レッド・サン

劇場公開日:

解説・あらすじ

三船敏郎、チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロンという時代を築いた日・米・仏の3人のスター俳優が共演を果たした異色の西部劇。

1870年、アメリカ西部の大平原。日米修好の任務を帯びた日本の大使一行が、特別列車に乗ってワシントンを目指していた。しかし同じ列車に積み込まれていた金貨を狙う強盗団のリンクとゴーシュに襲撃され、献上品として用意していた宝刀を奪われてしまう。そして、かねてからボスの座を狙っていたゴーシュはリンクを裏切り、列車もろとも爆破しようとする。7日間の猶予を与えられて宝刀の奪還を命じられた武士の黒田重兵衛は、かろうじて助かったリンクを案内役にゴーシュを追うが……。

「007」シリーズのテレンス・ヤング監督がメガホンをとり、「ローマの休日」「ベルリン・天使の詩」のアンリ・アルカンが撮影、「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」のモーリス・ジャールが音楽を手がけた。2025年1月、4Kデジタルリマスター版にてリバイバル公開。

1971年製作/116分/G/フランス・イタリア・スペイン合作
原題または英題:Red Sun
配給:コピアポア・フィルム
劇場公開日:2025年1月3日

その他の公開日:1971年11月26日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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(C)1971 STUDIOCANAL - Oceania Produzioni Internazionali Cinematografiche S.R.L. - Diagonal Films

映画レビュー

4.0やっぱりブロンソン

2025年1月18日
PCから投稿

どうしても、50代以上は思い入れで観てしまうのはしょうがないとして、オレは高校生のころは漁るように映画を観てたが、ドロン、三船は関心の対象ではなかったので正直、今もその名前に踊らされることはない。

が、ブロンソンはオレにとってかなり事情が違う。

ブロンソンの映画は、高校生当時観ることができるものはかなり観てきた。きっかけはやはり、映画館でリアルに観た作品。「特攻サンダーボルト作戦」、「スーパーマグナム」がそれにあたるが、彼のキャリアからすれば、公開延期のTV映画を10年越しで日本劇場公開した「特攻..」はともかく、後期の作品。

もっというと、「スーパーマグナム」は「ナインハーフ」の同時上映で明らかにシモの事情でタマタマ見ただけに過ぎなかったが、立ち位置としては、スライ、ノリスの「アクション枠」の大先輩という認識だった。「スーパーマグナム」は実際は完全にじじいのヌルい映画だったが、「ナインハーフ」のおかげか、そこからブロンソンの映画をビデオレンタルしまくった思い出がある。

イーストウッドやレイノルズももちろん現役だったが、「シティヒート」を観てしまったために、ケツの青い高校生のオレは脱落。イーストウッドは「ルーキー」や「ハートブレイク・リッジ」などあったけど、中期(70-80年代)の映画は、テレビでばっかり流れていたせいか、「映画スター」とは思ってなく、むしろ嫌いだった。(イーストウッドの映画が今もあんまり好きではない理由はその辺もある)。レイノルズは当時は、「高校生が喜んでみるような」映画スターではなかったし、「キャノンボール」は当然ジャッキーしか目に入らないころである。

高校生のガキがブロンソンの良さなんて、アクションスターというくくりの程度で、「マンダム」のCMも知らないことはないが、リアルタイムではないし、もちろん、彼の作品を全部見てはいないし、全部の作品が好きでは決してない。

レッドサン




世界三大スター共演、とあるが、ブロンソンは「アメリカ人」ではあるが、ヨーロッパ映画で名を馳せたスターであり、米代表、ということではない。個人的に「ウエスタン」、「狼の挽歌」が大好きだが、これらはイタリア映画(合作)だ。アメリカで認知が高まったのは、「狼よさらば」のヒットによる。

イーストウッドも70年代までは、ほぼ同じような経歴だが、その後の身の振りようはご存じの通り。一方のブロンソンは「狼よさらば」のヒットのため、結果晩節を汚すようなキャリアになってしまったが、後年ビジランテもののフォロワーや、ニコラス・ウェンディング・レフンの「ブロンソン」など、彼の偉業を評価、不運な後年を惜しむ映画人、文化人はタランティーノはじめ多い。

