ノーカントリーのレビュー・感想・評価
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大変マニアックな映画
理不尽と不条理の国
サイコパス映画の金字塔。
あっさり淡々とコーヒー片手に静寂を楽しむ傑作
最後の場面にあやかって、コーヒー片手にゆっくり見る作品だなと思いました。あまりにも登場人物の起承転結があっさりとしていたり、淡々と田舎である舞台と登場人物が映し出されるシーン、そして何より全体通してあまり盛り上がりに欠けるなどから苦手な人は苦手な映画だなと思いました。個人的にこういう静かな映画が好きなので結構楽しめました。まだ学生の自分には早かったかもしれないけど、色々考えさせられました。人生を見つめ直すにはまだまだなんですけどね(笑)。コーエン兄弟ですが、コメディ色の強い映画監督のイメージがありましたが、ガラッと印象が変わりました。コーエン兄弟なんでも行けますね。最近だとノマドランドに近い感じですが、ノーカントリーの方が僕は全然面白かったです。タイトルもグッときますね。余談ですが、当時オスカーを2分してたポール・トーマス・アンダーソンのゼア・ウィル・ビー・ブラッドと言い、本作と言い、結構暗めで渋く、静かなのに暴力的な映画が多かったのもちょっと面白いです。確かにノーカントリーが作品賞、監督賞の受賞で納得かなっていう印象でした。
原題
こんな殺伐とした国なんて・・・やっぱり地球人は理解できない。
「私は宇宙人ジョーンズ。シェリフをしながらこの惑星を調査している」と、最近のトミー・リー・ジョーンズでは見せなかった宇宙人らしさが出ていた。もっとも、宇宙人とバレちゃいけないのでこんなセリフはないのですが、危険に晒されているモス(ジョシュ・ブローリン)の妻カーラ(ケリー・マクドナルド)に対してわけのわからない牛話をするなんてのは宇宙人そのものだ。
最近、今更集めてもコンプリートできるわけじゃないのに、ミニカーがオマケについてる缶コーヒーのB○SSを飲むようになったのですが、甘くて死にそうです。まぁ、1週間前に淹れたコーヒーよりはマシですが・・・などと考えているうちに、コーヒーやミルクを飲むシーンはあっても酒を飲むシーンがなかったので、本当はノーカントリーじゃなくてノーサントリーにしたかったのじゃないか?と疑念がよぎってしまう。終盤は「肩に弾が当たった」という台詞が象徴するように肩透かしを喰らったように感じる方も多いと想像できるし、慌ててカンヌに間に合わせたかったんじゃないかと思わせるほどの展開。でも、ノーエントリーのままじゃいけないし・・・
老人には住みにくい国だという原題の意味。時代はいつの頃なのか?と映画に集中していると、「1958年製造のコインが22年旅をして・・・」と算数の計算をさせられる。老人には暗算は厳しいんじゃよ!!と、嘆きつつも、酸素ボンベを持ったハビエル・バルデムの冷酷な殺し屋ぶりに神経がピリピリさせられる。家に押し入る時には容赦ナシ!シリンダーごと圧縮空気でぶっ飛ばすのだ。「何しりんだー?!」などと叫ぶ暇もなく被害者はどんどん増えてゆく・・・
恐怖と緊張感の連続がありながらも、コーエン作品らしく意味のない台詞にクスリと笑わせられる。また、妙なこだわり・・・新しい白のソックスが好きなモスや靴下を叩きつけるように脱ぐシガー。パイプが多いテントを買って武器にするんじゃないかと思わせて、鞄を引っ張るためだけだったり。人の服を買うところは対になっていたけど、とにかく登場人物の行動が興味深いのです。そして、洒落た音楽は一切排除して、効果音にも異常なこだわりがあったように思える(たとえば、冷蔵庫を開けて、ジーっと電気音がするとか)。
とにかく殺しがいっぱい。シガーは精神異常というよりも、人の命の重さだけがわかっていないのでしょう。それは自分に対してもそうであり、受けた傷が大きくても、ターミネーターのように自分で治療してしまうくらいなのです。一方、偶然200万ドルという大金を手にしたモスには、水を飲ませてやるという仏心によって不幸が始まった。米国が戦争の道を突き進んだために凶悪犯が増えた必然に比して、ちょっとした善の心によって凄惨な殺し合いに巻き込まれるという、なんとも皮肉な描き方!小市民な者としてはモスの気持ちが十分に伝わってきましたけど・・・やっぱり終盤が・・・
【2008年5月映画館にて】
命の無駄遣い
犯罪と人間の本質についての一考察
観たの忘れて何度か目の鑑賞
背骨の苦痛を我慢しながら、犯罪心理学の本をたまたま読んでいた。
デフォルメされた犯人像だけど、殺人犯の特徴を見事に再現している。
最初は気付かないが、犯人が被害者を支配しようとする、例外なく、そんなところが手に取るようにわかる。
そして、破天荒のようで、計画的で緻密な行動。
実はわからないようで、わかる犯人像、近場で考えたら豪雨の中でサンダルで徘徊する奴ですよ。
被害者も、どちらかと言えば、訳あり、巻き添え食う人も無防備です、他山の石としなくては。
何度か目だと、セリフの妙味や間合いの素晴らしさが群を抜く。
展開も全て知るのに最後まで目が離せない。
多分犯人は、じわじわと天罰を受けながら死んでいくのだ‼️
でないと、もし、神様がいるなら、神様を赦してやらないから。
強烈な悪役
最後まで一気に引き込まれるカット!
