僕のスウィング

劇場公開日:

解説

白人の少年とロマの少女のひと夏を描いた淡い恋物語。監督・脚本・音楽は「ベンゴ」のトニー・ガトリフ。出演はオーディションで選ばれたオスカー・コップとルー・レッシュ、ジプシー・ギタリストのチャボロ・シュミットほか。

2002年製作/90分/フランス
原題または英題:Swing
配給:日活
劇場公開日:2003年1月18日

ストーリー

夏休み、ストラスブールの裕福な地区に住む祖母(ファヴィエーヌ・マイ)の家に預けられたマックス(オスカー・コップ)。彼はジプシー・ギターの名手ミラルド(チャボロ・シュミット)の演奏を耳にして、マヌーシュ・スウィングという音楽に心奪われる。さっそくギターを買いに出かけたマックスだが、少年のようなロマの娘スウィング(ルー・レッシュ)に、ウォークマンと引き替えに粗悪な中古ギターを押しつけられる。それから毎日のように、ギターを習いにミラルドのトレーラーへと通うマックス。一方、おてんばのスウィングは、彼をいたずらや冒険の世界に誘い込む。やがて秘密の川に浮かべた小さな舟で、スウィングは突然マックスにキスをした。しかし夏の終わりと共に、別れの時がやってくる。まず、ミラルドが倒れて急死してしまう。そしてマックスの母親が、彼を戻しに迎えにくる。マックスは、スウィングが字が読めないことを知らずに、思い出の詰まった日記を彼女に渡し、母親の車に乗るのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0小さな恋のメロディとナチの迫害

2018年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 冒頭のギター演奏でノックアウト。ジャンゴ・ラインハルトを彷彿させるミラルダのテクニックに見とれてしまった。ジプシー音楽も様々あるが、民謡とジャズを融合した独特のマヌーシュ・スウィングはジャズファンにはたまらない音楽だ。圧巻はトレーラーハウスの中で20名くらいのミュージシャン達が演奏するシーンと、ラスト近くの女性コーラスを含んだイスラム風音楽との融合作品だろう。ストーリーとは直接関係がないように演奏されているのが好感度大。

 ストーリー的には小さな恋のメロディのような少年時代のひと夏の思い出であるかのような流れではあるが、要所にナチの迫害や民族差別の風刺が込められている。少年がロマ(ジプシー)地区に足を踏み入れて、偏見のない純粋な想いでギターレッスンや淡い恋心を抱くところには心うたれます。説明的なところが全くないのでアート風な作りにも思えるが、想像力をかきたてられる分観客にはそれぞれの想いをプレゼントしてくれる。ラストシーンでのスウィングがミラルダの靴を履いていたのも感動的だ。

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kossy