ヒットマン(2007) : 特集
全米でスマッシュヒットを記録した「ヒットマン」が日本上陸。映画は、アメリカ的感覚とヨーロッパテイストが織り交ざった、新しい感覚のスタイリッシュなアクションだ。監督も33歳の若手、キャストもこれからが期待の注目株と、フレッシュな才能が集まってる反面、誰もがうなる有名キャスト、スタッフがいるわけではないが、ネームバリューで判断していては損をする。見れば必ず“燃え!”なポイントが満載なのだ。今回は、その燃え(萌え)ポイントを解説しよう。(文:編集部)
「ヒットマン」の“燃え(萌え)!”3カ条
【その1】
レオン+ジェイソン・ボーン!
新たなプロの殺し屋誕生に“燃え!”
主人公は「レオン」×「ジェイソン・ボーン」。彼らに共通する本質は、まずなによりも凄腕のプロフェッショナルであること。頭脳、技術ともに他の追従を許さない卓越した存在であり、仕事に私情を持ち込まない。本作の主人公は、さらにこの要素を徹底。プロの殺し屋を育成する組織で生まれ育った彼には、個人の名前すらなく、持っているのは頭部に刺青されたバーコードの末尾2桁である「47」というコードネームのみ。彼は人間ではなく殺しのための正確無比な機械なのだ。そのため頭部の毛髪を剃ったスキンヘッドで、常に白いシャツと黒のスーツという、無個性な衣装に徹底されている。
だがそんな信条が変化していくのも、レオンやボーンと同じ。彼らはある出来事を契機に組織に追われて単独で行動し、運命の女性に出会い、彼女を守るための行動によって変貌していく。また、ヨーロッバが舞台なのもボーンと共通。追われる男の背後にはヨーロッパ流の男の美学、フィルム・ノワールの香りが漂うのだ。
ちなみにエージェント47を演じるのは、「ダイ・ハード4.0」でブルース・ウィリスと対決するテロリストを演じたティモシー・オリファント。
【その2】
「マトリックス」+「ボーン・アルティメイタム」!
ド派手スタイリッシュ・アクションに“燃え!”
ド派手でスタイリッシュなアクション演出は「マトリックス」直系! そこに「ボーン・アルティメイタム」系のテイストを加えてパワーアップしたのが本作。ブラックスーツを身に纏うクールな殺し屋が宙を舞い、銃弾の数はあくまでも多数、コンクリートの破片が派手に飛び交い、多量の薬莢が床に落ちて跳ね上がる。お互いの頭に銃を突きつけ合うお約束のシーンも3つ巴ならぬ4つ巴と人数を増量、その先の展開も銃から別の武器に持ち変えるという新味を付加。これらの「マトリックス」系アクションに「ボーン・アルティメイタム」系の手持ちカメラ映像をプラス。揺れる視点、ざらつく映像の街中の逃走シーンなどの「ボーン」系のリアルな緊迫感にも注目だ。
監督は33歳のフランスの若手監督サビエ・ジャン。「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟同様、ゲームと香港アクションに影響を受ける彼が、現代的な感覚でクールかつスタイリッシュな映像を創り上げている。
【その3】
エキゾチックな魅力で新ボンドガールに抜擢!
オルガ・キュリレンコに“萌え!”
孤高の男の信条を変えてしまう「運命の女性」の登場は、フィルム・ノワールのお約束。本作でもエージェント47は、運命の女性、ニカに出会う。ロシア大統領の愛人である彼女は虐待を受けており、エージェント47は彼女の瞳の中に無視できない何かを見てしまう……。
ニカを演じるオルガ・キュリレンコは、「007」シリーズの新作「007/クォンタム・オブ・ソラス」のボンドガールに大抜擢された注目株。ロシアのウクライナ生まれでフランス映画「薬指の標本」の主演で映画デビュー。アメリカの美女とは違う、ヨーロッパ系のエキゾチックな美しさは、「007」新シリーズ第1作でボンドガールを演じたエバ・グリーンや、「マトリックス」のモニカ・ベルッチにも通じるもの。さらに本作では、頬にドラゴンの刺青を入れ、コワモテのパンクガールファッションで登場したかと思えば、主人公を誘惑する赤いドレスの妖艶な姿態、やがて47と心が通じ合い後半になるにしたがって見えてくる素直な女の子の素顔など、ニカの持つさまざまな顔を魅力的に演じてくれる。その涙に、47の凍りついた心も溶かされてしまうわけだが……?
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おまけな“燃え”:人気TVシリーズの個性派サブキャラ2人が共演
「プリズン・ブレイク」の凶悪終身刑囚ティーバッグ役のロバート・ネッパーがロシア特務機関の悪徳捜査官役で出演。そして「LOST」の謎の男デズモンド役のヘンリー・イアン・キュージックがロシア大統領の弟である武器商人役で出演し、海外TVシリーズ・ファンにはちょっとオイシイ配役。