おくりびとのレビュー・感想・評価
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とっても深~くて、あったかい
一言で言うと、とっても深~くて、あったかい、良い映画でした。
なかなか身近にはない、だけど誰もがいつかは目にするであろう
永遠のお別れの儀式・・・。
それを仕事とする「納棺師」という、特殊な職業だからこその苦悩や、
人への優しさなどが丁寧に描かれています。
笑えるところもあり、山形の美しい四季の景色あり。
美しいチェロの音楽ありと、盛りだくさん。
そして、泣きます。 感動します。 号泣です・・・。
鼻も目も大変なことになっちゃいました。
内容的にはオススメしたい映画ですが、注意点が1つ。
くれぐれも、ぐちゃぐちゃの泣き顔を見せても平気な相手を選んで
見に行く事をオススメします。
いつか来るその日のために
演出がもたつくせいで若干長く感じたり、「広末は何を演じても広末だなぁ」なんて、そのステレオタイプの演技にちょっと閉口したり、不満がないわけではない。でも、それを補って余りある魅力のある、丁寧に撮られた1本でした。「死」をテーマにしながらも、決して重過ぎず、むしろ軽い語り口で巧妙に語られている点も素直に胸に迫ります。と、いうことで08年を代表する1本になるだろうと思います。
役者陣では、本木扮する主人公が、その人柄にいつの間にか引き寄せられる社長を演じた山崎努が素晴らしい。また、吉行和子、笹野高史のコンビが非常にいい味を出してました。モックンも頑張っていたけど、大ベテランを前にすると、やっぱりちょっと霞んじゃったかな。(あと、この場を借りて峰岸徹さんに合掌)
それから「命」を象徴する食事のシーンがまた素晴らしい。人間は生きとし生けるものを自らの糧にすることでしか生きられないわけだけど、主人公達が美味しそうにフグの白子や干し柿、そしてフライドチキンにむしゃぶりつく姿は、食べることの喜びと食べ物への感謝がよく表現されていて、映画の魅力を格段にアップさせていると思う。
この映画を観ると、誰もが本作に登場する納棺師のような人たちに送ってもらいたいと思うのではないだろうか。いつか来るその日のために、誰もが観ておいた方がいい1本だと思う。
モックン、良い作品出てますね!
音楽家の夢破れた主人公は
妻と共に故郷 山形に移り住む事になったのです。
そこで手にした職は、
この世からの旅立ちをお手伝いする
納棺士という職業である。
最初は嫌だったこの職に何故か惹かれていく。
家族との最期のお別れには情感迫る物があり
亡くなった人への家族の想いが託される。
実は彼は、
自分の両親との想いをきちんとしたかたちで遂げていない。
その為、
幸せなかたちであの世に送ってあげる、
この職にこだわったのだと思う。
最後に、
父を見送ってあげた事により
彼はこの感情から卒業する。
今年の邦画でイチオシの映画です。
納棺師という仕事と生き方
見る年齢によって、印象が全く違う映画だと思います。
この映画で納棺師という仕事をこの映画ではじめて知りましたが、「綺麗」と一瞬感動を覚える一連の動作で、魅了されました。
音楽も素晴らしく、聞かせる所と静かに見せるところの静動がうまく描かれていたのが、印象的です。
少し涙がでますが、万人受けの映画だと思います。そして終わりに印象を話すと全く違うと思います。価値のある映画で、日本らしい映画でした!!
