描かれた人生

解説

「人生は四十二から」「白い蘭」のチャールズ・ロートンの主演する映画で、ロンドン・フィルムのアレクサンダー・コルダが「ドン・ファン」と同じく製作、監督した。脚本は「逃げちゃ嫌よ」のカール・ツックマイヤーが書卸し、ジューン・ヒードが脚色、「逃げちゃ嫌よ」「ドン・ファン」のジョルジュ・ペリナールが撮影に当たった。助演者はかつて「春宵巴里合戦」に出演した舞台の人気女優ガートルード・ローレンス、「フランケンシュタインの花嫁」「幽霊西へ行く」のエルザ・ランチェスターを始めとして「奇蹟人間」のエドワード・チャップマン、ジョン・ブライニング、アラン・ジーエス、ジョン・クレメンツ、その他である。映画中、レンブラントの画を模した場面がいくつか取り入れられていることを附記して置く。

1936年製作/イギリス
原題または英題:Rembrandt

ストーリー

十七世紀の始め、オランダは世界の強国の一つで世界の各地からアムステルダムへは宝が船で招き寄せられていた。物語は、レンブラントが名声と富の絶頂にあった時に始まる。愛妻サスキアは彼にとってあらゆる霊感の泉であり、彼の製作慾を次々と駆り立てていた。しかし、常に夫のモデルになっていたサスキアは健康を損なって一子ティツスを残したまま死んで行った。そして又、レンブラントが市民軍に肖像画を依頼されて描き上げた大作「夜の護り」は、彼の全く新しい意図が人々に理解されず暗い画として人々の嘲りを買った。だが、レンブラントは浮薄な成功も名声も軽蔑していた。弟子のフリンクには成功を望むなら他の師につけといった。彼の周りにいるのは、家政を一手で切り廻し、ティツスを育て、彼に献身的に仕える家政婦のゲールチエと、彼を尊敬するファブリチウスとであった。こうして十年の後、レンブラントは債鬼に攻め立てられる身となった。所有物から家まで失う境となった。人々はゲールチエに説き、ゲールチエもまたレンブラントに、大公に補助を頼むように勧めた。この際でもレンブラントは、路傍にいた乞食とティツスをモデルとして「サウルとダビデ」を描き、そして静かな生活を求めて故郷のレイデンの農家に帰った。しかし、ここでも彼は都会の人として人々に容れられず、再びアムステルダムに立ち帰る。この時、レンブラントは女中ヘンドリッキエに新たなる霊感を見出した。レンブラントの霊筆は再び振るい出した。しかし、ゲールチエはヘンドリッキエを嫉妬し、彼女とレンブラントの関係を教会に訴えた。そのためヘンドリッキエは教会から破門される。レンブラントはヘンドリッキエと結婚しようとしたが、再婚するにはサスキアの遺産の半ばをティツスに渡さねばならない。しかも彼にはその遺産は今では一文もないのだ。ヘンドリッキエは今度はレンブラントを債鬼から救うために努力しつつ、また彼のモデルともなった。こんな心労は彼女の体を弱らせ、一人の女の子を残して、死んで行った。今はもう老いたレンブラントは貧困のどん底に落ちた。ファブリチウスが時々、助けに来てくれる位だった。「虚栄だ、総ては虚栄だ」といいながら、レンブラントは一人で立つのである。

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