ミ・ファミリア

劇場公開日:

解説

アメリカン・ドリームを求めるあるメキシコ系アメリカ人一家の三世代、60年にわたる家族史を描いたヒューマン・ドラマ。監督は、やはり移民を題材にした「エル・ノルテ 約束の地」でアカデミー賞にノミネートされたグレゴリー・ナヴァ。製作は、彼の夫人のアンナ・トーマスで、脚本は2人の共同。エグセクティヴ・プロデューサーは、「ドンファン」のフランシス・フォード・コッポラと、トム・ラディ、ガイ・イースト、リンゼイ・ロウの共同。撮影はエドワード・ラックマン、音楽は民族音楽の部分をペペ・アヴィラ、オーケストラ部分をマーク・マッケンジーが担当。美術はN.Y.のメトロポリタン・オペラほかの舞台美術を手掛けるバリー・ロビンソン、編集はナンシー・リチャードソン、衣裳はトレイシー・タイナン。出演は、メキシコを代表する俳優エドゥアルド・ロペス・ロハス、「私を愛したグリンゴ」のジミー・スミッツ、「ラ・バンバ」のイーサイ・モラレス、「ブレードランナー」のエドワード・ジェームズ・オルモスほか。

1995年製作/128分/アメリカ
原題または英題:My Family, Mi Familia
配給:KUZUIエンタープライズ
劇場公開日:1996年4月27日

ストーリー

現代のL.A.。作家志望の初老の男パコ(エドワード・ジェームズ・オルモス)が、サンチェス家の物語を語り始める。〈20年代〉26年のメキシコ。貧しい家族の口減らしのために家を出た10代のホセ・サンチェス(ジェイコブ・ヴァルガス)は、遠い親戚のエル・カリフォルニオ老人を頼って1年がかりでL.A.に着いた。ホセは、庭師の仕事で訪れた白人の家でメイドをしていたマリア(ジェニファー・ロペス)とひと目で恋に落ちて結婚し、間もなく長女イレーネと長男パコが誕生した。貧しくとも幸せな日々だったが、時代は大恐慌に突入。アメリカ人の仕事を移民に奪われのを恐れた州政府の移民一掃措置に巻き込まれたマリアは、無理やりメキシコに送還されてしまう。実家に身を寄せたマリアは3人目の子供チュチョを出産。彼女はチュチョを抱えてホセと子供たちが待つロスの町を目指して旅立つ。途中、増水した川で溺れかけなからも、強い信念で2年の歳月を費やしてたどり着いた。エル老人は既に他界していた。〈50年代〉町も家族も成長を遂げホセ(エドゥアルド・ロペス・ロハス)とマリア(ジェニー・ガゴ)の髪にも白いものが目立つようになった。長女イレーネ(ルーペ・オンティベロス)の結婚式のために、パコが海軍から休暇をとって帰ってきた。チュチョ(イーサイ・モラレス)は不良グループのリーダーになっている。美しくて気が強い次女トニ(コンスタンス・マリー)。勉強家で真面目な四男メモ(エンリケ・キャスティーロ)。皆から可愛がられ、チュチョに憧れている末っ子ジミー(ジミー・スミッツ)。サンチェス家の全員が揃った誇らしい日だったが、その席上、トニが修道女になると言い出す。敬虔なマリアは大喜びだが、ホセの心中は複雑だ。それからしばらくして、チュチョが対立グループのリーダーを刺殺してしまい、彼はジミーの眼前で警官に、無残に射殺された。〈70~80年代〉イレーネは夫と共にレストランを経営し、メモは一家初の大卒者となり、弁護士を目指している。未だに独身のパコは、ユニークな家族のネタが頼りの小説家志望。突然私服で帰ってきたトニは、布教で訪れた南米で司祭と恋に落ちて結婚したと語り、ホセとマリアを驚かす。家族がまずまず順調に暮らしている中、窃盗罪で服役していたジミーだけが孤立していた。そんなある日、トニはエルサルバドルに強制送還されるメイドのイザベル(エルピディア・キャリロ)を救うため、ジミーに偽装結婚を頼む。初めは嫌がるジミーだったが、自分と同様、幼い頃に目の前で父を殺されて“怒り”を胸に生きてきたイザベルと恋に落ち、やがて本当の夫婦となった。だが、喜びも束の間、イザベルは出産時に命を落とす。貧しいイースト・ハリウッドの病院のせいだと、再び“怒り”に駆られたジミーは、わざと盗みを働いて再び投獄される。数年後、ジミーが出所した時、ホセとマリアに育てられた息子カリトスは5歳になっていた。乱暴で手の付けられない子供に育った彼は、父を頑に拒絶する。傷心のジミーは、「カリトスの望むような父親になって帰ってくる」と、家を出る決心をした。ホセにはもう引き止めることができない。そんな彼らを挑発するようにトウモロコシ畑を走り回り、枝を折るカリトス。だが、ジミーは叱らず、かつてホセが教えてくれたように、「実を蒔けばまた育つさ」と優しく語りかける。その言葉に息子は心を開き、父は初めて抱擁した。ジミーは家族の大切さを噛みしめた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第68回 アカデミー賞(1996年)

ノミネート

メイクアップ賞  
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映画レビュー

3.0若い頃のマリアはジェニファー・ロペス

2020年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 1926年、メキシコからLAへと家を飛び出したホセ。マリアと結婚し、パコ、イレーネをもうけたが、大恐慌がやってきて、メキシコ人労働者は政府の策で国外へと追いやられた。一人だけ強制送還された母マリアは命からがら幼子チュチョを連れて戻ってくる。やがてチュチョはヤクザと関わり合うようになって、父と断絶。パコは海軍に入っていた。

 と、3代にわたる大河ドラマ風に物語は進むが、基本的にはメキシコ系労働者が真剣に生き抜いていく様を映像化してあります。橋の向こう側には白人の世界。貧しさと戦い、対岸を羨むメキシコ系アメリカ人。そして、家族の絆を暖かく・・・なかなか気持ちの良い映画でした。

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kossy