笑って泣ける 人は誰でもおくりびと おくられびと
笑って泣けるという評判を聞いていたのですが、予想以上に”笑い”のシーンが多くてびっくりしました。ともかく最初の納棺のシーンから笑えます。
納棺師のお仕事。遺体を丁寧に拭いて最後に化粧をして綺麗にして送り出す。お葬式には何度か行ったことがありますが、このような儀式は一度も見たことがありません。葬儀屋とは別にこういうお仕事があることすら知りませんでした。
最初に笑いが多かったと書きましたが、大悟にとって最初の仕事のシーンは正直笑えなかったです。死後2週間が経過して強烈な腐敗した匂いの漂う、そして彼がおそらく初めて目にする死体。どんな遺体であろうと納棺師はその遺体を綺麗にしなくてはいけない。これは本当精神的にもキツイ仕事だな、というのをこのシーンで最初に植えつけられます。確かに綺麗な遺体だけのシーンだったら、納棺師の仕事の辛さのようなものは伝わってこなかったので、こうやってさらっと大変さを映し出すのは上手い演出だと思いました。そしてこういう死に立ち会うこともきっと少なくないんではないかな、と思いましたね。ずっと優しくて結構適当な感じだった社長の「しっかり持て!」はその仕事のプロだということを痛感させられました。
でもそれ以降は綺麗な遺体しかでてきませんので、この仕事辛っ!って思ったのは最初の遺体の時だけだったかな。
成り行きでついた納棺師の仕事。しかし大悟は自然にこの仕事にやりがいを覚えていきます。だけど周りはそうではなかった。私は納棺師という仕事をこの映画で初めて知りましたが、映画から知ったからか、「遺体を綺麗にして送り出してあげるとても素敵な仕事」というイメージを最初に持ったんですよね。だからこの仕事にこんな偏見があるなんて驚きでした。
「人の死を商売にしている」ことで、「あんな仕事」と言われてしまう。大悟の仕事内容を知った妻の美香からは「汚らわしい!触らないで」と言われてしまう。でもこのシーン、予告で何度も観ましたけど、実際劇中で観てもなんでそこまで言うの?って思っちゃいましたよ。汚らわしいっていっくらなんでも言いすぎじゃないか?
でも誰に何と言われようと大悟は納棺師を辞めたいとは思っていない、むしろこのまま続けていきたいと思ってるんですよね。やりたくて就いた仕事ではないけれども、きっとそこにはこの仕事からしか得られない何かがあるのだと思いました。そしてそれは自分の母を看取れなかったこと、父と疎遠になってしまっていることも関係してていたのではないかと。
仕事に誇りもやりがいも持ってるのに人に卑下されてしまうことを、反論するわけではなく仕事でみせる姿が本当にすばらしかったです。
また映画の中にあったように、遺族の方から感謝されることも多いのではないかと思います。人生の最後の最後には、私も大悟や佐々木社長のような方に納棺を頼みたい!と思いましたから。
そして実際、納棺師の仕事を見下していた人たちも、彼らの仕事を目の前で見て逆に尊敬の眼差しに変わっていきます。そりゃそうだよね、あんな優しく丁寧に遺体を扱ってくれる姿を見たら、やっぱり素敵なお仕事だって思うし、誰でもできる仕事ではないように思います。
ともかくモックンの落ち着いた演技が素晴らしかったです。そしてモックンと山崎努が絶妙な笑いを取ってるんですよね~。これはさすがです。二人のシーンで本当何度も笑わされました。後半の笑いでは「旨いんだなー、困ったことに」が結構ヒットでした。
また余貴美子や吉行和子の存在もかなりよかったですね。
そうそう、納棺師の仕事と同じく、石文もこの映画を観て初めて知りました。最後の石は読めすぎる展開で残念ながら感動できませんでしたが、大悟が語ってくれる石文のお話も素敵でした。
後半は会場のあちこちから鼻をすする音が・・・。でも私は泣けなかったんです。やばい??泣けなかった私は、きっとみんなは大切な人を看取ったことがあるから、そのことを思い返して涙してるんだ、と思うことにしました。
この作品、喜怒哀楽の感情すべてが本当に上手く取り入れられています。そのバランが絶妙。納棺師の仕事は”安らかな旅立ちのお手伝い”、死は終わりではなく、新たな旅立ち。”死ぬ”ことは怖くないと思えるし、大切な人が亡くなってしまったら、こうやって優しく丁寧に”ありがとう”と見送ってあげたい、そう思わせてくれる素敵な映画でした。
