「楽しいからOK♪」K-20 怪人二十面相・伝 kerakutenさんの映画レビュー(感想・評価)
楽しいからOK♪
タイトルバックは昔のアメコミっぽく、二十面相もバットマンかスパイダーマンとか怪傑ゾロのようだったので、ああ、だからK-20なのね・・・と納得した矢先に,1949年帝都、のテロップ。
第二次世界大戦を回避した日本、という設定・・・
架空の設定は時代考証不問で好きにできるから、名案!と感心しました。羽柴ビルのそびえる摩天楼は国籍も時代も不明のノスタルジックな雰囲気でした。
敗戦がなかったから華族が没落せず、軍部もいばってるのかな?
それはそうと、「遠藤平吉が怪人二十面相と闘う」というのは、
ありえないシーンでちょっとビックリ!(ネタバレが怖くて、それ以上は言えませんが・・・)
まあ、原作(北村想)も、「二十面相の正体は遠藤平吉という元サーカス団員」ということだけから勝手にひとりの人物をつくりあげてしまったし、だいたい江戸川乱歩というペンネームだって、エドガー・アラン・ポーのパクリだし・・・偽物の偽物の偽物なんだから、もういちいちつっこむことも忘れ、やりたい放題のお話を楽しみました。
白い鳩を愛する金城武は「レッドクリフ」の諸葛孔明とかぶったし、横柄な口ぶりの仲村トオルは「チームバチスタ」の白鳥のようだったし・・・もうキャスティングも偽物っぽい。
原作のどこにもない羽柴葉子(松たか子)がいちばん生き生きとしていて、実体のある登場人物に思えました。
他の人がやったら単に「おてんばなお嬢さん」なんでしょうが、あのお品のよさは、松たか子ならではでした。彼女が主人公といってもいいような・・・
「財閥のお嬢様、社会の格差に気づき、正義に目覚めるの巻」なんですね、結局この話は。
音楽もCGも、脇を固めるキャストも豪華で、文句なしに楽しめる作品にはなっていましたが、もうストーリーは修復不可能くらいにぐじゃぐじゃになってしまっているので、この続編をつくったり、テレビでスピンオフドラマを放映したりすることは御遠慮いただきたい。
ミステリーと思わずに、楽しければいいじゃないかと、気楽に楽しむことをお勧めします。