ミルクのレビュー・感想・評価
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自分らしくがテーマ
観る前は「ブロークバック マウンテン」のような感動作を期待していました。正直、そんなレベルの作品ではありませんが、いろんなことを考えさせられる良い作品でした。ゲイについてはもちろんですが、人の生き方についても説いているそんな映画だと私は思います。
主人公はゲイでありながらも政治家となり、彼ら(ゲイ)の人権等のために戦ったアラフォー男、ハーヴィー ミルク。彼の波乱に満ちた生涯を描いた本作。
注目はキャスト陣による演技、メッセージ性のあるストーリーそして、ガス ヴァン サント監督のこの作品への執念です。特にメッセージ性のあるストーリーは観るものに訴えかけるものがあり、「ゲイであろうが何であろうが人間は自分らしく生きる事が大切である」みたいなことを主張しているのではないかと思います。ガス ヴァン サント監督自身もゲイであり、この作品には強い思い入れがあったのだと思います。男同士のキスシーンをリアルに見せ付ける等、監督のこだわりのようなものも感じました。
それから、演技についてですが、ショーン ペン、エミール ハーシュ、ジェームズ フランコそして、「イントゥ ザ ブルー」でポール ウォーカーと水遊びをしていたジョシュ ブローリンの気合の入った演技は良かったです。ショーン ペンは「フロスト×ニクソン」のフランク ランジェラ程インパクトはありませんが、完全にハーヴィー ミルクに成り切っていました。ミルクの物静かな一面が上手く表現されていたと思います。
さて、キスシーン等の衝撃度はどれ位のものだったかというと「ブロークバック~」のイニスとジャックが“長くて深い”とするならば、本作は“短くてあっさり“といった感じです。ただ、3秒ほど男同士による”オー○ル“があったのは驚きました。あのシーンは省いても良かったのではないでしょうか?これからこの作品を観ようと思っている方はその場面だけ目を覆う事をオススメします。
それから、この作品の弱点ですが、私は特にハーヴィーが初当選するまでの展開は長すぎると感じました。もっとコンパクトに纏めてほしかったです。それから、ハーヴィーの暗殺シーンは人によっては笑ってしまうと思います。ショーン ペンが背中から打たれた瞬間彼のドアップになり、周りがサイレントになるのですが、いかにもミルク自信が「イテエエエエエエ!」と言ってるようなあの表情はいただけませんでした。
しかし、自分らしく生きる事の大切さを描いた良作だと思います。「マーリー~」や「ダークナイト」のように何度も観たい映画ではありませんが、一見の価値はある作品だと私は思います。
涙涙涙
オスカー俳優のショーン・ペンの映画が1度でいいから、見てみたかった。
その、最初の作品が「ミルク」。
衝撃のラストには泣きました。
後、僕が思う名場面「人間は皆平等だ」。
にも、泣きました。
命を懸けた革命家の実話、挫折と苦労。
自分がゲイだとその人の気持ちになってあげられる、映画です。
ぜひ、お勧めします。!!
