帽子箱を持った少女
劇場公開日:1995年5月13日
解説
偽装結婚をしたカップルの恋の顛末を描くコメディ。20年代に発表されたボリス・バルネット監督(「国境の町」「騎手物語」)の単独演出第1作。当時、レーニンの政策によって独立採算制を余儀なくされた撮影所が、宝くじを奨励するという建前のもと、大蔵省をスポンサーにして製作費を引き出したというもの。豊かな映像に満ち溢れている好篇であるばかりか、レーニンのNEP(新経済政策)によって出現したヤミ商人や小ブルジョワの拝金主義を、痛烈に風刺したいわゆる“ネップ・コメディ”の傑作としても位置づけられる。脚本はヴァレンティン・トゥルキンとワジム・シェルシェネヴィチ、撮影はボリス・フランツィッソンとボリス・フィリシン、美術はセルゲイ・コズロフスキーがそれぞれ担当。出演は「女優ナナ」(34)のアンナ・ステン、イワン・コワリ・サムボルスキー、セラフィーマ・ビルマン、ウラジミル・フォーゲリほか。
1927年製作/68分/ソ連
原題または英題:Dievouchshka s Korobkoi The Girl with a Hatbox
配給:シネセゾン
劇場公開日:1995年5月13日
ストーリー
モスクワ郊外で暮らしている少女ナターシャ(アンナ・ステン)は、帽子づくりで生計をたてていた。彼女は帽子をモスクワに届ける途中、勉学のため上京してきた青年イリヤ(イワン・コワル=サムボルスキー)と知り合う。ナターシャは納品先であるマダム・イレン(セラフィー、マ・ビルマン)の帽子店に赴く。住宅難のためイレン夫妻は書類上、家の一室をナターシャの住居ということにしていた。が実際はナターシャがたまにしか訪れないのをいいことに、夫妻は好き勝手にその部屋を使っていた。ナターシャは、町で部屋探しをしようとしていたが持ち金を落としてしまったイリヤと再会し、例の部屋に住むよう彼に提案するが、そうするには役所のきまりで二人が結婚する必要があった。大胆にも二人は偽装結婚をする。部屋を使えなくなったイレン夫妻は面白くない。夫のニコライ(パーヴェル・ポーリ)はナターシャに払うよう妻から預かっていた帽子の代金をせしめ、代わりに以前購入していた宝くじを彼女に渡す。それでも腹の虫が収まらないニコライは役所にナターシャたちが偽装結婚しているとタレこんだ。役所の監査が入ったがナターシャとイリヤは相思相愛のカップルを演じ、ことなきを得る。宝くじの当選番号が発表される。なんとナターシャが手にしていたくじが大当たり。あわてたニコライは彼女を口説き始めた。ナターシャに片想いしている鉄道員フォーゲロフ(ウラジミル・フォーゲリ)も入り乱れての騒ぎとなるが、そんな中ナターシャとイリヤの間に真実の愛情が芽生え、二人は結ばれるのだった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ボリス・バルネット
- 脚本
- ヴァレンティン・トゥルキン
- ワジム・シュルシェネヴィチ
- 撮影
- ボリス・フランツィッソン
- ボリス・フィリシン
- 美術
- セルゲイ・コズロフスキー
- 字幕
- 児島宏子
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ナターシャアンナ・ステン
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イリヤイワン・コワル・サムボルスキー
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マダム・イレンセラフィマ・ビルマン
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ニコライパーベル・ポーリ
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フォーゲロフウラジミル・フォーゲリ