望郷(1937)のレビュー・感想・評価
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ぺぺ・ル・モコ‼️
アルジェにある迷路のような街カスパ。パリのギャング、ペペ・ル・モコが逃げ込むが、パリから来た女ギャビーに恋をしたのが運の尽き、執拗な刑事スリマンに捕まる・・・‼️「ボーッ」。長い汽笛。ペペは鉄柵越しに力の限り叫ぶ。「ギャビー!」。しかしその絶叫は汽笛にかき消される。船は出て行き、手首を切って崩れるペペ。印象的なラストシーン‼️いかにも日本人好みのメロドラマですね‼️やはりジャン・ギャバンのカッコ良さに尽きます‼️ペペがギャビーを抱きしめて言う名台詞「メトロの匂いがする」‼️こんな台詞を囁いてサマになるのはジャン・ギャバンくらいですね‼️
40年ぶりに二回目の鑑賞。ネタバレする訳にはいかないね。
『あ~俺は腐り切っている。お前は俺みたいな男が好きなのか?』
『二人でいたいだけさ。くさってなんかいないよ。』
空っぽの瓶を見つめて
『俺と同じで空っぽだ』こんな奴に『そうだね』なんて言えば、どうなるか。
まぁ、男も女も間違える訳だから、男も女も空っぽなんだろうが。
この映画の良い所は、格好良いようで、格好悪い所だと思う。
カスバしか生きられない男が、宗主国のフランスに『望郷の念』を間違って持ってしまう。そんな軽薄な自信過剰さが、男の性なんだろうね。
カスバをフランスがこう描き、ユダヤ系イタリア人が『アルジェの戦い』で真実を描き、フランスの思い上がりから開放する。さて
1937年の事。1962年がアルジェリアの独立なので、まだまだ、フランスの植民地は25年も続く。
ペペ・ル・モコは結局逮捕されて、20年の刑に処せられる。良かったんじゃない。カスバから出られる。いやいや、空っぽな男の判断。間違って、南米ギアナの孤島へ流刑されたかもね。
そうなんだ。最後まで良く見てなかった。ネタバレする訳にはいかないね。カッコ悪すぎるし、カッコ悪すぎて、何が言いたいの?
兎に角、フランス人ってこんな奴等ばかりなのかね。因みに、ワールドカップフランス代表のジダンは、アルジェリア出身のベルベル系フランス人。
1937年とは思えない美しいカットが続く。
ジャン・ギャバンがカスバの街から走って出ようとするシーンは色がついて見えるほど。
前半のアラビックな音楽も素晴らしい。
カスバの迷宮のような街で皆に愛されて暮らしているようだが、実は街を出ると捕まってしまうため、出るに出られないでいる。
パリへの帰還を夢見るが、叶わず絶望のラストは圧巻。
原題はPépé le Moko ペペ=ル=モコ(主人公の名前)だが『望郷』とした日本語タイトルも秀逸。
95点
異国情緒にワルの魅力タップリだったのに、腹切りして死を選ぶジャン・ギャバンにビックリガックリ
フランス領アルジェリアの中心都市が舞台。密集した家屋から街ができており、屋根伝いに移動が可能。それを利用して警察から楽々逃れる犯罪者の親玉ジャンギャバンが、街全体の無国籍性や猥雑さも相まって実に魅力的。
高価そうな衣装を身にまとい、宝石をジャラジャラ見せびらかヒロインも魅力的。何より、パリで華やかだった昔のレコード音を伴奏に、場末で歌う中年オバさん、フレエルの姿に痺れてしまった。この女優さん本当に昔可憐な売れっ子歌手だったとのこと。
また、ジャンギャバンに無下にされてもひたすら愛する情婦役の女優、リーヌ・ノロさんも愛おしい。
ラストシーンで、主人公がヒロインの姿を確認し、呼んだ声が汽笛でかき消されてしまうのが、何ともお洒落。ただ、最後に彼が隠し持っていたナイフで腹を切って死んでしまうのは唐突で、驚かされると共に、女々しく感じてしまった。
悪名高い強盗のペペル•モコ、警察から追われる身でカスバという場所で...