ミルクだけが、ゲイの権利獲得に貢献したのではない
1970年代、アメリカでゲイとして初めて公職者になったハーヴェイ・ミルクの実話をガス・ヴァン・サントが映画化。
ストーリーは、サンフランシスコのゲイ・コミュニティで中心的存在であったミルクが、政界に進出しゲイや市民の権利擁護のために戦うというもの。よく、真実は小説より奇なりなどと言うように、本作も元々の実話がとてもドラマチックな展開をもっています。ミルクの年譜をまとめるだけでもなかなかにおもしろいものになるでしょう。
ですから、本作の評価のポイントはストーリーよりもむしろ、その見せ方、演出にあります。そしてその点で評価してみると、本作は非常に上手い作品だといえるでしょう。淡々としつつも丁寧な描写で、物語も流れるように展開していく。さすがアカデミー作品賞ノミネート作だけあります。
本作でオスカーを獲得したミルク役のショーン・ペンの演技も上手いです。物語の盛り上がりに沿って、徐々に彼の演技にもアクセルがかかる。演技と作品が、お互いに歯車となってうまくまわっています。また、脇をかためるミルクの後援者(彼らもみな同性愛者)も魅力的。全員実在の人物で、現実にも活躍しているようです。
ただ、ラストは少しあっけなかった。ミルクの周囲の人々のその後であったり、社会一般の動きがもう少ししっかり描かれていてもよかったんじゃないでしょうか。それに、あまりに巧みな作品であったゆえに、心をどっと打たれるような衝撃もちょっと味わうことはできなかったかな。
しかし、演技もよいし見応えのある秀作には間違いないです。本作を観ると、実際のミルク本人についても知りたくなりますね。
闘えることが羨ましい。
今の日本には、マイノリティが一致団結して大きな運動を起こす気力すらなく、生き辛さを感じていても、あくまで個人の問題として自分の中だけで抱え込み、暴発してしまう人が多くなったように思う。
そんな時代の私から見ると、一致団結して体制と戦い抜くこの映画のマイノリティがとても羨ましく感じる。
なぜ今このテーマなのかと思ったのですが、何のために何とどうやって戦ってよいかさえ分からない現代に対する強いメッセージでもあるのかもしれない。
「希望がなければ生きている価値などない」。
使い古された古典的なセリフが逆に心に沁みた。
余談ですが、ミルクの恋人はいずれも若くて美形。
カリスマはやはり美しいものが好きなのか。
伝記映画としては「いまさら感」が残りました
2008年アメリカ映画。128分。2010年の記念すべき1本目の映画は本作となりました(別に故意に選んでいるわけじゃない)。ゲイの市議会議員としてアメリカで初当選した実在のハービー・ミルク氏を描いた作品で、監督は観るのが久しぶりなガス・バン・サント、主演は(個人的に苦手な)ショーン・ペンでございます。
内容は、ゲイというマイノリティ市民だったハービー・ミルク氏が立候補し、当選、そして殺害されるまでの物語。伝記映画としては常套的な語り口となっています。焦点に当てられるのは、もちろんミルク本人の素顔。
たしかに「ゲイ」のみならず老人などのいわゆるマイノリティ市民に「市民権」を持たせようとした功績は尊敬に値するし、それが初めてならなおさら。ただし、これを「映画」として扱うには、その描き方が退屈。
勇気をもって立ち上がり、自由の獲得のために闘い、そして道半ばで倒れるという展開は、今の映画ではすっかり使い古された語り口。いくら題材が「ゲイ」という新しい切り口でも、映画にたいして目の肥えた人たちには、何の心にも響かないと思う。
このような語り方はいってみれば20世紀のサクセス(&アンサクセス)ストーリーで、「政治」の威信が揺らいできている21世紀に採用しても、ただ「昔懐かしい物語」で終わってしまっている気がする。
念のため断っておきますが、これはハービー・ミルク氏が悪いと言っているのではないのです。月並みな語り口でミルク氏をありきたりな偉人に終わらせてしまったことに、本作の元凶があると思いました。
悲しいかな、映画を観るということは、それが古典であれ最新のものであれ「新しい視点」を持つことが目的の一つにあると思う。この頭打ちしている時代で、なにか新しい世界にいける「切り口」が欲しいのだ。
ショーン・ペンは昨年のオスカーを取っただけあって、それまでのイメージを覆すなりきりぶりです。そして皮肉なことに、彼の真に迫る演技が、「ゲイ」に対してわたくしの心に余裕をもたらしてくれませんでした。つまり完璧すぎるのです。
何かを伝えることは難しいなと思わされた作品でした。
勇気のでる映画
今でこそファッションのように語られるゲイ文化ですが、マイノリティーが市民権を得るにはそれなりのストーリーがあるものだということに改めて感心しました。日本でストレートでいるとまず知りえない話ですからね。ゲイライフを楽しんでいる人たちは先人たちの険しい道のりや苦労をたたえて今ある自由に感謝するべきなんじゃないかな。ストレートの人たちにもゲイの人たちの気持ちにちょっとでも近づける気がするぐらいミルクのカリスマに魅せられます。ショーンペンはさすが。カメレオン俳優。