【”生死を懸けたコイントス” 無表情の”人間とは別の種族の”マッシュルーム頭に戦慄した作品。】
ー 今作の原作「血と暴力の国」を書いた”コーマック・マッカーシー”の作品について、作品の日本語訳を手掛けた黒原敏行氏は述べている。
”「悪」は人間の本性に根差しているというのが、マッカーシー作品の基本的な世界観だ”ー
だが、私は”異常な緊張感が延々と続く”今作を観て、”そうだろうか?”と思う。
あの無表情のマッシュルーム頭、アントン・シガー(ハビエル・バルデム)は人間とは明らかに別の種族の生き物に見えるからだ。
<Caution!>
以下、ストーリーに”断片的”に触れています。未観賞の方は、一度ここ迄でお願いします。
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・ストーリーはシンプルだ。
”アントン・シガーの”ある行い”が冒頭に映し出された後”
・アメリカテキサス州の荒野で、ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)が偶然、麻薬取引が決裂したと思われる場に遭遇し、200万ドルの入ったアタッシュケースを持ち帰るところから物語は始まる。
・モスは一度、モーテルに戻るが、瀕死のメキシコ人の”アグア・・”という言葉が気になり、夜”アグア”を持って現場に戻る。
ー 彼の”人間としての”善性が残っている事が分かる。 -
・が、そこで追手に遭遇してしまい、”生死を懸けた鬼ごっこ”が始まる・・。
■印象的なシーンは数々あれど、
・荒野の店で、アントン・シガーと店主との噛み合わない会話と”異常な緊張感”の中での”コイン・トス”シーン。
・アントン・シガーの、普段は緩慢な動きだが、酸素ボンベを使った変な高圧空気銃を使用しての殺しの場面になると俊敏になる数々のシーン。
酸素ボンベをダラリとぶら下げながら”ターゲット”に近づく、アントン・シガーの無表情さの気味の悪さ・・。
・危険を感じたモスが、妻カーラ(ケリー・マクドナルド:個人的に、凄く心配になる・・。)をトレーラー・ハウスから一時避難させるシーン。そして、”リーガル・モーテル”でのクランク型の排気口にアタッシュ・ケースを隠すシーン。
・モスがアタッシュ・ケースの札束の中に潜ませてあったあるモノを見つけ・・。
ー 追ってくるアントン・シガーの影・・。ホラーか・・。
何度観ても”手に汗、びっしょりシーン”である。-
・新たな賞金回収屋、カーソン・ウェルズ(ウディ・ハレルソン)は負傷したモスの入院先を、粋なスーツを着こなし、見舞いの花束を持って訪れる。そして、アタッシュケースの在りかを自らの目で、確認して去る・・。
ー 彼も、イカレテはいるが、”人間としての”常識がある事が分かる。-
■この作品では、アメリカ、メキシコ間の”ボーダーライン”が”重要な場所”として、何度か登場する。
ー この作品の数年後、ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の「ボーダーライン」が公開されるが、個人的に勝手に、今作の影響を大きく受けて「ボーダーライン」シリーズが制作されたと思っている・・。ー
ー メキシコ側から国境を越えようと、病院衣を纏ったモスが通過しようとするときの、国境警備員との”ベトナム戦争時所属部隊の遣り取り”も秀逸である。”この方を車でお送りしろ”・・。ー
・そして、アントン・シガーはモスが、妻カーラとカーラの母と待ち合わせをしていたモーテルでモスを殺しアタッシュケースとともに消える・・。
■今作では、重要な役割を冒頭からラストまで担っている、ベテラン保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)の苦悩する姿も、効果的に随所で描かれる。
アントン・シガーとモスとの”生死を懸けた鬼ごっこ”を追跡する彼は、この作品の
”人間としての善性を持った”語り部であり、彼がアントン・シガーについて語る言葉も印象的である。
”幽霊みたいな奴だ・・”
<モスの妻、カーラの家に現れたアントン・シガーがカーラに要求した事。それに対して、カーラが答えた言葉・・。彼の”コインと同じ道を俺は辿って来た・・”という言葉。
アントン・シガーが始めて見せた”人間性”故か、重傷を負った彼にシャツを渡す無垢な少年の姿も印象的な”ダークテイスト極まりないが”不思議な余韻を残す心に残る作品である。>
<様々な媒体で複数回鑑賞>
すごい引き込まれるような映画だった。 この映画は詳細まで描かれてい...
これがアカデミー賞であることに驚愕、ただ、金のために殺人鬼が徘徊してるだけ
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