エンドロール中はずっとモックンの納棺技術が長廻しで流れていますので、そちらもお見逃しなく。
おくりびと
映画を見終わった後の感想は、私も死んだらあんなふうに納棺師に見送って欲しいと思いました。
出演者の演技がとても素晴らしくて、とても重い内容なのに暗くなく、今までこの仕事に対して偏見を持っていた自分が恥ずかしくなる話でした。
見終わった後に命の大切さと死ぬまでの間にどのように生きていくのかということを考えるようになりまし。
予想通りといえば予想通りだけれど
死は誰にとっても避けられないことなのに、そこに携わる人々を低い存在と考えてしまう人、悲しいことではあるが、そうした考えの人が多い事も事実であろう。
死者を尊厳を持って送り出すことの意義を改めて考えさせられました。
笑いあり、涙あり
とても笑えて、泣けて印象に残る作品でした。
死はいつかは訪れるもので・・・それを悲しみだけではなく、あたたかく描いていたと思います。
本木さんのチェロも心に響きましたし、久石さんの音楽もその世界にぴったりあっている感動作でした。助演の方の演技も光っていましたよ。
今年見た邦画の中ではNO1だと思います♪
日本映画いいね
若い頃は日本映画ってダサイと思ってあまり見ませんでしたが、最近は最盛期ですね。いろんな作家が、いい作品が目白押しで。このようなジャンルでも映画は作り物だから見せ場が必要。広末は好きだから許すけどもう少し性格設定をどちらかに振って欲しい。山崎努が黙って車のキーを投げるシーンが最高にカッコイイ。ここだけはもう一回見たいと思った。
おくりびと
都会で食い詰め帰郷した男。旅行会社に採用されたつもりが、仕事は安らかな旅立ちへのお手伝い。そんなこととはつゆ知らぬ健気な妻の笑顔に送られる日々。ひょんなことから片足突っ込んだ納棺師の道、男はいつしか両足で歩いている。
納棺の儀式を執り行う本木雅弘の心を込めた所作手さばきの鮮やかさ。世俗の汚れをきれいに落とされ、死者の面に生気が蘇る。死出の装束を清らかにまとわせられて、悲しみを新たにする遺族が見守るうち、死者は静かに棺へと納められる。人間の尊厳を慈しむ画面に自然と涙も滲んでくる。泣かせる作品なのだ。
泣かせるがお涙頂戴という訳ではない。人が生きていくことのもろもろを、静謐さと厳粛さのうちに、皮肉の効いた笑わせどころもしっかり織り込んで、厳しくも優しいお話として提示する。その丁寧で行き届いた仕事ぶりに泣けるのだ。
そもそも、モックンが納棺師をモチーフに、脚本は小山薫堂を指名するところから始まった企画だと言う。確かに、これはビジュアル的にも物珍しさからも映画にはおあつらえ向きの素材だ。納棺師と死者との距離感でドラマの幅を広げた脚本は伏線の張り加減など強引とも周到ともとれる点はあるが、普通の人々を敬意を込めて描き、誰もが共感できる物語になっている。見事な脚本で指名に応えた小山薫堂はあまりにカッコいい。
滝田洋二郎の丁寧な画面作りと抑制の効いた演出も良かった。「陰陽師」や「阿修羅城の瞳」のようなスペクタキュラーなものより、前作「バッテリー」同様、家族や夫婦をモチーフに普通の人々を描く方がこの監督の柄に合っているのだろう。
プロデュース的なセンスの良さを発揮したモックンの、作品を力強く引っ張っる華も実もある役者振りがいい。山崎努の人を喰った怪人振りと余貴美子の生活感が作品にクッキリと陰影を刻み込み、広末は屈折した笑顔で貢献する。素材の新鮮さに対し、奇をてらわぬキャスティングが醸し出す説得力。月山を望む庄内平野の美しい四季を背景に、人生を感じさせるチェロの調べが。生きとし生けるものへの共感と慈しみを描いて、隅々迄味わい深い。今年度を代表する作品。
ほっこり温かくなる映画^^泣けます。。。
誰もが遅かれ早かれいつかは経験する死。
こんな「死」をテーマにした映画なので、重々しく悲しい話かと思いきや、前半は笑いが満載で、日本ならではのユニークさもあり、おもしろく描かれているのが意外でした^^笑えます♪
