親密すぎるうちあけ話

劇場公開日:

解説

税理士の事務所に、精神分析クリニックと間違えて入ってきた女性が赤裸々に胸の内を語り、奇妙な関係を築いていくラブ・ストーリー。監督は「髪結いの亭主」のパトリス・ルコント。出演は「マドモワゼル」のサンドリーヌ・ボネール、「バルニーのちょっとした心配事」のファブリス・ルキーニ。

2004年製作/104分/フランス
原題または英題:Confidences Trop Intimes/Intimate Strangers
配給:ワイズポリシー
劇場公開日:2006年6月10日

ストーリー

夕暮れのパリの街。ひとりの女(サンドリーヌ・ボネール)が、6階のモニエ医師の診察室へ向かう。女を出迎えた男(ファブリス・ルキーニ)は、「6時に予約を」という彼女に不審な表情を浮かべながらも、オフィスに招き入れる。長椅子に座った彼女は、いきなりすっかり冷え切った夫婦関係を一気に告白する。女は、当惑顔の男の言葉を待つこともなく、次のカウンセリングの予約をして、早々にオフィスから立ち去っていった。実は、彼はモニエ医師とおなじフロアにオフィスを構える税理士のウィリアムだった。彼女はドアを間違えてしまったのだ。次のカウンセリングの時も矢継ぎ早に独白する女に何も言えないウィリアム。その次の回、彼女は姿を現さない。彼女の連絡先をモニエ医師のところで調べるも、何も手がかりを得られない。ある日、女がやってきた。彼女は、ウィリアムが精神科医ではなく税理士である事実を知っていた。ウィリアムの謝罪の言葉を聞かずに罵倒して帰る女。その夜再びウィリアムを訪れた女は、打って変わってすっかり落ち着いていた。そして自らをアンナと名乗り、すべてを承知のうえ、次の”カウンセリング”の約束を取り付けるのだった。回を重ねていくうちに、ふたりの間には打ち解けた空気が流れ始める。挑発なのか、それともゲームの駆け引きなのかわからない態度の女。しかし30年以上変化のない日々を送るウィリアムは、アンナの話に次第に心魅かれてゆく。また別のある日、ウィリアムはアンナに問われるままに答える。いつしか、”医師”と”患者”の立場は渾然一体となっていく二人。ある日ウィリアムは、モニエ医師からから思いがけない指摘を受け、ショックを受けるのだった。

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映画レビュー

3.5性を語る女

2015年4月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

難しい

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ミカ

4.0ゾクゾクする大人の恋愛サスペンス

2015年3月25日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

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松井の天井直撃ホームラン

4.5「それでも」という屈折した前進させる力

2010年9月3日
PCから投稿

笑える

幸せ

2004年フランス映画。104分。今年43本目の作品。長編映画の引退宣言をしたといわれる映画作りの名手にして、個人的には世界最高の監督の1人であるパトリス・ルコント監督の作品。となると本作は引退から2作前の作品ということになります。

内容は;
1,精神セラピーで訪れた女性は、部屋を間違え、会計士の部屋になにも気づかないまま入ってしまう。
2,会計士の男は、(女が部屋を間違えているという)本当のことを知らせないまま、彼女の話を聞く。
3、彼女は途中で事実を知るが、それでも会計士の部屋に「セラピー」で訪れ続ける。

ルコント監督の作品のほとんどすべてを観てくると、この人が描く男女のテーマには「つかず離れずな関係」があることに気づきます。ルコントの作品にかならず出てくる男と女は、お互いになくてはならない存在にはなるが、しかし何らかの力が働いて絶対に交わることがない。この屈折した力が、彼のすべての作品においてドラマを動かす原動力になります。

本作品の場合のその「屈折した力」とは何なのだろう。語彙が不足しているわたくしには、それが何なのかわかりません。それはひょっとしたら、(2人を結びつけないのは、)お互いに人生を知りすぎてしまったがゆえの臆病さかもしれないし、はたまた、それまでの絆を壊してしまうが故の畏怖の念なのかもしれない。

それでもいずれにせよ、
本作品の、この男と女の関係は不純なまでにプラトニックである(それ故に、性愛と友情という相対するテーマの奥にある「それでも」と2人を結びつける力が浮き彫りになる)。このレトリカルな命題こそが、本作品の(そしてルコントの他作品の)肝にあたるものです。

濃密にして華麗な男女の友情を扱った至高の作品です。

ルコント監督がもう作品を撮らないのが寂しくてなりません。

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あんゆ~る