■1980年、光州市。両親を早くに亡くしたタクシー運転手の青年・ミヌ(キム・サンギョン)は、高校生の弟・ジヌ(イ・ジュンギ)の親代わりとなって懸命に面倒を見てきた。
そんなミヌは、ジヌと同じ教会に通う看護師・シネ(イ・ヨウォン)に想いを寄せていた。ある日、ミヌは、ジヌを交えた3人で映画を観にいくが、韓国軍空挺隊が民衆に暴力を加えている現場に遭遇してしまう。
◆感想
・今作を観ると、この10年後に公開され大ヒットした「タクシー運転手 約束は海を越えて」は、この作品に可なり影響を受けているのではないかな、と思ってしまった。
・この映画が公開されるまでは、軍部を掌握した全斗煥の指示による”光州事件”はタブー視されていたので、今作は大変に意義がある作品であると思う。
■そもそも、韓国軍空挺隊は上部からの指示とは言え、何故に民衆に実弾を発砲したのであろうかと思うが、個人的には韓国内での全羅道に対する歴史的な差別思想があるのではないか、と思っている。
実際にこの事件も、当初は全羅道出身の民主的政治家、金大中氏によるものとされ彼は死刑判決を受けている。(その後、無罪判決。そして、全羅道悲願の大統領になっている。だが、全羅道出身の大統領は、金大中氏だけである。)
・明らかに市民を標的にした韓国軍空挺隊の発砲シーンは実に恐ろしいし、ニュースで流れる”市民は全員無事です。”というアナウンスの中、対比的に描かれる銃弾に斃れていく一般市民たち。
・シネの元軍人である父を演じた韓国の名優であるアン・ソンギの存在は際立っている。市民軍の隊長として、死を覚悟しながら軍に対抗し、市民軍たちを鼓舞する言葉は、聞いていて涙が出そうになる。
<当然の如く、後年この事件や、つい最近公開された「ソウルの春」で描かれた12.12軍事反乱を起こした罪で、大統領になった全斗煥は死刑宣告を受け(その後、特赦)、死後も韓国大統領経験者としては、只一人国葬が行われなかった事も、当たり前だろうと思う。
日本の自衛隊は、近年の激甚化する気象災害の際に現地に出向いて、献身的に救助活動をしてくれている。
故に、私は憲法九条の改定には反対なのである。
相手国に銃を向ける軍隊は、場合によっては自国民に銃を向ける可能性があるのであるから。それは、第二次世界大戦の沖縄戦の歴史が物語っている。
故に私は、右傾化する日本の政治状況を、カントリージェントルマンの如く注視し、選挙には必ず投票し、民意を示す必要があると思っているのである。
韓国の光州事件を将来の日本で引き起こさないためにも・・。>