葬儀会社全般の業務内容は、なんとなぁ~く理解していたつもりの私だけど、その中で「納棺師」なんぞという職業があるなんて、今まで知りもしませんでした。
・・・ってか、それ以前に、婚礼会社は喜ばれるのに、葬儀会社は遠慮されがちな世の中が現状。でもこの映画を観て、死んだ時に、その人が生きていた中で一番綺麗な時の姿にして、向こうの世界に送り出してくれる。なんて素晴らしい職業なんだろう!って感動せずにはいられませんでした。
「死とは門のようなもの。だから行ってらっしゃい。また逢おうな。と行って送り出すんだ。」火葬場で働く笹野さん役の正吉のセリフにジ~ンときました(涙)
いつかまた逢える。。。そう思えば淋しさも軽減されますよね^^
今回、NKエージェントの社長扮する山﨑努さんが、前回の「クライマーズ・ハイ」のいやらしい社長と全く違って、かっこよく凛々しい姿が印象的でした^^勿論もっくんも良かったです\(^o^)/
身近な人が亡くなった時、死を悼む哀しみははかり知れないものがありますが、そんな中、誰かがひとつひとつ丁寧に、生前の頃の綺麗な姿にして故人を送り出してくれる。そう思うと、何とも言えない温かな優しい気持ちに包まれます。
いつかは私も送られ人。私も最高に綺麗にして送り出して貰いたいものです^^
本当に素晴らしい映画でした^^♪
今年私の感動NO.1映画になりそ~です(^o^)
9月16日MOVIX伊勢崎にて観賞
誰もがいつかはおくられびと。
試写会にて。
第32回モントリオール世界映画祭・グランプリ受賞作品。
受賞前から観るつもりではいたけれど、実際に観てみたら、
あ~これは♪と思うほどの素晴らしい作品なので驚いた。
いや、驚いたのは…その内容で、私はもっと荘厳な日本の
葬送儀式を描いた作品なのだと思っていて(そうなんだけど)
あんなにユーモアに満ち溢れたドラマだとは思ってなかった。
だって、腹を抱えて笑えるほどなのである^^;
そして、ひとしきり笑わせておいて、ズシンと胸にも響く。
やがて流れ落ちる涙が冷たくはなく、温かいことに喜び、
いつか自分にこんな日がやってくることを予測してしまう。
「死」を「旅立ち」と捉えられるなら、ちっとも怖くはない。
そして、なんといっても…。モッくんと山﨑努だ。
こういうテーマを選んでおきながら、なんとも飄々とした
二人の掛け合いを見ていると、あ~生きてるっていうのは
こういうことなんだよな、、、と実感できる。
動植物の死、によって生き長らえている人間たちなのだ。
綺麗だの気持ち悪いだの、まともだのまともでないだのと、
ヒトは他人の職業についてあれこれと意見をするけれど、
どんなにドエライ人間だっていつかは死ぬわけでしょう。
その亡骸を、いっさい他人の手を借りず、迷惑もかけず、
処理することなど、今の日本では到底不可能なのだ。
いつかは皆、おくられびと。になる日が来るのだから…。
一緒に観た母親がボソッと言った。
儀式としての納棺は、母の若い時分には無かったそうだ。
身内や親類が総出で、亡骸を棺に納め、葬送したらしい。
今はお金をかけて、こうやって綺麗にするんだね。。。と
そんなことを隣で言われた私は、何だか泣けてきてしまった。
ちなみに私も身内の「死」に立ち合った経験があるものの、
その時はすでに、棺に納められてからの対面、だった。
納棺はおそらく綺麗な御遺体でなければ見ることは出来ない。
しかしこの作品は、その職業について深く掘り下げる一方で、
人生の悲喜交々を雄大な自然の中で(チェロの伴奏にのせて)
豊かに謳い上げてくれている。人生にどんなことがあっても、
自分がおくられびと。になる日まで終わることはないのだと。
観終えて、久しぶりに拍手を贈りたくなった作品。
(モッくん、今回も素晴らしいコスプレを魅せてくれてます^^;)
心と気持ちが、優しくなれる映画。
“モントリオール世界映画祭グランプリ受賞”。とても地味なテーマを描いた映画です。でも、素朴でとても優しい気持ちになれる映画です。
