劇場公開日 2009年4月18日

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「自分らしくがテーマ」ミルク SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自分らしくがテーマ

2011年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

観る前は「ブロークバック マウンテン」のような感動作を期待していました。正直、そんなレベルの作品ではありませんが、いろんなことを考えさせられる良い作品でした。ゲイについてはもちろんですが、人の生き方についても説いているそんな映画だと私は思います。

主人公はゲイでありながらも政治家となり、彼ら(ゲイ)の人権等のために戦ったアラフォー男、ハーヴィー ミルク。彼の波乱に満ちた生涯を描いた本作。

注目はキャスト陣による演技、メッセージ性のあるストーリーそして、ガス ヴァン サント監督のこの作品への執念です。特にメッセージ性のあるストーリーは観るものに訴えかけるものがあり、「ゲイであろうが何であろうが人間は自分らしく生きる事が大切である」みたいなことを主張しているのではないかと思います。ガス ヴァン サント監督自身もゲイであり、この作品には強い思い入れがあったのだと思います。男同士のキスシーンをリアルに見せ付ける等、監督のこだわりのようなものも感じました。

それから、演技についてですが、ショーン ペン、エミール ハーシュ、ジェームズ フランコそして、「イントゥ ザ ブルー」でポール ウォーカーと水遊びをしていたジョシュ ブローリンの気合の入った演技は良かったです。ショーン ペンは「フロスト×ニクソン」のフランク ランジェラ程インパクトはありませんが、完全にハーヴィー ミルクに成り切っていました。ミルクの物静かな一面が上手く表現されていたと思います。

さて、キスシーン等の衝撃度はどれ位のものだったかというと「ブロークバック~」のイニスとジャックが“長くて深い”とするならば、本作は“短くてあっさり“といった感じです。ただ、3秒ほど男同士による”オー○ル“があったのは驚きました。あのシーンは省いても良かったのではないでしょうか?これからこの作品を観ようと思っている方はその場面だけ目を覆う事をオススメします。

それから、この作品の弱点ですが、私は特にハーヴィーが初当選するまでの展開は長すぎると感じました。もっとコンパクトに纏めてほしかったです。それから、ハーヴィーの暗殺シーンは人によっては笑ってしまうと思います。ショーン ペンが背中から打たれた瞬間彼のドアップになり、周りがサイレントになるのですが、いかにもミルク自信が「イテエエエエエエ!」と言ってるようなあの表情はいただけませんでした。

しかし、自分らしく生きる事の大切さを描いた良作だと思います。「マーリー~」や「ダークナイト」のように何度も観たい映画ではありませんが、一見の価値はある作品だと私は思います。

SAOSHIーTONY