世紀の楽団

解説

アーヴィング・バーリンが1911年から1935年にかけて作曲した小唄26曲および当時の新作2曲を並べて、アメリカ軽音楽史を視覚化せんと企てたもので「シカゴ」の3主演者タイロン・パワー、アリス・フェイ、ドン・アメチが主演し、「シカゴ」「勝鬨」のヘンリー・キングが監督にあたった。脚本は「四人の復讐」「青春女学生日記」のリチャード・ハーマンが書下ろしたストーリーによって、「シカゴ」「奴隷船」のラマール・トロッチと「何が彼をそうさせたか」のキャスリン・スコラが協力執筆したものである。助演者は「天晴れ着陸」「海は桃色」のエセル・マーマン、「からくり女王」「珍Gメン」のジャック・ヘイリーを始め、「ハイディ」のジーン・ハーショルと、「ショウボート(1936)」のヘレン・ウェストリー、「四人の復讐」のジョン・キャラダイン、「シカゴ」のポール・ハースト、「天晴れ着陸」のウォーリー・ヴァーノン、「銀盤の女王」のディキシー・ダンバー、新顔のルース・テリーその他である。キャメラは「シカゴ」「目撃者(1936)」のペヴァレル・マーリーが、音楽指揮は「デッド・エンド」ノアルフレッド・ニュウマンが、舞踏振付けは「巨星ジーグフェルド」「陽気な町」のシーモア・フェリックスが、それぞれ担当している。なおアーヴィング・バーリン作曲の小唄はその歌詞も全部彼自ら書いたものである。

1938年製作/アメリカ
原題または英題:Alexsander's Ragtime Band

ストーリー

サンフランシスコの薄汚い酒場へ、歌手のステラ・カービーは職を求めにきた。そこへロジャー・グラントの指揮するバンドも職を求めにきたが、ピアノ弾きのチャーリーが楽譜を忘れてきたので、無断でステラの持ってきた楽譜「アレクザンダース・ラグタイム・バンド」を勝手いに演奏した。こんなことからステラもこの一座と一緒にここへ雇われ、次第に有名になって行ったが、勝気なロジャーと彼女はいつも口争いをやるので、そのたびにチャーリーが間を取りなした。やがてこのバンドは西部の一流どころで演奏するようになり、ステラも昔と違って一流歌手らしい教養を身につけて来た。その仲の悪いロジャーを彼女は心の中で愛していたのである。その心は彼にも通じて2人は晴れて愛する仲になったが、チャーリーは失恋の苦しみを彼らの前には現さず何くれと親切だった。その頃ニューヨークの有名な興業者ディリンガムがサンフランシスコに来てステラの歌を聞き、彼女を契約することになった。彼女は機械をみて一座を呼ぶからと説いたが、ロジャーは一同と離れる態度を怒り、彼女の味方をするチャーリーと2人に絶縁を申し渡した。その時米国は世界大戦に参加することとなり、ロジャーも仲間のデイヴイと一緒に陸軍へ入り、軍楽隊の興業に出演した。ステラは秘かに劇場に赴いたが、出演した部隊はその夜出動命令を受け舞台で隊伍を組んでそのまま出発した。戦線で2年を過ごして帰国したロジャーの心には、昔と同じくステラの幻が消えなかった。今は大スターとなっているステラを劇場へ訪れてみると、彼女はすでに人妻、しかもかつての親友チャーリーの妻だった。失望したロジャーは酒に恨みを参じていたが、デイヴイと新しい歌手ジェリーに励まされて再び楽団の創立にかかる。しかしステラの心にもやはりロジャーの面影は消えていなかった。チャーリーは彼女の気持ちを察して自ら離婚を申出た。自由の身となったステラがロジャーを訪れた時は、彼は再起の楽団を率いて渡欧する直前であったが、ステラはジェリーと彼の仲を誤解して何事も云わずに身を引いた。楽団は欧州で非常な人気をはくし、ジェリーはステラに変わって一座の花形となった。そして彼女はロジャーを愛しながら、彼がステラを思い切れないでいるのを知ると、彼から申し出た結婚の話さえ優しく拒絶するのだった。華々しく帰国したロジャーはチャーリーに逢って2人が別れたことを聞くと、楽団に復帰したチャーリーと共にステラの行方を求めたが容易に知れない。ステラは変名で細々と暮らしていたが、カーネギー・ホールで彼らの演奏があるのを知ると、堪らなくなって秘かにそこを訪れた。ロジャーは彼女を見るとそのまま舞台へ連れだした。そしてステラは何年か前と同じように、ここでラグタイム・バンドの曲を歌うのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第11回 アカデミー賞(1939年)

ノミネート

作品賞  
原案賞 アービング・バーリン
編集賞 バーバラ・マクリーン
美術賞  
主題歌賞
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