吾輩“モントリオール世界映画祭”が、どれほど権威のある映画祭なのか存じません。しかし、今回のグランプリ受賞は、この映画にとって非常によろこばしいことだったと思います。何せ、公開初日から“満席”でしたから。この“賞効果”がなかったら、この映画はひっそりと公開されて、あっさりと上映終了していたかも知れません。それくらい、取り上げているテーマが、この上ないくらい地味なモノですから。でも映画自体の出来は、とても素晴らしい物でした。ですから多くの人が映画館に足を運んでこの映画をご覧になるっていうのが、何かとっても嬉しいです。
“納棺師”という仕事があるという事を、吾輩はこのえいがを観て初めて知りました。遺体に死に装束を着せ、死に化粧を施し、あの世へ送り出す。映画ではその作業の一つ一つの動作が、入念に撮り上がられていて、さながら崇高な儀式のようでした。ある意味これは一つの“芸術”だと思います。映画の中では、“遺体を扱う仕事”ということで、抵抗を持つ人々の様子も描かれています。吾輩なんぞは、さほど抵抗は感じなかったのですが、やはりそのように感じるのが一般的な通念なんですかね?しかし、その人達も大悟の“凛とした”仕事振りを見て、考えを改めていきます。様々な形の“人の死”に、愛を持って向き合い、その最期を送り出す“納棺師”。非常に素晴らしく、気高い仕事だと思います。
主演の本木雅弘さんが、イイ演技を見せてくれます。最初の方は、何となく“ダメ男”なんですが、様々な“人の死”と向き合い人間的に成長していく主人公・大悟の姿を、抑えめの演技で堅実に好演しています。もう“モックン”なんて呼んだら失礼ですね。そして妻役の広末さんが、これまたイイ!一時期“プッツン女優”とか言われてましたが、何か完全にふっ切れてるんでしょうね。可愛くも芯が強く、愛する夫を常に支える妻・美香をとても愛らしく演じています。いやあ、あんな奥さん、そうそういませんよ!
山﨑努、余貴美子、吉行和子、笹野高史…、脇を固めるベテラン俳優陣の皆さん。もう何も言うことはございません。映画を安心して見ていられます。それぞれの魅力を如何なく発揮され、この映画をとてもしっかりした作品に仕上げています。
観る前は、宣伝などから『ひょっとして“号泣誘発映画”なのかな?』と思っていたのですが、随所にユーモアが散りばめられていて(事実、前半1時間くらいは、笑いの方が多かった)、観ていてとても優しい気持ちになれました。こういう“心が優しくなる“演出、滝田洋二郎 監督は、ホントお上手ですね。あと、久石譲 さんの音楽と、山形の素朴な自然の風景が、観る者の心を更に優しくしてくれます。
何度も書きますが、決して派手な大作ではなく、地味な映画です。でも日本映画として、日本文化の優しい所が描かれていて、本当に“秀作”です。来年のアカデミー賞の日本代表に選出されたそうですが、何とか“外国語映画賞”にノミネートされてほしいですね。ガンバレ!
心に、ジーンと来ました。
2008年モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作品。ベネチア国際映画祭に、北野武(『アキレスと亀』)、押井守(『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』)、宮崎駿(『崖の上のポニョ』)の3監督の作品が出たと騒いでいる陰を縫って、こちらの作品が、別のところで世界的評価を得ていました。放送作家の小山薫堂が、映画初脚本と言う事でも話題です。
劇中、結構食べ物を食べるシーンがあったような気がするのは、気のせいでしょうか? しかも、静かに食べると言うより、ムシャムシャ食べると言う感じの食べるシーン。山崎務のセリフにも「生きるためには、食べなければならない」と言う趣旨の意味のモノがあったのですが、納棺(=死)と食事(=生)と言う対比を表したかったんですかね? ちょっと印象的でした。
多くは語りません。って言うか、語れません。物凄く、心の奥にジーンと来ます。いいものは、言葉が違っても、文化が違っても通じると言う事が分かりました。それが、モントリオール世界映画祭の評価だと思います。不覚にも、二回ほど泣きそうになりました。それにしても、納棺師と言う職業があるのは、全く知りませんでした。近親者の葬儀に出た事はあるんですが、納棺は全く経験なし。こう言う事をやっていたのかな?