たくさんの ミルクになれない者たちへ
うろ覚えだが数年前、米国で男相手の痴漢常習犯が捕まった。妻子と孫ある議員、さらにゲイ排斥運動の急先鋒とか。
人は色々な顔を持つ。ショーン・ペンも、実在のゲイ活動家の顔を演じ分ける。
聴衆の前では不敵で確信的なリーダー。政治の舞台では、人脈と大統領選をも左右するマイノリティ票が武器の、したたかなやり手。
仲間うちでは、面倒見良く気さくな友人。恋人には、夢にかかりきりの薄情者。そして一人の時は、暗殺に怯える孤独な中年男。
ゲイの聖人と言われる主人公ミルクをありのまま。映画は、その手法が反勢力を刺激しすぎ、また逆差別を生みかねなかった恐れをも示唆する。
ただ70年代当時、ミルクを支持した人々は、必ずしもゲイばかりではない。
ショーン・ペンは腹の底から叫ぶ。「君達を勧誘する」「隠れるな」「愛する者に、本当の自分を知ってもらおう」
冒頭の議員は確か60過ぎ。若い頃、おそらく国のどこかで、ミルクの活動を見ていたろう。
認めたくない真実を、心のクロゼットから引っ張り出す。ゲイ・ストレートに関わらず世の中は、一生ミルクのような勇気を持てない者がマジョリティだ。もちろん私も含め。
だからこそ40年前、不惑のミルクの決断が、大勢の人々をとらえたのだと思う。握手を拒まれ道端で殴られ、家族に嫌われようとも、自分を嫌いになるなと。
希望をつかみかけながら倒れた男の物語。それでも普遍的だから響き続けるだろう。彼が好きだったオペラの歌声のように。
監督がなにを描いて、なにを省略していいかよく分かっている映画
メジャー作品ではないがガス・ヴァン・サントが久しぶりに一流スタッフと作った映画。ゲイの政治家の映画をガス・ヴァン・サントが撮ったという先入観からすると、もっと力が入っていそうだがそうでもない。何より素晴らしいのはその取捨選択にある。やはり監督の興味は政治家としてのミルクよりも人間ミルクと彼を取り巻く人たちにあるようだ。ミルクの政治家としての位置付けなどは面倒くさいところは省略しているので市長や後任市長になるミルクの同僚などは影が薄い。市政委員という制度自体が日本人にはなじみがないし、問題が州単位だったり市単位だったりするのも分かりにくいが上にあげた理由で気にならない。ゲイの活動家としてははカミングアウトの効果を説くところが重要か。
俳優たちの演技は良い。ショーン・ペンのミルクはそれこそ先入観を覆すようなカワイイ笑顔に驚かされる。さらにはジェームズ・フランコの明るさとディエゴ・ルナの暗さの対比や若手俳優の適材適所も光る。しかしなんといっても裏ミルクとしてのダン・ホワイトの描き方が見事だ。ジョシュ・ブローリンもここ数年の突然のブレイクがフロックではないところを見せてくれる。これらを監督がうまく生かしていることが重要だ。これは俳優の力だけで引っ張ろうとした「レスラー」と比べるとよく分かる。
保守的なホワイトと進歩的なミルクという単純な比較だけではなくしがらみに縛られたホワイトとしがらみが少ないから目的のために妥協するところは妥協する。そこをしっかりと描いたからこそ、ミルク暗殺の場面をドラマチックにしなくても映画は生きるのだ。その辺は実は似ているところも多いショーン・ペンの失敗作「オール・ザ・キングスメン」と比べるとよく分かる。
政治は勝つことより集めることが大事
映画「ミルク」(ガス・ヴァン・サント監督)から。
この映画、「ゲイ」を取り扱った作品として取り上げられるのは残念。
同性愛者であることを公表した上で、米国史上初めて公職に就いた
政治家ハービー・ミルクの半生を描いた映画として、是非観て欲しい。
ゲイ・レズビアンといった同性愛者などにも、差別なく市民権を・・と
彼は、日夜動き回った。
しかも何度も何度も落選しても、その気持ちは揺るがないものだった。
その根底に流れていたのは、
「政治は勝つことより集めることが大事」という考え方だった気がする。
言葉を変えて「勝つことだけが問題ではない」とも・・。
その集めた気持ちを、ムープメント(動き)につなげていくことこそ、
彼の目指した道だったようだ。
今、国民の関心は総選挙であるが、
どうも自民党・民主党を中心に、選挙に勝つことに重点が置かれている。
大事なことは、自分の熱い想いと同じ人たちを、
どれだけ多く集めることが出来るか、それに尽きると思う。
大量の得票が期待できる組織票の取り込みも大切だろうが、
もっと大切なことは、より多くの人の心を掴んだ支持を得ること。
「マイノリティ」と呼ばれる社会的少数派の意見も大切に・・
現在のオバマ大統領にもつながる考え方が、
40年近く前から存在していた事実、さすがアメリカ・・と唸った。
さて・・日本は?
