luni, 3 Saptamani si 2 Zile
配給:コムストック・グループ

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第65回 ゴールデングローブ賞(2008年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  

第60回 カンヌ国際映画祭(2007年)

受賞

コンペティション部門
パルムドール クリスティアン・ムンジウ

出品

コンペティション部門
出品作品 クリスティアン・ムンジウ
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2

(C)Mobra films 2008

映画レビュー

4.0ルーマニアEU加盟直前に撮られた映画

2020年4月17日
Androidアプリから投稿

この映画を見た欧米人と我々日本人とでは感じ方がそれぞれ違うのではないかという気がふとした。のぞまない子供を妊娠してしまった友人ガビツァの中絶を助けるために奔走するけなげな女の子オティリアのお話は、「困ったときはお互い助け合おうよ」という一昔前の日本だったら当り前(?)の相互扶助精神を素直に描いた作品だからだ。

中絶場所を確保するために官僚的なホテル従業員と折衝したり、手術費用を補うためにもぐりの医者に我が身を捧げたり、肉の塊のような堕胎した赤ちゃんを友人の代わりに決死の覚悟で捨てに行ったり・・・・。個人主義の発達した欧米人が見れば、「なんでそこまでしてあげなきゃならんの」という疑問をきっと抱くにちがいない。しかも、労働力確保のため避妊も中絶も許されていなかったチャウシェスク政権末期の貧しいルーマニアにおいてである。

オティリア以外の登場人物たち(中絶施術を受けたガビツァ本人、SEXのことしか考えていない大学のボーイフレンドや医者、内輪話に花を咲かせるボーイフレンドの家族、官僚的に接するヤル気のないホテルの従業員)は、他人の困惑などはおかまいなしで自分のことしか考えていない。それでも友人の面倒を最後まで見ようとするオティリアを通して、監督は観客に何を伝えようとしたのだろう。

はるか昔、統一後間もないドイツのライプチヒ(旧東ドイツ)を観光で訪れたのだが、そこに暮らす人々の無垢なふるまいに驚かされたことがある。相手の弱みにつけ込んで少しでも有利に立とうとする西側自由主義国のこすっからさを微塵も感じさせない、(本作におけるオティリアのように)親切心の塊のような人の良さに感動すら覚えたものである。

監督クリスティアン・ムンジウのインタビューによれば、本作によってチャウシェスク政権圧制下の緊張感を描いたということらしいが、映画の真意としてそれとはまるっきり逆のことをいいたかったのではあるまいか。EUに加盟し共産主義国から自由主義国に移行するとは一体どういうことなのか。ガヴィツァのように自分のことしか考えていない利己的な人間たちと付き合っていくことになるのですよそれでいいんですね、と。

映画のタイトル『4ヶ月、3週と2日』とはまさに、一度自由主義を導入したらもう2度と後戻りできないという、祖国ルーマニア社会における人心の臨界点を暗にほのめかしたメタファーだったのではないだろうか。「迷ってないで早くEUに加盟しろよ」とばかりにけたたましくクラクションを鳴らす車に、あきらかな不快感を示すオティリアのアップで映画は幕を閉じる。コ口ナ禍の影響で幸か不幸か、仕事に追われる毎日から一服つけた感がある日本の働く皆さんへ是非オススメしたい1本である。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
かなり悪いオヤジ

3.0ガビツァに終始腹が立つ映画

2020年2月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
ままま

3.0なぜ吐いたのか?

2020年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
マツドン

3.5おおむねワンシーンワンカットで手持ちカメラ長回し多用の上、もしかして自然光のみ…?

2019年12月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

あらすじを把握してから観たのだが、説明を排して進んでいくので、むしろ事前情報なしで観た方がこの一日をよりダイレクトに味わえたかも知れない。
そもそも相手が会話にすらほとんど出てこなかったように思うが、何か見逃しただろうか。なんとか丸く収めてやり抜こうとする主人公がいつ爆発するかハラハラした。彼氏宅での会食シーンとかレストランとか。
もう彼氏ともルームメイトともうまくいかないように思うがさて。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
なお
関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る