誰も守ってくれないのレビュー・感想・評価
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取り上げた題材は良いのに
犯罪被害者の家族にも守られるべき人権があるはず、という狙いは良かったと思います。が、出てくる人物の描き方や、マスコミやネットで面白半分に個人攻撃をする人々への批判が中途半端な描かれ方で、所詮エンターテインメント畑の監督だなとちょっとがっかりしました。
加害者は一人ということ。
とても期待して見に行きました。 結論から言うとズシリと重い内容なのに見応えがあり満足できます!! 加害者の気持ち、犯罪被害にあった家族の心情、警察の意見、社会の反応など今のネット社会や犯罪低年齢化をうまく描いています。 未来ちゃんの映画はホント絶品!!! 加害者以外はみんな傷つき被害を受けるということ…とても考えさせられ学べる映画でした!!
誰が加害者か?
「犯罪者の家族を守る」という、これまで光が当てられなかったテーマを描いた秀作です。 脚本・監督は「踊る大捜査線」の君塚良一で、殺人犯の家族をマスコミや世間の攻撃から守る刑事・勝浦を佐藤浩市、犯人の妹・沙織を志田未来が熱演しています。 東野圭吾原作の「手紙」でも、犯罪者の家族が受ける被害や苦悩を描いていましたが、本作品のほうが事件直後の生々しい緊迫感や迫真力があります。 加害者,被害者,それぞれの家族,刑事、それぞれの立場の苦悩や、癒されない傷が交錯します。 どの立場の人間にも、どうしようもない痛みがあるのです。 それを理解できない人間たちが、偽物の“正義感”を振りかざし、不心得な好奇心で傷ついた人の心を無惨に踏みにじります。 あくどい新聞記者,不謹慎で残酷な大衆,信じていた人間の裏切りなどが、彼らをさらに窮地に追い込んでいくのです。 自分は何もしていないのに、次々と降りかかる災難と悲劇、15才の沙織にはとても受け止めることのできない激動です。 気丈な沙織ですが、志田未来の涙の訴えは峻烈に胸に迫り、涙を禁じ得ませんでした。 特に後半では、ネットの偏執的な書き込みによる、プライバシーの暴露や外野席からの糾弾を、荒々しい映像で畳みかけていきます。 自分たちは安全地帯にいて、無謀な攻撃を広げる傍若無人さは、人間の恐ろしい性(さが)です。 しかし、人のプライバシーを知りたい,悪い奴を必要以上に取っちめたいという気持ちは、誰の心にもあるのではないでしょうか。 そういう気持ちが、マスコミやネットの暴走を招く要因になっていると思います。 これは日本で起きている現実です。 我々自身も戒めなければならないことではないでしょうか。 家族が罪を犯したばかりに、いつまでも激しく付きまとう中傷や嫌がらせ。 そのために自殺してしまう家族もいます。 しかし警察はそれを公に認めず、マスコミも取り上げてきませんでした。 恐らくこれは人知れず沢山起きている悲劇でしょう。 そこに着目し、サスペンスフルな人間ドラマに仕上げた、君塚良一の意欲と手腕に敬服します。
考えさせられる
未成年による凶悪犯罪が起こった時、私は、大抵傍観者。 この映画を見て、いっぱい考えさせられたけど、もし、自分が加害者の身近な人物だったら、加害者家族と普通に接することができるかな?兄弟とかと結婚はできないだろうなぁ・・って言うの正直な所。でも、マスコミ、ネットに踊らされないようにしなければ!
特に未成年の方に観て頂きたい作品です。
凶悪な犯罪で人の命が奪われた時、 私たちは犯人に大きな憤りを覚えます。 何故彼は、彼女は命を奪われなければいけなかったのか。 何故彼は、彼女は人を殺めなければならなかったのか。 その背後にあるものを探そうとして、 私たちは加害者の育った環境にその原因を求めようとします。 そして加害者を育んだ家庭、家族にまで、 憎しみの矛先を向けてしまう・・・。 犯した罪が大きければ大きいほど、 行き場の無い憤りが彼らに向かうのです。 そして、テレビカメラに向かって謝罪する加害者の家族の姿を、 幾度と無く私たちは観てきました。 「ある日、自分が突然加害者の家族になってしまったら・・・。」 この映画は私たちの「視線の反対側」から 犯罪者とその家族を描いています。 家族の一人の人格の崩壊。 その微かな兆し、サインを見逃したために、 ある日突然家族が崩壊します。 捜査令状と言う一枚の紙が、 ひとつの家族の運命を一変させるのです。 様々な手続きが次々と事務的に進められていく中で、 加害者の家族達は自分たちが衆目の監視の中に置かれたこと、 その日を境に完全に世間から孤立したこと、 昨日まで住んでいた世界には二度と戻ることができなくなったことを、 少しずつ悟っていきます。 家族を犯罪者として壁の向こうに失う悲しみと衝撃以上の、 苦しみと痛みが自分たちを直撃する・・・。 一瞬にして地獄に落ちていく加害者家族の苦しみが、 まるで我がことのようにちくちくと心を刺します。 たった一瞬にして、こうも簡単幸せは崩れ去るのかと。 昨日までそこにあったささやかな家族団欄さえも 二度と手の届かない場所へ行ってしまうのかと。 主人公は加害者の妹、しかも中学生です。 彼女にははまだ先の長い一生が残されています。 若く未熟な彼女に背負わされた十字架はあまりに重い・・・。 しかも彼女が背負わされたのは、 自らの罪を贖うためのものではなく、 家族の罪を贖うための十字架です。 誰が彼女にそのような十字架を背負わすことの出来る権利を持つのか。 あまりに理不尽であまりに惨い世間の仕打ち。 しかし、今まで私たちは無意識のうちに 多くの「彼女たち」や「彼ら」を生み出して来ていたのです。 この映画を観るまで意識の無いまま、 加害者の家族に対して抱いていた「思い」。 それがどのような形で彼らを襲っていたのか、苦しめていたのか、 主人公の少女の目線で物語を追ううちに、 胸が苦しくなるほどの思いで彼女の痛みを疑似体験しました。 また、その他にも、 加害者の家族に対して如何なる法的手続きが取られるのか、 彼らを保護する組織の存在やマスコミ・メディア・ネットの功罪など、 今まで知らなかったことをこの映画で沢山発見しました。 単に加害者側からの視点で語るだけでは無く、 映画では少女を保護する刑事や、 犯罪被害者の家族の視点でも物語を描いています。 それぞれの立場に立って物を見たとき、 私たちは何をどう感じるのでしょうか。 何をどう感じることが出来るようになるのでしょうか。 完成披露試写会で鑑賞し既に2週間以上経っていますが、 未だに心に鉛を飲み込んだように重く圧し掛かるものを感じています。 様々な事を考えさせてくれた作品です。 今は、出来れば小学校高学年から高校生までの間の年代の人たちに、 観てもらいたい作品だと思っています。 「自分が犯した過ちが如何なる結果を家族の上にも自分の上にも導くか。」 想像力の無い人たちには特にこの現実を突きつけて観てもらいたい。 そうすれば、多少の犯罪の抑止力にはなるのではないでしょうか。 「踊る大捜査線」の監督・スタッフが、 「踊る~」では描くことの出来なかった 「警察」や「報道」の裏側を描いてみたくて作った作品だそうです。 娯楽に徹した全作とは全く違うアプローチで描かれた作品ですが、 今の時代が必要とする内容の作品だと思います。 ここでの観たい度が1.6点と低いことはとても残念です。 重い内容の作品ですが、ぜひ多くの方に観ていただきたい作品です。
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