40年も前にミルクみたいな少数派を擁護しようとする人がいたんだなぁ…
アカデミー賞2度目の主演男優賞のショーン・ペンは「アイ・アム・サム」ばりのなりきり演技かと思いきや、そうでもなかった。それより、ミルクの精神をさりげなく、でも奥深く演じていた気がする。ミルクはすご~くエラそうな人ではなく、みんなの代表みたいな感じで、あっさり公職につけた訳でもない。何度も落選して、それでもチャレンジして勝ち取った人だった。それを考えると、やっと公職につけたのに任期は短すぎた感じがする。残念だ。演技陣の中で意外によかったのは、ジェイムス・フランコだ。「スパイダーマン」のハリー役など、屈折した役柄が多いし、得意だと思っていた。しかし、今回はミルクを年下ながら大きな愛で包み込む役で、こんな役も演じられるんだと見直した。
秀逸な伝記
完成度が高い映画。少年時代や兵役時代をバッサリ切り、背景をミルクの当選までの苦難、プロポジションとの闘いに絞った構成で、そこに恋愛や宿敵となる男との絡みもスキなく盛り込まれ、全く無駄がない。行進での怒りや熱気もひしひし感じ、活きの良い映画でもある。ガス・ヴァン・サント見事。
印象的な車椅子の少年のエピソードはDLブラックのオリジナルであろうか。だとしたらオスカーも納得だ。
ペンはミルクの仕草まで完璧に再現しているようだ。youtubeで見たらホントにソックリだった。でも、演説は力入りすぎ。『オール・ザ・キングスメン』と同じ。悪い癖だ。
脇の演技も素晴らしい。ジョシュ・ブローリンの顔の不思議な構図が彼の不安定な精神を表していたと思う。
事実は小説より奇なり。その2
ハーヴェイミルク、最後の8年の物語。
とても良い作品で、ショーンペンの演技もすごい。
時代も状況も違うのだけど、ハーヴェイミルクの存在そのものが、現代につはがる一つの革命だったのだろう。
悲しいことに、見ていない人には「ゲイの映画」みたいな捕らえ方をされてしまっている。それが残念でならない。
あと、リバイバル上映の「ハーヴェイ・ミルク」を後に観るべきだったなぁと。なぜなら死後のこともやっているから。
なんにしろ、興味があるなら、「ミルク」「ハーヴェイ・ミルク」どちらも観ることをお勧めします。
なんびとにも、機会の平等がある
ハーヴィー・ミルク氏は四度目の立候補で、
サンフランシスコの市制執行委員会に当選し、
ゲイ支援運動に尽力した。
その彼をショーン・ペンが演じ、
今年度のアカデミー賞主演男優賞に輝いた。
映画のエンドロールの部分で
実際のミルク氏を映していましたが、
ショーンは実に似せて演じていました。
40歳迄、ミルク氏はニューヨークで教師をしていて
ゲイであることを隠していたのですが、
ボーイフレンドが出来たことをきっかけに
カミングアウトして、羽ばたき始めます。
映画は40歳になった時から始まります。
彼等がサンフランシスコのカストロ通りで
権利を主張しはじめると、
反作用、ゲイ追放運動も起きます。
そんな時代のウネリのなかで、
彼は同胞達とゲイ解放運動を進めて行きます。
まぁ、コノヘンの感覚は、正直良くわかりません。
だとしても、なんびとも機会の平等は守られなければ
歪んだ世の中になってしまいます。
そんな事を思いながら何処か釈然としない気持ちで観ていました。
だから感情移入出来ず、乾いた気持ちで観ていました。
そんな気持で見ていた為なのか
それともストーリー自体が、
ミルク氏の行動を淡々となぞるだけだった為なのか、
彼や彼等の内面に迄は踏み込んでいない様な気がしました。
ただ、実在の人物に似せたつくりは非常に見ものです。
メガネをかけただけでエミール・ハーシュには
まったく気付きませんでした。
ショーン・ペンの演技に拍手^^
さすが!本年度アカデミー賞主演男優賞受賞のことはあります!
