「レオナルドディカプリオの顔面を拝むために見ました」シャッター アイランド 茂野翔さんの映画レビュー(感想・評価)
レオナルドディカプリオの顔面を拝むために見ました
◎ あらすじ
ボストン沖合のある孤島には、精神疾患を抱えた重大犯罪者が収容される施設「シャッターアイランド」が存在する。連邦捜査官である主人公は、シャッターアイランドから患者が失踪した事件を追って、相棒の捜査官を連れて、現地調査に出向く。
施設職員らの協力的でない態度や、失踪した患者の突然の復帰など、主人公を取り巻く環境が非常に疑わしく、事件が収束した後も、施設に対する疑念が強まっていく。
出所したはずの元患者や医師との遭遇を経て、施設で行われる非人道的な人体実験のことを耳にした主人公は、共に捜査をしていた相棒さえも信じられない中、一人で人体実験が行われる現場に潜入する。主人公が目にした驚愕の真相とは・・・
◎ 総評
失踪事件や施設を調査するシーンでは、臨場感があり、魅力的である。
主人公が夢の中で亡くなったはずの妻や、失踪した患者が殺した娘から調査における助言をもらう場面も、そういった出現の理由が最後まで説明されないので、謎めいており、色々と考えを巡らせることができて、楽しい。
最終シーンでは、辛すぎる現実を受け止めつつも、あくまで精神病患者として振る舞うことで、ロボトミー手術を受け、全てから解放されたい主人公の考えが垣間見れて、感慨深い。
気分が沈みがちだった妻が子供達を殺し、そんな妻を生きる苦しみから解放するために、自身の手で葬ったとして、全てを受け入れて新たな人生に踏み出すことができるかと言われれば、難しいだろう。彼の選んだ道は、理性的であり、最後には正常に戻ったのだと思う。
現在では、精神疾患に対する解決策として、投薬や生活習慣が挙げられるが、1949年にエガニ・モニスがロボトミー手術でノーベル生理学・医学賞を受賞したように、昔は精神疾患に対する捉え方が今と異なっていた。そういった背景知識を押さえておくと、本作をより楽しむことができるだろう。
余談だが、2016年夏公開の映画「アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち」でも、同作と類似したトリックが使われている。該当作を鑑賞済みの方は、会話中の伏線に気がつく他、早い段階で結末の予想がつくだろう。