「なぜ戦争は避けられなければならないか?」告発のとき dobubobaさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜ戦争は避けられなければならないか?
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この映画では、イラク帰還兵の失踪事件が発端となり、その影に隠れた真相が少しずつ明らかになっていくのですが、他のレビューアーの方もおっしゃっているように、非常に後味の悪い、胸糞の悪い結末です。しかしながら、「ブッシュがもたらした最悪の結果」=「イラク戦争がもたらした本当の悪影響」というのは実は何の罪もない出征したアメリカの若者たちの心にあるのではないか、とつくづく思い知らされました。
私は現在アメリカに住んでいるのですが、同じアパートに住むアメリカ人男性がイラクからの帰還兵でPTSD(Post traumatic stress disorder)を患っており、極端な対人恐怖症です。まだ、戦争は終わっていませんが、これからもこのような馬鹿ブッシュの犠牲となった若者がこの国では増えていくのでしょう。
映画自体の完成度は素晴らしく高く、今回オスカーノミネートのトミー・リー・ジョーンズを始め、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドンも素晴らしい演技を見せてくれています。トミー・リー・ジョーンズは僕的には彼のベストとも言える渾身の演技で(ノーカントリーの上行きます)、特にラストのワンシーンは痛快で思わず拍手してしまいました。監督のポール・ハギスは「クラッシュ」でオスカー勝ち取りましたが、同じような手法で淡々と事件を紡いでいきます。考えさせられるだけでなく、映画としての完成度の高さからも是非見ていただきたい作品です。
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