ジャスティス 闇の迷宮
劇場公開日:2004年8月28日
解説
1970年代、軍事政権下のアルゼンチンで政府が関与したとされる多数の失踪事件が発生したという事実を背景に、政府の陰謀に立ち向かう夫婦の姿を描いた政治サスペンス。ローレンス・ソーントンの原作を基に、「キャリントン」のクリストファー・ハンプトンが脚色し、自ら監督。主演はアントニオ・バンデラスとエマ・トンプソン。
2003年製作/107分/アメリカ・アルゼンチン・スペイン・イギリス合作
原題または英題:Imagining Argentina
配給:ファインフィルムズ
劇場公開日:2004年8月28日
ストーリー
アルゼンチンでは1976年のクーデターによる軍事政権の成立以来、市民の失踪が相次いでいた。首都ブエノスアイレスで児童劇団を主宰しているカルロス(アントニオ・バンデラス)は、妻セシリア(エマ・トンプソン)と一人娘テレサの三人で静かに暮らしていた。ジャーナリストのセシリアは強い正義感から市民の失踪事件の真実を追求、それが政府の陰謀である事実を突き止め、カルロスの反対を押し切って、その記事を発表しようとしていた。ある夜、帰宅したカルロスは妻がいなくなっていることを知る。警察に捜索の依頼をするが、目撃者がいるにも関わらず、全く相手にされなかった。彼は娘と一緒に手がかりを求めるが、2ヶ月たっても妻の行方に関することは何一つ見つからなかった。劇団の仕事も手につかないカルロスだったが、ある日、稽古場に行くと若い団員のエンリコが父親が行方不明になってしまったので、退団すると訴えてきた。妻の行方がわからないカルロスにとっても他人事ではなく、励ますうちに、エンリコの父親の姿が幻影として“見え”てくる。カルロスは、父親の身に何が起きたのか、今どこにいるのか、そして明日戻ってくるだろうということをエンリコに告げるのだった。カルロス本人も、自分で話しながら何が起きたのかわからないままに、翌日エンリコから、カルロスの言葉通り父親が戻ってきたことを知らされる。自分に与えられた特別の能力に気づいたカルロスは失踪者の家族のために、失踪者の行方を“見て”教えるという集会を始める。誘拐されたが救出された者、拷問され殺害された者…数々の被害者の事実を“見て”、家族に告げるカルロス。それはカルロスにとっても、家族にとっても、必ずしも喜ばしいことばかりではなかった。娘のテレサも母親が恋しく、カルロスにすがり、行方を“見て”欲しいと懇願するが、なぜか妻セシリアの姿だけは“見え”てこなかった。その頃、セシリアは軍部の組織に拘束され、過酷な拷問を受けていた。政府に対する告発をやめるというまで、監禁され、レイプと暴力を受け続けねばならなった。しかし、愛する家族との再会と自分の信念を貫くために、どんな苦痛にも耐える決意をしていた。カルロスの集会は日に日に参加者が増えていた。しかし、セシリアの様子だけは依然“見る”ことができず、断片的に頭をよぎる映像だけが手がかりのように思えていた。カルロスはそんな断片の一つであるフクロウに導かれるように妻を捜索するのだった。そんなカルロスの活動を政府が見過ごすはずもなく、遂に娘テレサが目の前で連れ去られてしまう。妻には政治的な発言は控えろとたしなめていたカルロスだったが、権力側のあまりの横暴に耐えかね、意図的に政府を批判するような演出で芝居を上演する。当然のごとく当局の怒りを買い、劇場は閉鎖に追い込まれ、劇団運営のパートナーが逮捕されるが……。
スタッフ・キャスト
- 監督
- クリストファー・ハンプトン
- 原作
- ローレンス・ソーントン
- 撮影
- ギレルモ・ナバロ