劇場公開日 2013年8月30日

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マン・オブ・スティール : 映画評論・批評

2013年8月27日更新

2013年8月30日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

眩い光と躍動感に満ちた元祖スーパーヒーローの再起動

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クリストファー・ノーランによる“バットマン”3部作が闇を見据えた物語だとすれば、“鋼鉄の男”のビギニングを描く本作は、さながら眩い光に包まれた一作と言えるだろう。

異星に生まれ、地球で育ったクラーク・ケント。特殊能力に苦しみ、人目を避けて生きてきた彼はまさに究極のアウトサイダーだ。そんな中でも養父母は慈愛に満ちた眼差しで彼の心に光を灯し、実父の想いもまた、彼の生き方に輝きを与えていく。

このラッセル・クロウケビン・コスナーダイアン・レインにおよぶ親達のリレーに心酔させられる。まさかこれほどの名演に触れられようとは。そして主人公の内面醸成に親の愛情を色濃く反映させるあたり、原案&製作のノーランらしい緻密な采配を感じずにいられない。

一方、こうして“内なる葛藤”を丹念に描くからこそ、宇宙から飛来するゾッド将軍とのバトル・アクションもこれに呼応し、“外なる葛藤”として怒濤の激しさを帯びていく。これぞザック・スナイダー監督の真骨頂。とにかく速い。瞬きする間に攻守がすっかり逆転するほどに。鋼鉄の男はそこでもなお、希望という光を身にまとい死闘を繰り広げる。

さらに特筆すべきはハンス・ジマーの奏でるシンフォニーだ。15人ものドラマーを擁して紡ぐ躍動のリズムが、主人公の決断を力の限り祝福し、眼前に広がる未来をダイナミックに脈打たせていくのである。

この高揚を待っていた。これぞヒーロー物の醍醐味であったことを、もう随分長らく忘れていた気がする。スーパーマン誕生から75年。歴史は古いが、アプローチは全くもって新しい。そして語り口は毅然として揺るぎない。まさに王道と言うべき元祖スーパーヒーロー再起動の一作が、ここに堂々と結実している。

牛津厚信

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