素晴らしかった 皆に見て欲しい
試写会で見ました。正直単なる暗い映画なのかな・・・と思っていましたが、
見事に裏切られました。
山崎努と本木雅弘のテンポの良さのかけひきに笑ったり、本当に美味しそうに食事をするシーン、広末涼子と本木雅弘の夫婦の生活、そして納棺師としての仕事っぷり、チェロを演奏するシーン。
山崎努のコミカルながらも深みのある言葉、本木雅弘のびっくりしたり悲しんだりする表情、広末涼子の柔らかい優しい表情。
さまざまな場面が心地よいBGMと盛り込まれていて、死との向き合い方を考えさせる話でした。
また、人との縁はどこかでつながっている、ということも感じました。
今までに対面してきた、納棺やお通夜、お葬式、悲しみにくれてばかりいて、納棺の一つ一つの作法に意味があることが分かりませんでした。亡くなった方へのお礼の気持ち、最後はいい顔をしていたよ、っていうありがとうの意を込めての納棺なんだな、次に自分が立ち会う時は、またこの映画を思い出して、違う気持ちでいるんだろうな、と思いました。
本当に見て良かった映画でした。
秀作です、お勧めです。
納棺師の所作は美しくて、お茶のお手前のような完成度がありました。それを演じるモックンの微妙な表情の変化。彼は本当に、良い俳優さんになりましたね。深みのあるチェロの音色に彩られ、人生の最後の一幕・・・納棺は、その人の命を大切にするひと時なのだと伝わってきました。
時に笑いながらも、命の尊さを静かにかみ締める秀作です。
脇役は芸達者が揃っていて、しかもそれぞれに合ったキャスト。山崎努は社長を楽しんで演じていましたね。吉行和子、さすが、笹野高史、相変わらず良い味。個人的には杉本哲太が好きです。
おお、感動しました
eiga.comの試写会で拝見しました。
納棺師ってなに
シリアスコメディーかと思っていましたが、とても切なくて、愛があって、偏見
があって、あたたかな人の血の流れている素敵な作品でした。
本木雅弘ってこんなに演技がうまかったっけ
ずっと思いだせなかった父親の顔を思い出せた瞬間に、この作品は人の死を引金
に、生きている者の思いや愛を気付かせるのだなぁと感じました。
素晴らしい映画をありがとう!って感じの映画でした。
邦画では今年1番かも?
納棺師というお仕事を知るいいきっかけになりました。
実際にそんな場面に出くわしたことがないので「へぇ~」と思えることも多かったです。
死者は他人にとっては死体でも家族にとっては”亡骸”であり、尊いものであるというのがよく現れてると思います。
笑わせるけど泣かせる映画で2時間10分の上映時間ですが長さを感じさせない映画だと思います。
間違いなくベストワンの作品であり、笑って泣ける大傑作です。
この作品で“納棺師”という仕事を初めて知りました。死者を納棺と前に、一定の所作でうやうやしく、表情を整え、体を拭き、死に化粧をして、棺に納める仕事です。このときお亡くなりになった人の尊厳のために、衣装の着せ替えは参列者に一切肌を晒さず、手際よく脱がせ、死に装束に付け替えるのです。
主演の元木がまるでお茶の作法のようだったと答えていたように、その所作は美しく、厳かで、故人を弔ふことがこんなにも感動を呼ぶものかと、改めて気づかせてくれました。実は2年前の6月に母の葬儀を体験しました。そのときにも納棺の儀式はあったはずなのですが、記憶の隅に追いやっていたようです。
でも、納棺師の仕事がどんなに大切か。この作品で思い知らせされました。なかには葬儀屋が適当に遺体を棺桶に放り込む時もあるようで、そのシーンを見たときなるほど儀式として納棺の儀があった方が、遺族としても心のけじめができるし、悲しみも和らぐものだなぁとつくづく思い知らされましたね。まさに人生最高の旅立ちのお手伝いといえます。