ショーン・ペンの見事な演技。
本当にゲイかと思わせるくらいな
彼の表情や仕草は、まさに拍手もんでした^^
タイトルの「ミルク」って初め、何のことやら!?
・・・って不思議に思いましたが
ハービー・ミルク・・・彼の名前だったんですね^^;
実在の人物だったとは。。。
私は彼の存在は、全く知りませんでした。
ゲイの映画というと偏見な目で見られちゃう感じだけど
どんな人間も全て平等でなくてはならない!
そのことを強く訴えていた作品だと思います。
映画の中で
「自分とは違う人種と接する機会がなくてはいけない」
そんなようなセリフがあって
まさに今のこの時代に大切なことだと深く感銘しました^^
ただ、ゲイを強調するようなシーンが、思ったよりも多く・・・
そこはカットしても良かったような!?(苦笑)
とにかくショーン・ペンの迫真の演技!見ごたえありです(^o^)
4月28日MOVIX伊勢崎にて観賞
ペン氏のミルク。
最初「ミルク」と聞いて、S・ペンが牧場主にでもなるのか?
と、真面目にそう思った作品で…あったが、違った^^;
1970年代のアメリカで、自らゲイであることを公表し、
マイノリティのために戦った政治家H・ミルクを描いた作品。
いつも無知で情けないが、私はこの人を全然知らなかった。
ペン氏が先日のアカデミーで主演男優賞をとって、にわかに
活気づく矢先、しかし無情なシネコンは近所でかけてくれない。
ならば…とりあえず都内のいちばん近いところまで出かけた。
そもそもペン氏が、マイノリティ代表のような人だから(爆)
この役にはもってこいだとは思った。いやしかし、ビックリv
冒頭で登場するやすでに、ペン氏がゲイに見えるのである。
何を話すでもなく、その風貌・態度・動き・目線、すべてがゲイ。
こんなにゲイのテイスト満載の始まりだとは^^;
すでにその時点で彼が主演男優賞をとった理由に納得できた。
なのでこの作品は、その内容が云々というより、
彼が、いかに、巧いのかを見せつけてくれる作品といえる。
もちろんミルク氏ご本人も(写真で出てくるが)魅力的な笑顔の
素敵な紳士である。どうして人間は、他人の趣向について、
あれこれと非難しなければ気が済まない性質を持つのだろう。
当時も現在も、自他の違いを受け入れようとしない人は多い。
彼らは本当に社会悪だろうか。子供に悪影響を与えたろうか。
差別や偏見を持たずに、真っ直ぐ人間を見られるのはむしろ、
子供たちのような気もする。
さて物語の方は、彼と運命の相手スコットとの出逢いに始まり、
彼らがサンフランシスコで小さなカメラ店を開くところから、
やがてそこがヒッピーたちの溜まり場となり、地元の保守派と
闘うようになるところまでの前半戦、公職に就いた彼が、自ら
新しい改革を打ち出していく後半戦へと静かに静かに進んでいく。
彼は常に自分に正直に生きているため、恋愛面での挫折も多い。
多忙に陥る彼を勇気づけ、別れてもなお支えてくれたスコットの
愛情なくして、とても精神面で耐えられなかったのではないか。
彼は人生の後半で自分の身を案じ、テープに遺言を遺している。
それが物語を引率する形で、彼が当時何を考えていたかを示す。
淡々と静かに進む冒頭から中盤までは、やや退屈かもしれない。
彼自身がすでに十分ドラマティックな存在であるため^^;
ペン氏を中心にズラリと並んだ若手・中年演技派俳優達に注目し、
彼らの扮装姿も楽しみたい。E・ハーシュ、J・フランコは
独特の色気を発しているし、J・ブローリンは憎々しいほど巧い。
D・ルナもA・ピルも巧い。紅一点に戸惑う彼らにはクスリ笑えた。
またひとつアメリカの歴史を学べた。感謝します。
(自他の違いを受け入れる寛容な精神が平和をもたらしてくれる)
