予告された殺人の記録

劇場公開日:

解説

カリブ海にある河沿いの町を舞台に、予告殺人を巡っての祝祭的、神話的な物語を描く。ノーベル賞作家ガブリエル・ガルシア・マルケスの同名小説の映画化。製作総指揮はジャン・ジョゼ・リシェール、製作はイヴ・ガセールとフランシス・ヴォン・ブーレン、監督・脚本は「カルメン(1983 Rosi)」のフランチェスコ・ロージ、共同脚本は「グッドモーニング・バビロン!」のトニーノ・グエッラ、撮影は「ラルジャン」のパスカリーノ・デ・サンティス、音楽はピエロ・ピッチオーニが担当。出演は「ダンス・ウィズ・ア・ストレンジャー」のルパート・エヴェレット、アントニー・ドロン、「未来は女のものである」のオルネラ・ムーティほか。カラー、シネスコ(スーパーテクニスコープ)。

1987年製作/110分/フランス・イタリア合作
原題または英題:Cronica de una Muerte Anunciada
配給:ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1988年6月30日

ストーリー

物語は25年ぶりに故郷に戻ってきた医師クリスト・ベトヤ(ジャン・マリア・ヴォロンテ)の回想によって進められる。カリブ海にある河沿いの町。鉄道もない閉鎖的なこの町に、ひとりの異邦人がやって来た。彼の名はバヤルド・サン・ロマン(ルパート・エヴェレット)。パナマ帽をかぶり、日焼けした肌のこの男は、どこか不思議な魅力を備えていた。ある日、バヤルドは広場を通りかかるアンヘラ(オルネラ・ムーティ)と出逢う。彼は質素で美しい彼女に強く惹かれ、彼女こそが、長年探し求めていた結婚の相手だと決める。バヤルドの強引な求愛と、彼が金持ちだと分かり、玉のこしにのせようとした母親(イレーネ・パパス)ら家族の説得に負けたアンヘラは、ついに結婚を承諾する。婚礼は華々しく行われ、ついには町をあげての一大饗宴にまでなる。しかし不幸が起きたのは、その直後だった。その夜、新婦が処女でないことを知ったバヤルドは、絶望し彼女を母親のもとに返す。驚いた一家は、娘の貞操を奪った男の名を聞きだそうとした。責めたてられたアンヘラがついに叫んだのは、富も名誉もあるハンサムな青年サンティアゴ・ナサール(アントニー・ドロン)の名だった。双子の兄弟は家の名誉を守るため、サンティアゴ殺害を予告する。そして、白昼の広場で人々が見守る中、宿命劇を演じるかのごとく、復讐が成し遂げられる。だが事件の後、バヤルドに対する深い愛に目覚めたアンヘラは、愛の証に25年にわたって彼に手紙を送り続けていた。そしてある日、船から一人の男が降り立つ。鞍袋から大量の手紙を取り出し撒き散らす男。手紙に気づいたアンヘラの前に姿を現わしたその男は今は初老となったバヤルドであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第40回 カンヌ国際映画祭(1987年)

出品

コンペティション部門
出品作品 フランチェスコ・ロージ
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映画レビュー

3.5ロージ監督の珍しい恋愛ドラマがミステリアスに描かれる芯のある映画文学

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

中南米を舞台にした殺人事件のミステリーを恋愛ドラマと並行して描く、ガルシア・マルケス原作の映画化。社会派映画に才覚を発揮するフランチェスコ・ロージ監督の芯のある映画文体が、独特なドラマ作りを見せる。ルパート・エヴェレット、オルネラ・ムーティ、アラン・ドロンの息子アントニー、ジャン・マリア・ボロンテ、そしてイレーネ・パパスと豪華キャストの彩の良い映画。ラスト、手紙をばら撒き主人公二人が20年振りに再会するシークエンスの、何たる古典的決着の語りの古さは、今の時代には理解に苦しむものがあろうが、個人的には嫌いになれない。いい映画だが、傑作にはならなかったロージ監督の異色の映画文学の力作。   1988年 9月20日  シネスイッチ銀座

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Gustav

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