アリス・イン・ワンダーランド : インタビュー
ティム・バートンが新たに描く19歳のアリスに抜てきされたのは、オーストラリア出身の新進女優ミア・ワシコウスカ。1989年生まれでアリスと同世代、加えて巨大なワンダーランドに迷い込み、自分の手で道を切り開いていくアリスの姿は、ハリウッド大作で初めて主演を務める彼女そのものにも重なる。今後も新作が続々決定するなど、早速注目を集めている彼女に話を聞いた。(取材・文:編集部)
ミア・ワシコウスカ インタビュー
「19歳のアリスと同世代だから、彼女の気持ちがすごくよく分かった」
――ティム・バートン監督とジョニー・デップのコンビ作に、主人公として参加してみていかがでしたか? また、彼らの魅力は?
「2人ともとてもいい人で、新参者の私が緊張しないように気を遣ってくれたわ。彼らは長いつきあいで、歴史を築いていて、お互いに深い理解、友情で結ばれていて……そんな2人が一緒に仕事をしている姿を目の当たりにできたことは、とても幸せだった。彼らはツーカーの仲で、どちらかがひと言発すれば、何を言おうとしているかが相手に伝わる。それにあの2人は映画の趣味が似ていて、同じような映画やキャラクターにほれ込み、そして今も一緒に映画を作っている。まるで彼らだけの言語があるかのように、意思の疎通がパーフェクトだったわ」
――世界中で知られたアリスを新しく描くことについて、また、そのキャラクターを自分が演じることについてどう思いましたか?
「私は今回の19歳のアリスと同世代だから、彼女の気持ちがすごくよく分かった。アリスは世間や家族から期待されている自分と、そうではないものを求めている自分との間で、進む道を模索している。そうした中で自分らしさを再発見していくという過程は、とても共感できて好きになれたの」
――今ご自身が周囲から期待されているところと、自身で思い描く自分とのギャップを感じることは?
「やはりハリウッドにいるときは、それだけプレッシャーや期待を感じるわ。でも幸いなことに、一度オーストラリアに戻って家に帰れば、まだ普通の生活が送れる。私はそういうところで、すごく守られていると思うの。そこで自分自身を取り戻すことができる。ただ、ハリウッドという業界の中にいると、確かにとてつもないものを感じるけど、1日1日、対応していけばいいなと思っているの。つまり、楽しい限り続ければいいし、楽しくなくなったら違うものを探せばいいかなって」
――今回の映画で一番ワクワクした部分はどこですか?
「なんといってもクレイジーなキャラクターたちね。双子のトゥイードルダムとトゥイードルディーが好きだし、不可思議なチェシャ猫も、もちろんマッドハッターも好きよ。彼らはみんなどこか少しおかしくて、上辺と本音に違うところがあったり、表向きはまともに思えても全然まともでなかったり。でも、それでいて全然憎めないの。私はそんな彼らと一緒にいて、なんとなく心地良かった。でも、実は現実の世界にもそういう人たちは多くいると思う。この映画では、人間のそうした面が誇張して描かれているだけで、本質的には現実世界と同じだったりするんじゃないかしら」
――グリーンバックでの撮影は大変でしたか?
「特に相手がCGのキャラクターの場合は。目線だけ指示されて、そこを一生懸命見てしゃべるわけだけど、その“相手”がテニスボールやダンボールの切り抜きだったりすると、私はなんでこんなことをしているんだろうって悩んでしまう(笑)。とても不思議な撮影方法で、それを3カ月も続けなければならなかったから、まさにそこが私にとってのワンダーランドだったわ(笑)」