悪名高い強盗のペペル•モコ、警察から追われる身でカスバという場所で潜伏生活をしてる。仲間からの信頼は厚い。
ジャンギャバンがミレーユバランに惚れて、一緒にパリに行く希望を抱いたが謀略の刑事に阻まれて最後は自死するみたいな話。
主演二人よりか脇役の方に見せ場が多い。主人公キャラの良さがわかるシーンがない。スリマンの策略や情報屋の嘘を見抜けるほど頭が切れるとはわかるのだけど。
ギャビーもパリパリ言ってるだけだし。この映画の中で良かったキャラクターはイネス。ギャビーの為に用意したオモテナシセットを見るシーンとか「あたしアンタから手紙もらったことないわよ」とか。
あとは偽手紙で嵌められた仲間のピエロ。
絶望した的な理由なのだろうけど、なんでやねんなラスト。
イネスだけ、かわいそう。
ペペ・ル・モコの心象風景等の描写が不足過ぎ
何十年ぶりかで再鑑賞。
デュビビエの代表作のように言われる有名な作品だが、「舞踏会の手帳」や「巴里の下セーヌは流れる」に比べてあまりに描写不足で入り込めなかった。
まず、ペペ・ル・モコの行動があまりに身勝手で奔放過ぎ、なぜ部下たちが従順に彼に従っているのかが解らない。
多額の報酬なのか、ボスからの恐怖心の植え付けなのか(この映画ではそうは思えないが)、またたとえばゴッドファーザーのヴィトーコルレオーネのように家族や慕う人々への強い包容心の結果なのか、この映画では彼のボスとしてのカリスマ性の背景シーンがほとんど無いため(罠に掛けられた若い部下への思いやりのシーンこそあったが)、ギャバンでなければただの兄貴分のチンピラにしか見えなかっただろう。
また、ペペ・ル・モコはパリ及びギャビーへの憧れの相互の影響し合いの結果、カスバを出て捕まるわけであるが、この場面でも仲間や愛人を放り出したままギャビーを唐突に追うばかりでペペ・ル・モコに共感するのは難しい。
したがって、有名なラストの“ギャビー”の叫びと自死のシーンも全く心に響かない。
全ては描写不足なのだろう。
もう少し上映時間を長くし、部下との関係やペペ・ル・モコの心象風景を丁寧に描くべきだった作品と思う。
Cape Godさんのような“優しさに裏付けられた深い人間洞察”とはいきませんが投稿させていただきました。
逃げる大泥棒
人種も雑多で迷路のような町並み。もうすでにカスバの大親分として君臨しているぺぺ。女のいるところが彼の住処と、町の人間からもヒーローとして扱われている。刑事や警察の犬と称する男が多かったけど、この辺りの設定がよくわからん。
ギャビー(バラン)と出会ってからはパリへの郷愁の念がふつふつと沸いてくるぺぺ。2年間一緒に暮らしたイネスはどうでもよくなっていた。しかしまぁ、どうしてこんな男がいいのだろうかと思いつつも宝石の魅力に負けていたのかなぁ。盗みのシーンなんて全然ないし、逃げることとナンパだけがテーマだったような気もする。『カサブランカ』やフィルム・ノワールに影響を与えたことだけはわかるが・・・
何故そこを出ていきたいのか、描き切れていない
総合:60点
ストーリー: 60
キャスト: 60
演出: 55
ビジュアル: 55
音楽: 65
もし自分が犯罪を犯して警察に追われ、フィリピンだかマレーシアだとかにあるどこかの周囲数キロしかない小さな町に逃げ込んで、そこから外に出ることができないとしたら? たとえそうなったとしても、なんとか自由に外に出たいと思うことは明白だ。
主人公のしでかしたことが故とはいえ、異郷の地の異教徒の小さな町の中でしか生きられないことは、主人公にはまるで牢獄のごとく感じられるのだろう。たとえそこでの信頼や地位や自分を慕う人々を捨ててでも、またわが身を滅ぼしてでも自分の国に帰りたいという望郷の想い捨てさり難い。またそんな男を愛した女は、彼と一緒に行きたいと願っても拒否され、彼を引き留める術を知らずに非合理的な動きをしてしまう。人間は感情の生き物、合理的な判断だけで生きているのではない。それが人が生きるということなのかな。
でも古い映画だし、もっとそのような気持ちを表す演出が描き切れているかと言われれば、そうでもない。彼のフランスの生活がどうだったかもわからないから、彼がどれだけ母国に思いをはせているのか、今の生活とも比較しようがない。映画を見る人にとってはこの町から映画が始まるわけで、この町で顔役になっている彼の生活が彼の全てのようにも見えるし、それを捨て去っていくのは身勝手に見える。もっと生活習慣の違いとか言葉とか、そのような異郷の地にいる感じがより出ていれば、彼の孤独や不自由さや望郷の念といった感情をさらに理解出来たのだと思う。室内の場面が多くてせっかくの独特の街並みが効果的に撮影されている場面も少ないし、古い白黒映像はこの街並みを描写しきれていない。名作といわれるこの映画を高く評価しない人の評価がいくつかあるのも、異郷の地に住みながら望郷の念を強く抱くことが解り辛いことが原因なのかもしれないし、少なくとも私はそうだ。
ジャン・ギャバンはかっこいいす
1937年フランス映画。94分。数年前に知り合いから「これは俺の一番好きな映画だ!」と言われてプレゼントされたのがこの映画。それをようやく最近、観る気になったわけでございます。
「これが一番!」と勧められる映画を観るのになぜか億劫になってしまう自分がいます。それは多分、観た後にあまり好きじゃなかった自分がいた時に、その感情をその人の前でうまく対処するのが苦手だからだと思います。(リアルには「ジャン・ギャバンかっこいいす」とか言ってごまかした記憶が。)
いずれにせよ、本作をようやく観ました。そして安心したのが、ジャン・ギャバンは確かにかっこよかったこと。目つきはワイルドで、表情はデリケート。このアンバランスさがこのお方の最大の魅力だと思いました。(今の俳優だとラッセル・クロウの雰囲気が近いと思います。)
内容は、フランスの港町に姿を潜めている犯罪者の男と、それを追う警察の対決物語。とても男臭い映画ですが、昔の日本映画のように風をきって歩くようなタイプではなく、どこかお洒落にキメているところがやはりおフランスならでなといったところでしょうか。
男はながらく逃亡しているうちに、かつて住んでいたパリの心象をある女との出会いをきっかけに蘇らせる。そして、それがエンディングの悲劇につながる導火線になってしまうという按配です。
どれだけ人は強がってもやはり弱い部分があるものなのだと思いました。理性でコントロールしようにも、煌々と心のなかで輝く故郷にたいする憧れを捨てられるほど、わたしたちの心は非情にはできていない、ということなのでしょう。それでも人は強がらないと駄目なときだってある。
そんな荒廃した男の心情を、語らせることなくうまく本作は描いていたと思います。そして、ジャン・ギャバンはその役を見事に表現しています。現代の映画ほど大がかりにドラマチックでなかったのが、古典であるがゆえの貫禄といったところでしょうか。
この時代の作品をもっと観れば、もっと素朴な幸せが見つけられそう。
せっかくプレゼントしてもらったDVDだから、これからまた何回も観ようと思っています。感謝。
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