そんなオレが今惹きつける彼の魅力は何か?オレは一番は「人懐っこさ」と「チャーミング」な風貌と笑顔だと思っている。彼の役どころの舞台は、西部、暗黒街、犯罪都市と非情な世界。ぶっきらぼうにふるまう一方、時折見せるチャーミングな笑み。ぶっきらぼうな風貌とアメリカ原住民に間違われる顔立ちのため、その良さが評価されず、役の幅が広がらなかったのは非常に悲しいが、その歴史を含めても彼の魅力だ。もうひとつ、彼のセリフとその声がマッチしている上に、そこにたたずまい、手の動き、顔の動きといった所作がリアルであり、かつ惹きつけられるほどに魅力的。「さらば友よ」のラストは言うに及ばず「演技派」であることがみてとれることだ。

本作三船とのラブラブなロードムービー(by馬)な道中において、(本作、馬映画でもある)その魅力が満載。ロードムービーものでは、「スケアクロウ」や「ミッドナイト・ラン」に並ぶ名コンビだが、その旅が終わらなければいいのに、と思うほど、いつまでも観ていられるのはこの二人ぐらいかも。(そして、たいていのロードムービーと同様、終着点で映画のテンションは落ちる)

三船もステレオタイプな真面目な侍を力の入れようと抜きようをバランスよく演じており、娼館の女主人が彼を見て、十字を切るところなど、最高に笑える(いわゆる、「笑われる、馬鹿にされる」ような演出では決してない)。ドロンも薄情な役がよく似合っている。(この人は結構引き立て役に回る、わきまえているところが、「スター」といして異色。)

冒頭の列車強盗のアクション、爆破シーン、崖から転がり落ちるシーンも「あぶねえな」と思うほどの迫力は、「戦争体験者」による製作、当時のモラルならでは、と娯楽大作として楽しむべき。

そして本作のユルさにモーリス・ジャールの劇伴はよくあっている。カメラもロングショットが決まっており、レオーネに対抗してか、極端なクローズアップが少ないのも暑苦しくなくていい。

ラストもコイントスに意味なんてなくて「照れ隠し」に見えることもブロンソンならでは。とても素晴らしい。

とはいえ、クライマックスのコマンチ族との銃撃戦は物語上、無駄。見せ場と(当時の)「敵」を作りたかった事情は分からなくはないが。

また、三船がドロンを後ろから斬りかかろうとするのは非常に残念なマイナス。

追記

前述の「狼よさらば」リメイクのウィリス。「メカニック」リメイクのステイサム。あえて言うなら、後継者はステイサムかな。ステイサムも笑顔がかわいい。

追記2

こないだ、ブロンソンだ!と思ったら、ひげを生やして麻雀をしている萩原聖人だった。

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しんざん

3.5ドロン 今回は脇役

2025年2月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

内容的には異色作だが、映画がまだ娯楽の王道だった頃の名作。ブロンソンと三船のバディロードムービー。
モーリス・ジャールのメインテーマも心地よい。

娼館で三船のお相手をするモニカ・ランドールはアナ・トレントの「カラスの飼育」に叔母さん役で出ていたスペインの美人女優。

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sugar bread

4.0また見てしまった。

2025年2月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

ブロンソン、三船、ドロン全ていい。なかでも左利き悪役ガンマンを嬉々として演じるゴーシュ・ドロンがカッコいい。ただ、いつも思うのが終盤でゴーシュが上の階から飛び降りるシーン。一瞬、着地出来なかったキメキメのゴーシュが画面から飛び出している。このシーンだけは残念。さらにはラスト、列車の遥か後ろに車らしきものが走っている。そんなこんなで何回見るの?作品の為に劇場にまた足を運ぶのも悪くない。

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ケンちゃんパパ

4.0荒野のガンマン&サムライ

2025年1月23日
iPhoneアプリから投稿

当時大人気だった西部劇と時代劇のハイブリットで日米仏の大スターが競演すると言う楽しい企画です。アメリカにやってきた日本の親善大使一行が、アウトロー集団に天皇から米大統領に贈られる刀を奪われてしまい、これを奪還するためガンマンとサムライの二人組が追跡するお話しです。この二人をチャールズ・ブロンソンと三船敏郎、追われるアウトローをアラン・ドロンが演じると言う驚異のキャスティングが素晴らしいです。ガンマンとサムライが肩を並べて荒野を馬で走るシーンは、今観ても痛快で新鮮です。前半は、いわばこの二人のロードムービー的な展開で、日本人を珍妙に描かず生き方も文化も違う二人が対立から友情を育んでいくのがベタだけど、いい感じです。ガンファイトと殺陣の融合アクションも上手くできているし、最後はお約束のネイティブ・アメリカンの大群との乱戦と、観客の観たいものよく分かっているサービス精神もいいですね。役者さん三人とも楽しそうに演じてました。今、この作品をリメイクするならどんなキャスティングになるか考えのも楽しいです。

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シネマディクト