ノーカントリー インタビュー: ジョエル&イーサン・コーエン監督、メインキャスト インタビュー

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ノーカントリー

劇場公開日 2008年3月15日
2008年3月7日更新

ピュリッツァー賞作家コーマック・マッカーシー原作の「血と暴力の国」(扶桑社刊)を「ファーゴ」「ビッグ・リボウスキ」のコーエン兄弟が映画化した犯罪ドラマ「ノーカントリー」。先の第80回アカデミー賞で、作品賞を含む4部門で受賞した本作のジョエル&イーサン・コーエン監督、そして主演を務めたトミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリンの3人に話を聞いた。(編集部)

ジョエル&イーサン・コーエン監督インタビュー
「この映画は、脚本も、編集も、カットすればするほど良くなった」

映画史にその名を刻む新たな傑作の誕生 映画史にその名を刻む新たな傑作の誕生

※以下、原作や映画のネタバレを含みますのでご注意ください!

――コーマック・マッカーシーの小説を、痛恨の念を持って、世界が腐敗しつつあるという感覚で撮られています。20年前ならこの映画を製作しましたか。それともこういった悲観は、年齢が増したことを意味するのでしょうか?

イーサン「(笑いながら)この映画は、完全に悲観的というわけではないよ。映画の終わりでトミー・リー・ジョーンズの言うセリフの中にかすかな希望の光がある。だがそうだね、確かにこの映画と原作には、時が過ぎ行くこと、古びゆくことや変わりゆく物事について、描かれているところがある。そのテーマについて我々が魅力を感じたことは、今の我々が共感できる物の見方、いや、20年前なら共感できなかったであろう物の見方だった」

――この小説に引き付けられたのは、その内省的なトーンのためですか?

ジョエル「面白いことに、多くの点でこの小説はアクションものであって、内省的な描写はごくわずかだ。我々がアクション映画を撮ることになったと言ってもいいくらいだよ。シュガーがモスを追跡し、保安官がその後を追う追跡劇だからね」

ジョエル・コーエン(左)と弟のイーサン・コーエン ジョエル・コーエン(左)と弟のイーサン・コーエン (C)Shuji Kobayashi

――コーマック・マッカーシーの小説は度々映画やTVに脚色され、彼の作品はいつも“映画的”と称されます。この映画の脚本はかなり書き易かったですか?

ジョエル「小説にお決まりのアクションシーンがあれば、人は『映画のようだ』と言う。それで売れゆきが伸びる。『血と暴力の国』を読み、それを映画のようだと考えることもできるだろう。だが、同時にそこには弊害もあった。小説の世界に入り込んでいくと、それは考えるほど生易しいものではないと実感するからだ。この小説には非常に文学的な側面があり、保安官の声をどう表現すればいいか、即決できるものではなかった」

イーサン「この映画の脚本を書いたときも、フィルムを編集したときも、カットすればするほど良くなった。初稿はずっと長かったが、短くするにつれて良くなっていった。フィルムの編集中でさえ、脚本をもとに喋ったセリフをカットしてしまうことがあったが、いい仕上がりになった。だからこの映画は単なる本からスクリーンへの移し変えではない。例えば、ハビエル演じるキャラクターは本では絶え間なく喋り続け、それは本の中では非常にうまく機能している。だが、脚本を書いているとき我々は、もし彼が喋り続けていたら、彼の犠牲者は『わかった、俺を撃てばいい』なんて言うだろうかと、想像してみたんだ」

――この小説を読み終わってみると、保安官を演じるトミー・リー・ジョーンズ以外の俳優は、想像しにくいです。あなた方も同じように思われましたか?

コーエン兄弟が“ピンときた”というジョシュ・ブローリン コーエン兄弟が“ピンときた”という
ジョシュ・ブローリン

イーサン「トミーを選ぶのに迷いはなかったし、その選択自体間違ってはいないだろう。トミーはあの土地の出身だし、それは言うまでもなく重要だ。年齢もピッタリ。それに彼はトミー・リー・ジョーンズだからね(笑)。つまり、その他の条件も満たす実力あるトップの俳優だ。候補者は少ない。実際、彼だけだったんだ」

ジョエル「ジョシュ(・ブローリン)の場合、まったく話は別だ。ジョシュはリストにさえなかった。たくさんの俳優に会ったが、誰もしっくりこなかった。優れた俳優にたくさん会えば、簡単だと思うだろう。信憑性のある、男らしい主演俳優ならたくさんいるし、誰でもいいように思える。だが、そうではないとわかったんだ」

――それはどうしてですか?

イーサン「その時点で既に決まっていたトミーとハビエルを向こうに回して、信憑性を感じさせる俳優を探すのは難しかった。頭の中で映画を想像し、ハビエルからトミーへ、そして俳優Xへのカットを思い浮かべると、俳優Xは見劣りする者であってはならなかった」

ジョエル「言葉にはならないがはっきりしていた。一緒に部屋にいて、理由はよくわからないが、何か合わない、何かしっくりこないんだ。ジョシュで面白かったのは、彼が部屋に入ってきた途端に、“彼だ”とピンときたことだ。その点に関して、我々のどちらも迷いはなかったと思う」

――どんな点で彼がピッタリだったのか説明していただけますか?

イーサン「ジョシュはコーマックの作品を知っていたし、ファンだった。だが、他にもそういう俳優はいた。彼は作品をよく理解していたが、そういう俳優も他にいた。だが、理解して、理解したことを適切な動きで表現できる俳優としての理解力と才能というものがある。つまり、ジョシュには俳優として、そういうものが備わっていたんだ」

――テキサスと言えば、コーマック・マッカーシーの小説では、風景それ自体が一種の登場人物と言えます。それを等しく映画に投影させることは重要でしたか?

ジョエル「舞台設定はこの物語には不可欠だ。そう、何よりも物語が起こる場所だからね。この過酷な環境下で人間が対決する」

テキサスとニューメキシコの神話的風景がこの映画には不可欠だった テキサスとニューメキシコの
神話的風景がこの映画には不可欠だった

イーサン「実は舞台設定が、この映画を作りたかった理由のひとつだった」

――スクリーン上の景色は確かに壮大です。それはいわばアメリカ映画の神話的風景のようです。このような場所はまだ存在するのでしょうか、それとも高速道路やショッピングモールを上手く避けたカメラアングルのお手柄でしょうか?

イーサン「我々はテキサスとニューメキシコで撮影したし、確かに神話的な風景だ。だが、現実に存在しているし、その荒涼感は美しい。聖書に出てきそうな雰囲気があるんだ」

――「ノーカントリー」は「ファーゴ」以来の最高傑作との呼び声も高いです。やはりそういった評価は嬉しいものなのでしょうか。それとも批評家の言うことは気にも留めないのですか?

イーサン「その日の朝、頭痛がするかどうかによるよ。正直な話、気になるときもある」

ジョエル「でもね、『ここ10年で彼らの最高の映画』と言われると、『じゃあ、残りの全部は何が悪かったのか』となるよね。つまり、一言で丸10年が帳消しにされたってことだよ(笑)」

>>トミー・リー・ジョーンズ インタビュー

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