浮き雲
劇場公開日:1997年7月19日
解説
電車の運転手ラウリとその妻でレストランの給仕長イロナは、不況のあおりを受けて同時期に失業してしまう。2人は職探しを始めるが、なかなかうまくいかず……。フィンランドのアキ・カウリスマキ監督が、皮肉をちりばめた独特のタッチで描く。出演者にはカティ・オウティネンやカリ・バーナネンら、カウリスマキ作品の常連が勢揃い。また本作の撮影前にこの世を去ったマッティ・ペロンパーも、写真というかたちで特別出演している。
1996年製作/96分/フィンランド
原題:Kauas pilvet karkaavat
配給:ユーロスペース
スタッフ・キャスト
全てのスタッフ・キャストを見る

- ×

※無料トライアル登録で、映画チケットを1枚発行できる1,500ポイントをプレゼント。
2022年9月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
アキ・カウリスマキの独特な色みたいなモノが作品内の外観というよりも室内やレストランの内装など寂れているようで鮮やかに感じる色彩感覚に惹かれてしまう。
リアクションは薄めで無感情に思える登場人物、淡々と描かれる物語に悉く打ち砕かれる社会の厳しさ、今を生きている人々、誰にでも起こり得る問題を悲観的には映らない何処か和やかに感じる不思議な世界観にハマってしまう。
悪いことの連続にバッドエンドを想像しながらも単純に解決されてしまうハッピーエンドが、そこまでの過程が辛く厳しいモノである事は理解しながらホッと一安心。
2022年8月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
■不況のフィンランドのヘルシンキが舞台。
市電の運転手のラウリとレストランで給仕長をする妻・イロナ(カティ・オースティン:常連さんですね。)はある日、リストラに遭い、同時期に失業する。
ラウリはロシアへ行くバス運転手へ転職しようとするが健康診断で異常が見つかり、職も免許も失ってしまう。その後も2人にさらなる不運や災難が訪れ…。
◆感想
・アキ・カウリスマキ監督の、当時の手法である、各シーンを短カットで繋ぎながら破綻なく物語を見せる手法が素晴しい。
ー そこで、描かれているイロナとバス運転手の夫の突然の馘首に、戸惑いつつ必死に生きようとする姿の描き方が、”無表情”な二人の姿から確かに伝わって来るのである。-
・イロナとバス運転手の夫が、困惑しながらも、職を必死に求める姿を抑制したトーンで描く巧さ。
・どん底の中、イロナが幼き男の子の写真が収められた写真立ての傍で、涙するシーン。
ー 何も語られないが、鑑賞側にはイロナ夫婦の哀しみが伝わるシーンである。-
・そして、且つてイロナが働いていたレトランテの問題児コック、ラユネン(マルク・ベルトラ:かもめ食堂を愛する人には直ぐに分かる”コピ・ルアック”オジサンである。)が、漸く皿洗いの食を得た安食堂にやって来るシーン。
”少し、ノンビリしようと思っていたら、職が無い・・。”
<今作は、アキ・カウリスマキ監督の中期の秀作である。
不況だったフィンランドで、職を失っていった人々がど根性で、新たな食堂”レストラン・クック”を彼等を雇っていた元レストランテのオーナーの出資の元、オープンし、最初は全然お客さんが来なかったのに、ラストでは、満員になっているシーンは心に沁みるし、これは”「かもめ食堂」のラストシーンと同じだよなあ、と思った多幸感溢れる作品である。>
けっきょくはまってしまったアキ・カウリスマキ
色合いと音楽が最高にいい
おなじみの俳優陣がいい
無駄な台詞がないのがいい
どん底の過ごし方がいい
なんかすべてが粋だ~
タチアナは★★★
内容がなさすぎ・・・(^^;)
2014年4月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
名監督って、独自の映画文法を持っているような気がしますけど、このカウリスマキ監督も、明瞭にそれを持っている監督のひとりですね。ひと目でカウリスマキ監督だと分かる個性が画面から伝わってきます。
特に印象的なのは、照明の使い方ですね。夜の室内シーンでは、影がくっきり壁に映るほどに強い照明を当てているような気がします。そしてそれが人物を不思議な感触で浮き上がらせて、彼らが運命のただ中に存在し続けていることを分からせてくれているような気がします。