「良質なSF冒険物語」ウォーリー 2501さんの映画レビュー(感想・評価)
良質なSF冒険物語
環境破壊によって荒廃し、人類が地球から脱出した時代。
地球に残されたのは、膨大なゴミとそれを片付けるロボットたちだった。
そんなロボットの一つであるウォーリーは、いつか誰かと手をつなぎたいと願いつつ、何百年もの間働き続けていた。
ピクサーが贈る遠未来SFアニメです。
物語冒頭では、荒れ果てた地球で延々とゴミの片付けをしている主人公ウォーリーの生活が描かれます。
そこに人類から送り込まれた探査ロボットイヴが現れたことで、物語は動き出します。
イヴと手をつなぎたいと願うもなかなか距離を縮められないウォーリーの姿は、なんだか青春恋愛映画でも観ているようで微笑ましかったです。
そうして序盤では地球での日々が描かれるわけですが、イヴが植物を発見し、人類の居る宇宙船に帰ることで舞台は宇宙へと移ります。
個人的には、宇宙船アクシオムの描写が凄く好きです。
システマチックに船内を動き回るロボット群に、彼らに頼りっぱなしで自ら歩くことも出来ない肥満体ばかりになっている人類。
船そのものはとても清潔で快適そのものですが、人類はそれを捨てて立ち上がり、母なる地球に帰還するという展開は胸が熱くなります。
また、アクシオムの艦長が自らの足で立ち上がるシーンに、名作「2001年宇宙の旅」で猿が文明を一歩を獲得したシーンを被せるという面白いかつ意義深い演出も最高でした。
エンドロールでは、平穏で聴き心地の良い曲と共に、地球帰還後の人類の生活が描かれます。
ロボットたちと一緒に農業をしたり漁業をしたりと、文明を否定せずかといって頼り切ることもしない、あるべき社会が描かれておりとても面白かったです。
本作はエンターテイメントとしても一級品なので、SF好きでなくても十二分に楽しめるでしょう。
文句なしの五つ星映画です。