「K-20 ビギニングストーリー」K-20 怪人二十面相・伝 いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)
K-20 ビギニングストーリー
★
架空都市を時代や文化を超越して作り上げ、
楽しいアクションと笑いを提供してくれて、
世界観や映像、アクションにも宮崎駿テイストが漂ってくるが、
シリーズ化もアリかなと思う、
ダークナイトやスパイダーマンなどのアメコミヒーローも想起させる
K-20 ビギニングストーリー。
19世紀から続く華族制度により
極端な格差社会が生じている第二次世界大戦を回避した
1949年の架空都市“帝都”で、
富裕層をターゲットとし、美術品や骨董品を魔法のようなテクニックで
次々と盗み出す“怪人20面相”通称“K-20”
と呼ばれる強盗が世間を騒がせていた。
サーカスの天才曲芸師・遠藤平吉(金城武)は、
ある日サーカスを見に来ていた紳士から、
羽柴財閥の令嬢・羽柴葉子(松たか子)と名探偵・明智小五郎(仲村トオル)
との結納の儀に潜入し、
写真を撮ってきて欲しいとの依頼を受け、
報酬につられ了解した平吉であったが、それは20面相の罠であり、
平吉は濡れ衣を着せられてしまう。
冒頭の眼前に広がるVFXで作り上げられた架空都市の全貌は
さすが“ALWAYS”のスタッフという出来栄えで、ワクワクする。
そこの飛行艇から宮崎駿テイストを感じるわけですけどね。
でも、飛行シーンやクライマックスにおいての人物との合成シーンでは、
ちょっと浮き気味の映像もあって
時間が足りなかったのではないかとも思う。
十二分に世界観は、時代を考えると、存在したもの、しなかったもの、
または古いものもゴチャ混ぜなのに、成立させていて、楽しくていい。
金城武を邦画で観ると、日本人が日本語をしゃべる金城武を観ると、
あきらかに日本人ではないわけで、
どうしてちょっとぐらい設定を変えないのかな。
“Sweet Rain 死神の精度”のような作品や、
この作品のような荒唐無稽な作品にも
その下手さが味としてマッチする役者で、
似合っているとは思うし、ボケ具合も、ノリもピッタリなんだけど、
どこまで自分でやったか分からないけど、アクションはキマってますけど、
遠藤平吉ではないよな。
仲村トオルはちょっとオーバーアクト気味で
分かり易すぎる演技だと思うけど、
あるシーンでは面白かったよ。
分かりやすいのは本郷奏多も同じで、鹿賀丈史も。
それ以上に問題なのは、
お嬢様なのにお嬢様役がしっくりこない松たか子か。
あれなら初めから現実を知らなくても、
終盤のノリでよかったんじゃないかな。
國村隼と高島礼子のコンビは素晴らしく、泥棒長屋の面々や、
ちょい役の人たちの使い方も、いい。
ストーリーに関しては平吉の変化には違和感を覚えるし、
あれだけ何度も言ってたくせに、
ほったらかしかよ!という部分がないわけではなく、
怪人二十面相の目的も何が何だかでツマンナイ。
アクションは格闘シーンはソコソコで、
訓練シーンや逃走シーンは楽しかったが、
何度も使ってたアイテムをどうしてそこで使わないの?
というツッコミが聞こえてきそうなシーンもあり、
でもその後の派手なシーンの為に使わなかったのか、と納得したりもして、
笑わそうとしてる部分はそれなりに笑えて、
佐藤嗣麻子監督は“アンフェア”の脚本を担当した人らしいので、
それを上映前に知って、期待していなかった分楽しめて、
正月にはこんな作品がよく似合う。
☆