劇場公開日 2009年6月27日

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 : 特集

2009年6月19日更新

人気アニメのシリーズ第2部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」がいよいよ6月27日に劇場公開を迎える。第1部「」こそTVシリーズと共通する部分が多かったが、「」からは“完全新作”と言われており、事前の試写も一切行われないので、ストーリーや詳しい内容については推し量るしかない状態だが、一体どこが旧作と異なるのか? 今回はあらためて、本作について伝わっている情報をまとめてみる。(文・構成:村上健一

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」はココが違う!噂の新要素を旧シリーズと比較検証

“完全新作”として製作されたという「破」の全貌は謎に包まれている
“完全新作”として製作されたという「破」の全貌は謎に包まれている

■イントロダクション~前作振り返り

一昨年9月に公開され、初日公開館数85館ながら興収20億円の大ヒットを記録、改めて「エヴァンゲリオン」の人気の高さを証明することになった「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」。それから2年、総監督・庵野秀明が95年のTVシリーズから12年の時を経て、世界観を新たに構築して送る新4部作の第2弾「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」がいよいよ公開となる。前回同様、作品の完成は公開直前ギリギリ、漏れ伝わってくる情報は断片的なものばかりという状況だが、旧シリーズと新4部作の比較、そして「」で登場する新要素、さらにはネット周辺で囁かれる“仮説”についてまとめてみた。タイトルの「」とは物語の構成を示す“序破急”の“破”だが、同時に破壊の“破”でもある。従来の物語がどこまで破壊されそして創り変えられるのか、その答えを楽しみに待とう。


■ここが違う!

旧シリーズ 新シリーズ
タイトル 新世紀エヴァンゲリオン ヱヴァンゲリヲン新劇場版 (※1)
構成 TVシリーズ26話+劇場版2本 「序」「破」「急」「?」の4部構成
公開時期 95年10月~96年3月(TVシリーズ)
97年3月、7月(劇場公開)
98年3月(リバイバル公開)
07年9月(「序」公開)
09年6月(「破」公開)
興行収入 約45億円(劇場版2作累計) 約20億円(「序」のみ)
製作/配給 EVA製作委員会/東映 カラー/カラー (※2)
テーマソング 高橋洋子 宇多田ヒカル
DVD売上実績 約450万枚(シリーズ累計/VHS・LD含む) 60万枚(「序」のみ。ブルーレイ版「序」は、初動売上4.9万枚を記録)
時代設定 2015年 不明
ストーリー 未曾有の大災害“セカンド・インパクト”の影響で、人類の半数が死滅した時代。次々に姿を変えてやってくる“使徒”と呼ばれる正体不明の敵を迎え撃つため、内向的な14 歳の少年・碇シンジは、汎用人型決戦兵器“エヴァンゲリオン”と呼ばれる巨大ロボットに乗り込む。彼は、同僚の美少女パイロット(綾波レイ、惣流・アスカ・ラングレー)と激闘をくぐり抜けていくが、やがて精神を疲弊させていく……。 物語序盤(「序」の段階)での基本ラインは同じだが、旧シリーズでは終盤で明かされる驚きの真実やキャラクター(渚カヲル)が早々と「序」で登場。特に、「破」では新キャラクター(真希波・マリ・イラストリアス)や新メカ(エヴァンゲリオン仮設5号機、6号機)の登場が予定されており、旧シリーズとは大きく異なるストーリー展開が予想される(新たな使徒も登場か?)。
【補足】
  (※1) 新シリーズの旧仮名づかい(「ヱ」「ヲ」)はそもそもの企画当初の表記。「新世紀」が外れたのは、現代が新世紀(21世紀)に突入したため。
(※2) 庵野秀明自らが製作スタジオ・カラーを「新劇場版」のために設立。制作から配給・宣伝を一貫して行うことにより、作品のコントロールを目的としたと思われる(「製作委員会」形式の走りとなったエヴァが、今度はそれを解体する役に回るとは皮肉な話)
【旧シリーズとの主な相違点】
  ・ネルフ本部地下に眠るリリスの存在が序盤で明らかに
・重要キャラクター、渚カヲルが序盤で登場
・新キャラクター、真希波・マリ・イラストリアスの登場
・エヴァンゲリオン仮設5号機、6号機の登場
・主要キャラクターの名称変更(惣流・アスカ・ラングレー→式波・アスカ・ラングレー)

大幅にリニューアルされた作画にファンも驚いた「序」 (「序」デジタルリマスター版/EVANGELION:1.11より)
大幅にリニューアルされた作画にファンも驚いた「序」 (「序」デジタルリマスター版/EVANGELION:1.11より)

旧シリーズは、95年10月から96年3月までテレビ東京系列で放送されたTVシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」全26話と、劇場版として制作された「DEATH」(TV版第壱話~第弐拾四話の総集編。97年3月の初出以降、2回の再編集が行われている)と「Air/まごころを、君に」(TV版最終2話のリメイクで、同2話と対を成す形)で物語は完結。対して「新劇場版」は、旧シリーズで描かれた物語をベースに、「」「」「急」「?」(完結編)の4部作、新たな展開と結末を用意する“新世紀のヱヴァンゲリヲン”として再構築するものだ。「」については、旧TVシリーズにおける原画素材の流用は行われたものの、それ以降のプロセスは新規で描き起こし。主要メカ等のデザインはリファインされ、新シーンの追加、最新3DCGの導入による画面効果の大幅なアップが図られており、クライマックスの“ヤシマ作戦”(TV版第六話「決戦、第3新東京市」に当たる使徒ラミエルとエヴァ初号機との狙撃戦)での描写は、観る者を大いに驚かせた。

この手法は、「」および「急」についても行われるはずだったが、ファンならご存知、「」のエンドクレジット後に挿入された「次回予告」パートで示唆された通り、第2部以降は旧シリーズとストーリーが大きく異なることが判明。「」からは、素材をすべて描き起こす“完全新作”として制作されることになっている。ちなみに、同時公開されることになっている「急」と完結編「?」だが、現在の公開予定日は“未定”。当初08年公開予定とされていた「」が、結局09年6月と変更されていることからも、大団円を迎えられるのはまだまだ先のことになりそうだ。

「序」の物語は大筋ではTV版と同じだったが… (「序」デジタルリマスター版/EVANGELION:1.11より)
「序」の物語は大筋ではTV版と同じだったが… (「序」デジタルリマスター版/EVANGELION:1.11より)

ストーリーについては、旧シリーズと新4部作の序盤「」での大まかな部分は同じ。14歳の内向的な少年、碇シンジが、父ゲンドウに巨大ロボット兵器エヴァンゲリオンのパイロットとして呼ばれ、未知なる敵“使徒”との過酷な戦いに身を投じる。心の成長とともに、周囲の人々=同居人であり上官の葛城ミサト、同じくエヴァのパイロットである綾波レイらとの絆を深めていく……という流れだ。ただし、旧シリーズでは終盤で明かされるネルフ本部地下に眠る巨人(リリス)の存在や、最後の敵として登場する渚カヲルが「」ですでに登場していたりと、明らかに“旧シリーズとは違う”という布石が打たれている(そして前述の「次回予告」!)。「」の見どころは、その“新要素”の数々といっても過言ではないだろう。

>>【次ページ】判明している新要素や気になる噂をチェック!

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画像4

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
デジタルマスター版 EVANGELION:1.11 YOU ARE (NOT) ALONE.

DVD:発売中/通常仕様 KIBA-1663/税込5040円
Blu-ray:発売中/BOX付デジパック仕様 KIXA-9/税込6090円

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