ところが、普段の日常生活を送っている市中の人は、他人の葬儀に関わることを忌み嫌います。葬儀場や墓場の建設は反対され、葬儀屋は忌み嫌われます。この作品の主人公大悟の幼なじみからは、絶交され、さらに妻美香もまた、夫が相談もなく納棺師に就職したことに腹を立てて、実家に帰ってしまいます。
葬儀場建設反対の立て札を見るたびに、ろくに神仏を信じていない人がと疑問に思う小地蔵ではあります。みなさんあまりにやがては誰でも死んでしまうという避けがたい現実を避けて忘れてしまっているのではないのかなぁ~。
いくら避けていても肉親や親しい人が亡くなったら、話は別。死と向き合わざるを得ません。そこで見かける納棺師としての大悟の振る舞いを見て、蔑視していた美香や幼なじみたちも、感動するのでした。
初めて大悟の仕事ぶりをまざまざと見つめるときの広末と元木の無言の演技が凄く良かったです。直前まで納棺師の仕事の件で大喧嘩している仲だったのに、アイコンタクト一発で、美香が大悟の仕事を受け入れたことを、観客にも納得させるすばらしい表情でした。
無言の表情だけで場面を語らせている点では、滝田洋二郎監督の演出は凄いし、元木・広末・山崎努らの阿吽の呼吸による息のあった演技に惹き付けられましたね。
あと主人公がプロのチェリストだったという設定のため、ガチンコで元木はチェロの演奏を練習し吹き替えなしでやり遂げています。その腕前は、全くの素人だったのが近日中には、ライブ演奏しようかというところまで上達したそうです。
その主人公の心そのままに、時に激しく、時にやさしく、チェロの音色で織りなす感動的な音楽を手がけるのは、名匠・久石譲。日本の代表的なチェロ奏者20名で編成した楽団による音楽も素晴らしかったです。
また、物語の舞台は山形県庄内平野。名峰・月山を背景に、美しい自然を四季の移ろいとともに叙情的に描き出していました。
一見地味で触れ難いイメージの職業をテーマしていますけれど、その重さを打ち消すぐらいユーモアにあふれた作品でもありました。
例えば、大悟の初仕事は、死後2週間も経った腐乱死体。その悶絶する姿に大笑い。ついでに、追い打ちで家に戻ってたらで、夕食は鳥鍋。鳥の生首見て吐きそうになる大悟に同情しつつ笑ってしまいました。そんなときって、理性が麻痺しているから、妻にいきなり欲情してしまうものでしょうか?(見てのお楽しみ)
その他、沢山のキスマークで送り出される大往生のおじいちゃんだとか、美人だと思ったら、拭いているうちにあれと当たり、なんとニューハーフだったなどなど、全編滑稽さに満ち溢れています。決して退屈させません。
納棺師と主人公夫婦・親子のつながりのなかから、愛すること生きることを考えずにはいられなくなりました。人は誰でもいつか、おくりびと、そしておくられびととなります。この普遍的なテーマは、今生きている私たちに、夫や妻そして、わが子や父や母にどう向き合うか問うてくるでしょう。きっと、そばにいてくれるだけでもありがたいなっていう気持ちにならざるを得なくなりますよ。
好き嫌いはあっても、食わず嫌いはいけません。この作品をとにかく見ていただければ、笑いと涙、そして大きな感動が得られることを小地蔵は保証しますよ。
特に近年肉親の葬儀を経験した人なら、そのときの忘れようと努めていた葬儀の記憶が故人の思い出とともに、まざまざと鮮やかに蘇ってきて、泣けてきます。
まぁ、それは悲しいけど、それもまた悪くないと思いますよ。
追伸
2ヶ月ぶりでまた試写を見てきました。
またまた感激し、たっぷりと涙流してきました。
山崎努さんを初めベテラン俳優陣が、いつも以上の演技をしていることに気がつきました。しかも、軽妙で笑えます。
肩がこりません。
この満足感、高揚感は、『ダークナイト』試写会を見終わったあとの感じに近いものがあります。
今年に入ってすでに150本以上の作品を見た中で、間違いなくベストワンの作品であるとお勧めします。
全104件中、81~100件目を表示