非情の標的

劇場公開日:

解説

暗黒街の組織に愛する妻を誘拐され、彼女を助けるため服役中の男を連れ組織にむかう刑務所の副所長の姿を描くアクション。監督は「狼の挽歌」のセルジオ・ソリーマ、脚本はアルドゥイノ・マイウリ、マッシモ・デ・リタ、セルジオ・ソリーマ、撮影はアルド・スカヴァルダ、音楽はエンニオ・モリコーネが各々担当。出演はオリヴァー・リード、アゴスティーナ・ベリ、ファビオ・テスティ、フレデリック・ド・パスカルなど。

1973年製作/イタリア・フランス・モナコ合作
原題または英題:Revolver
配給:20世紀フォックス
劇場公開日:1977年12月3日

ストーリー

イタリー財界の大物の石油王が何者かに殺された。警察は容疑者としてミロ(ファビオ・テスティ)を逮捕し、ミラノの刑務所に送りこんだ。ところがある日、副所長ピート(オリヴァー・リード)の妻アンナ(アゴスティーナ・ベリ)が何者かに誘拐される。そしてピートの元にミロとアンナを交換するためにミロを脱獄させろと脅迫電話が入る。早速ピートはミロを脱獄させ、引きかえ場所へむかった。組織は石油王暗殺事件の秘密をにぎるミロを殺そうとする。ある日、逃走の途中でミロはピートのすきをみて、自由を得、ピートに手錠をかけ、自分の恋人のいる国外まで逃走をはかった。しかし組織の手は2人に忍び寄る。そして、この組織のボス、グラニエ(フレデリック・ド・パスカル)はアンナとミロの交換を急ぐ。一方、ピートは深みにはまっていった。警察でさえこの組織と手をむすんでいたのだ。孤立無援のピート。やがてピートはミロを殺害し、アンナのいるパリのあるマンションにむかった。しかし、発見したアンナは麻薬にむしばまれていた。そしてグラニエが間もなく変死体で発見される。警察は組織との関係に感づいたピートにアンナを渡すのと引きかえに、供述書をとった。ピートは黒い警察の存在を知りつつ、権利に屈し何も知らぬというこの書類にサインをした--。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0ギリギリの選択肢

2023年1月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

話が飲み込み辛くて回りクドく感じてしまう展開に衝撃的な方向性がありながらも釈然としない全体像、奇妙な関係性からのバディ物として薄情にも当然ながらの選択、物語の伏線回収が成されながらも頭が混乱してしまう序盤、中盤、終盤と徐々に理解は出来ながらもやはり全体的な物語構成がクドい、飽きる訳ではないけれど観ていながらダルく感じてしまう。

ラストは救いようがなくてバッドエンドながらの潔さ、正義を捨ててまで取った全ての行動に奥さんの驚愕的な表情から何かが崩壊してしまう予感、抗えない巨大な組織と暴けない社会の闇、マカロニ・ウェスタンの監督が70年代特有のアメリカン・ニューシネマや日本のATGみたいにイタリア映画としてシビアでサスペンスな物語を重厚に仕上げたような。

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万年 東一

4.0かくて熱血中年刑事は権力に屈し、最愛の人のために正義を捨てて口を噤む...

2022年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

『復讐のガンマン』や『狼の挽歌』といった硬派なアクションで知られるセルジオ=ソリーマ監督によるダーティーな犯罪アクション作品です。
 若い頃は殺人課の刑事として活躍しながらも紆余曲折有って刑務所看守に身を窶している中年刑事が、誘拐された若い妻を救い出すために犯人グループと闘うも、余りの敵の巨大さと自分の属する警察組織の腐敗も目の当たりにして静かに体制に迎合していく姿を乾いたタッチで描いています
 囚人とぶつかり合いながら親交を深めていく様はこの上なく暑苦しくもどこかホモセクシュアルな漂いも有り、主演のオリヴァー=リードがずんぐりむっくりな体型に口ひげの勝新さんスタイルなことも相俟ってどことなく『兵隊やくざ』シリーズっぽさも感じさせる面も有ります。
 本来ならば脇役に回されるような"権力に屈した男"を主人公に持ってきているのが驚愕というか、冷徹なイタリア映画!というところ。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)