ドキュメンタリーを観ているよう・・・
1970年代のサンフランシスコで、ゲイである事を公表し、その代表者として
公職に着いた市民運動家の、非業の死に至る8年間の軌跡を描いた作品。
随所に挿入された当時の映像と、ショーン・ペンをはじめとする出演者達の
渾身の演技によって、あたかもドキュメンタリーを観ているかのような感覚に
引き込まれました。
ショーン・ペンというと、『アイ・アム・サム』以外では、「街の顔役」のような
骨太の役柄の多い俳優さんのイメージが強かったので、当初、この作品の
情報を聞いた時には、ミルク役よりもダン・ホワイト役では?と訝ったもの
でしたが、物腰や仕草、オネエ言葉から髪の毛の先まで、まるでミルク氏が
乗り移ったかのようで、オスカー獲得は大々納得ものでした。
『ミルク』よりも3ヵ月前にアメリカで封切られた『トロピック・サンダー』の
ロバート・ダウニーJr.の台詞に「ショーン・ペンは『アイ・アム・サム』で
あまりにもマジに演じ過ぎたからオスカーを逃した」というのがありましたが、
『ミルク』で「マジに演じた」ショーン・ペンは主演男優賞に輝いたのに対し、
『トロピック・サンダー』で助演男優賞にノミネートされていたロバートの方は、
皮肉にもオスカーを逃しましたね~。。。
胸に迫る感動作! ショーン・ペンも凄いけど、周囲も素晴らしい
1970年代のアメリカで、ゲイであることとを公表した上で初めて公職に就き、人種や性別、年齢による全ての差別撤廃のために戦った実在の政治家ハーヴィー・ミルクの姿をドラマ化した本作は、本年度アカデミー賞で8部門にノミネートされたその事実からも、クオリティの高さに期待をしていた。
で、映画を観終えた際の率直な感想を言うと、しみじみと、そして静かに深く胸に突き刺さった。正直、ミルクの存在は知らなかったが、ショーン・ペンが演じるミルク、その人は、頭が良くユーモアもあり、そして何より勇気と優しさがあった人だと思う。当然、ダメな面もあり、例えば政治活動にのめり込むあまり、プライベートで大事な人との間に距離を空けてしまったりもするのだけど、その弱さも含めて人間的な魅力を大いに感じた。
役者陣では主演のショーン・ペンがとにかく素晴らしくて、オスカーを獲得したのにも大納得の熱演なのだが、彼を支えたジェームズ・フランコやエミール・ハーシュ、それからジョシュ・ブローリン、ディエゴ・ルナ、などなど、脇を固めたキャストのアンサンブルも素晴らしいので必見!
なお、主人公がゲイというだけで、観る事をためらう人もいるかもしれないが、それはあまりにももったいない。百聞は一見にしかず。試写の会場で目を真っ赤にはらしている人もいたので、騙されたと思って観て欲しい。ガス・ヴァン・サントの生涯の代表作になる1本だと心から思う。
ショーンペンやっぱ凄い
俳優辞める辞めるって言いながら、しょっちゅうアカデミー候補になり、
今作で、アカデミー最優秀男優賞取っちゃうし。
サンフランシスコに行ったとき、ふと訪れたカストロ通り。
レインボーフラッグが立ってた。
カストロ通りにレインボーフラッグがあるのは、彼のおかげなんだなぁ。
ショーン・ペンすばらしい!
冒頭の絡みはさすがですた。
思わず、本物?!と見間違えるほど・・・
それだけ、この役に入りきっているんだなと!
相手役、ジェームス・フランコもエミール・ハッシュも
なかなかいい味を出していました!
ミルクってとても頭がいい方で、自分たちをどの様に
見せたら、どういった反応が返ってくるかをしっかり
読んでいる切れ者でした。
今の政治家さんも見習って欲しいですね!
見ごたえのある映画で満足でした!
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