9000マイルの約束

劇場公開日:

解説

最愛の家族との約束を果たすため、遥かユーラシアの大地、9 000マイル(14 208km)を命を賭けて歩き続けた男の感動の物語。監督は「カスケーダー」のハーディ・マーティンス。ヨーロッパで有名な実話を壮大なスケール感で描き上げ、ヒューストン国際映画祭グランプリをはじめ、2003年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭での審査員特別賞など、世界中の映画祭で数々の賞を獲得した。撮影はベラルーシ、ウズベキスタン、ドイツと全工程64 000kmにもなるオールロケを敢行。撮影は1年にもわたり、総スタッフ数277人、エキストラ11 480人という大規模なものになった。ロシアが誇る撮影監督、パーヴェル・レベシェフによる壮大な大自然の光景は圧巻である。

2001年製作/158分/ドイツ
原題または英題:As Far As My Feet Will Carry Me
配給:東芝エンタテインメント=アルシネテラン
劇場公開日:2004年1月17日

ストーリー

1945年秋、ドイツ人中尉のクレメンス・フォレル(ベルンハルト・ベターマン)は、モスクワの裁判所で戦争犯罪者として有罪判決を受け、ほかの3000人の捕虜と共にシベリアに送還された。移送途中で、すでに捕虜の3分の1は寒さや飢え、疲労のために命を落としていった。1946年、生き残った者は北東に向けて行進させられたが、1年にわたる徒歩の末にたどり着いたのは、たった1236人だった。そこはシベリアの最果てデジネフ岬。果てしない氷の砂漠に囲まれた収容所には、鉄条網も監視塔もない。ただ一つの鉛鉱山があり、ランプの光さえ乏しい暗闇の中で捕虜たちは働き、生活しなければならない。それは死刑宣告にも等しいものであり、収容所からの逃亡は不可能に思えた。1947年、フォレルは愛する家族の待つドイツへ帰ろうと脱走を試みた。計画は失敗に終わったが、家族へ会いたいという確固たる意志がくじけることはなく、フォレルは再び危険な脱走劇を計画していた。それを知ったドイツ人医師シュタウファー(ミハエル・メンドル)は、自分のために用意していた精緻な脱走計画をフォレルに託した。シュタウファーは癌に侵されており、もはや自ら計画を実行することができないのだった。1949年10月、フォレルは凍てつく寒さの中、脱走計画を決行する。ソ連軍のカメリアフ中尉(アナトリー・コテニョフ)が差し向けた追っ手が迫る中、力の限り広大な氷原を走り抜け、北シベリアの広大な無人地帯に逃げ込む。野生動物からの脅威や孤独、寒さ、飢えによる死の危険に常にさらされながらも、フォレルは一歩一歩、着実に前進していった。ある日、フォレルは二人のロシア人に出会う。彼らとともに魚を捕り、猟をしながら西へ進むフォレル。しかしある時、金塊がもとで争いが起き、ロシア人の一人が仲間を射殺してしまう。フォレルも谷に突き落とされてひどく傷を負ったが、身を引きずるようにして何とか先へ進んでいった。もうろうとなりながらも頭に浮かぶのは、愛する妻と娘の顔だった。そんな時、フォレルを狼が襲う。絶体絶命かと思いきや、ユッピック族に救われる。シャーマンの娘イリーナ(イリーナ・パンタエヴァ)は献身的にフォレルを介抱し、回復に向かう。1951年夏、フォレルはとうとう鉄路でモンゴル国境までたどり着いた。ここまでくれば、安心と思ったのもつかの間、カメリアフ中尉が先回りして待っていた。フォレルはすんでの所で走行中の列車に飛び乗り難を逃れる。1952年夏、貨物列車を乗り継ぎながら、フォレルはコーカサスに辿り着いた。収容所を脱走してから、すでに3年が過ぎようとしていた。疲労と空腹が極限にまで達していたフォレルに一寸の光がさす。イゴールというユダヤ人が、救いの手を差し伸べてくれたのだ。地下組織とつながりのある彼は、フォレルのために偽造の身分証明書を入手する。それは国境を越えてペルシャに入るために、どうしても必要なものだった。1952年10月、フォレルはペルシャに到着するが、カメリアフ中尉の策略によってソ連のスパイ容疑で再び逮捕された。もし真の身分を証明できなければ、3年に及ぶ逃避行が水の泡になるばかりか、死刑判決は確実だ。最後の望みの綱は、公用でアンカラに滞在している叔父に、身分証明してもらうことだけだったが……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0 戦地へ向かう際、妻から妊娠してると告げられる。長女リサには絵葉書...

2019年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 戦地へ向かう際、妻から妊娠してると告げられる。長女リサには絵葉書を送るという約束をしたまま夫は帰って来ない。安否さえわからず不安な日々を送る・・・

 脱走するまでが早いと思ったけど、そこからが極寒の地シベリアを横断するという過酷な逃亡描写。餓えのためにアザラシだって食っちゃうクレメンス。ドキュメンタリーかとも思えるような雪原映像がすごい。イヌイット(?)の女性とのロマンスもあったりするが、彼を助けてくれる人ばかり。しかし、彼に関った人間はかなり殺されていく・・・

 一番印象に残るのはユダヤ人の虐殺を許してしまう誇り高きユダヤ人。「虐殺の事実を知らなかったんだな」と怒りは上層部に向けられていた。何度でも助けてやるなどと、ちょっと美談すぎる気もするが・・・

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kossy