家の鍵

劇場公開日:

解説

15年の空白を経て、障害を持った息子と初めて対面した父親の葛藤を描くヒューマン・ドラマ。監督・脚本は「いつか来た道」のジャンニ・アメリオ。共同脚本は「輝ける青春」のサンドロ・ペトラリアとステファノ・ルッリ。撮影は「いつか来た道」のルカ・ビガッツィ。音楽も「いつか来た道」のフランコ・ピエルサンティ。出演は「ピノッキオ」のキム・ロッシ・スチュアート、「スイミング・プール」のシャーロット・ランプリング、これが映画デビューとなるアンドレア・ロッシ、「炎の戦線エル・アラメイン」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。2004年ヴェネチア国際映画祭3部門(パジネッティ賞ほか)など受賞。

2004年製作/111分/イタリア
原題:Le Chiavi Di Casa/The Keys to the House
配給:ザジフィルムズ
劇場公開日:2006年4月8日

ストーリー

若き日、出産で恋人を失った衝撃から、生まれてきた我が子を手放してしまったジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)。亡くなった恋人の家族が育ててきた息子のパオロ(アンドレア・ロッシ)は、障害を持って生まれていた。15年の空白を経て、初めてパオロと出会ったジャンニは、パオロをミュンヘンからベルリンのリハビリ施設に送り届けることになる。戸惑いを隠せないままベルリンに着いたジャンニは、重い障害を持つ娘を看護する穏やかな女性ニコール(シャーロット・ランプリング)と出会う。彼女との会話の中では、ジャンニはパオロの実の父親であることを中々認められないでいた。それでも徐々にパオロとの愛情の交流を実感し始めた彼は、いよいよ父親であることを引き受ける覚悟を決める。リハビリ施設を出て、パオロを船に乗せて2人で旅に出た。パオロが写真と手紙だけ交わしているガールフレンドの住むノルウェイに行くのが目的だ。その道程で、ジャンニはパオロを家族に迎えることを提案する。嬉しそうな顔を見せるパオロだが、しかし車の中で、急にジャンニの態度を試すかのようにわがままな振る舞いを始める。その態度に苛立つジャンニは車を止め、外に出て思わず涙を見せる。そんな彼を、パオロは抱きついて慰めるのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5杖を捨てて何故感動したのかよく分かってない

2023年2月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

障がいを持った子と、かつて彼と向き合う事から逃げた父親による物語。

そもそも家族と正面から向き合うというのは、なかなか自分に満点をつけられる人のいない意外にも難しい事で、それを浮き彫りにしつつも、悲観的になりすぎない、一定の温かみを持った作品。

個人的には、父が杖を海に捨て、息子が「イカれてる!!」と爆笑するシーンが、理由のよく分からない琴線に触れ、この映画の点数を大幅に上げた。

おせっかいがすぎるところもありながら、決してダメダメな父親にデフォルメされているわけではなく、
むしろかつて子との関係を放棄した事を真摯に反省しながらも、イライラしたり泣いちゃったりする、ちょうどリアルな父親の姿は、特異な環境と言えど共感できるものだった。

そして、パオロの演技は群を抜いていたと思う。

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wutang

4.0現実を知った男の涙は・・・

2020年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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Gustav

4.0シャーロット・ランプリング

2019年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 実の父親であるジャンニの喜びと苦悩。心理描写がリアルすぎたおかげで涙を止めることができなかった。

 ジャンニの息子パオロよりも思い障害を持っている女の子の母親シャーロット・ランプリングでしたが、「自分の息子ではない」と嘘をつくジャンニを見透かしたように鋭く助言を与えていました。初めて会ったときから、障害児を抱える親の辛さを訴えるのではなく、本音をさりげなく言うところにドキリとしてしまいました。特に「死んでしまったほうが・・・」などと言うところは、最近よくある介護疲れによる殺人事件をも思い起こさせるのです。

 父親ジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)は今では妻子もあるが、15年前に恋人の死のショックから障害を持ったパオロを手離してしまっていた。その罪悪感もあってパオロを育て上げる決意をするのですが、「自分を父親と認めてくれるのか」という心配がつきまとい、彼への接し方にも苦労が絶えません。リハビリ病院の行事中にパオロがいなくなるという、ちょっとした事件の際、うろたえぶりや最悪のことさえ考えていた様子などは演技がリアルすぎて怖いくらいでした。また、甘やかしたり、気を引こうとしたり、リハビリ中に思わず抱きしめたりと、ぎこちなさいっぱい。パオロの中でいつ父親と認めてくれるのかとハラハラしてしまいました。

 突如、パオロの文通相手の女の子にノルウェーまで会いに行こうと思い立ったジャンニ。ここからのロードムービー風演出によって父と息子が真に向き合うのですが、心と心の隔たりが一気に氷解するかのような一瞬がたまらなく良かった。やっぱり子どもにとって一番の関心事は親なんですよね。

 パオロを演じたアンドレア・ロッシは自然な演技で本当に障害児だと感じたくらい。そして、イギリス人のランプリングはここではドイツ語とイタリア語を喋るのですが、いったい彼女は何ヶ国語喋ることができるんでしょうか・・・すげぇ。

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kossy

4.0観て良かった

2015年7月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

たまたま『サラの鍵』の後に観た『家の鍵』。どちらも子供が印象的な作品。そして、どちらもラストの唐突な感じが心地いい。立て続けに観た2つの鍵は、どちらも深く重い作品だった。
多くを語らない設定に、最初は戸惑ったが、見ていくうちに、細かい疑問は解けていく。シャーロット・ランプリングの存在感がさらにセリフに重みを与えて胸に突き刺さる。子育てには覚悟が必要。

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Riko
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