ヘカテ
劇場公開日:2021年4月23日
解説
「ラ・パロマ」などで知られるスイスの映画監督ダニエル・シュミットが、フランスの作家ポール・モランの小説「ヘカテとその犬たち」を原作に撮りあげたラブストーリー。1942年、第2次世界大戦中の中立国スイスの首都ベルン。外交官の男ジュリアンは、フランス大使館主催の豪奢なパーティ会場で、ひとり追憶にふけっていた。10年ほど前、北アフリカの植民地に赴任した彼は、そこで謎めいた人妻クロチルドと出会い、狂おしいほどの恋に落ちたが……。外交官ジュリアンを「ラ・ブーム」のベルナール・ジロドー、人妻クロチルドを「アメリカン・ジゴロ」のローレン・ハットンが演じた。ゴダール作品やシャブロル作品などで知られる名匠レナード・ベルタが撮影、「ローラ」「第三世代」のラウール・ヒメネスがプロダクションデザインを担当。クリスチャン・ディオールがジロドーの衣装デザインを手がけた。日本では1983年にシュミット監督の本邦初公開作として上映。2021年4月23日より、Bunkamuraル・シネマほかにてデジタルリマスター版をリバイバル公開。
1982年製作/108分/R15+/フランス・スイス合作
原題:Hecate
配給:コピアポア・フィルム
日本初公開:1983年8月1日
スタッフ・キャスト
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確か渋谷PARCO劇場で観た記憶。ダニエルシュミットが何たるやも知らず、ただお洒落な大人の映画てな認識で観た。モノクロだった様な気がするんだが、違うとしたら多分「カサブランカ」と混同しちゃってるのかも…自分の中では同じ空気感なんだ。
曖昧な記憶だが、好みの描写とエロティック…何よりもいっけん凛とした男が愛に狂ってしまう姿を見て、未知の大人の世界に踏み入れた感じがして。。「ベニスに死す」もこの頃観たけど、男女だったのでより感情移入したのかも。
今自分が人生終盤に差し掛かり、今観たらどんな風に感じるのか(でもDVDとか売ってないみたいで)。40年経ちこの思い入れ…という事は私には衝撃の名作だったのだろう。
2022年1月20日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
舞台はモロッコ?異国感が隅々まで充満した画面で、典型的な、映画館の暗闇でどっぷり雰囲気に浸る為に作られた映画。見ている間、俗世の嫌なことを忘れることができる。
主演2人もとても美しいが、同僚のメガネおじさんも出立ちが素敵。いつも白いスーツ着てるが手入れが大変そう。あと秘書の人も可愛らしい。
主人公はテンパり始めてからの無能っぷり、余りにも度が過ぎる。その割には最後普通に出世してる感じがなんだかなー、となる。しかしそれも些事でしかなく、いい男っぷりが単純に楽しい。そしてローレンハットンをただ眺めていただけでスケベ心の元が十分とれた。
2021年10月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
70年代後半から80年代のイイ女然としたローレンハットンの魅力
年増の色香に惑わされ錯乱する若き外交官
観る者を困惑させる独り相撲
2021年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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巷では伝説的名作ということらしいが、主演の二人には殆ど魅力を感じることも無く「本当に名作かぁ?」という懐疑心もあり、特に期待もしてなかったのだが、映像美の方は何か良いものありそうだったので観てみた次第。
オープニングの晩餐シーンの流麗な流れからタイトルがアップされ、場面が一転して、真っ赤な救命浮き輪のクローズアップ(明らかに色欲に溺れる暗示)が映し出され、ディオールの白いスーツで主人公が現れるという、この一連の流れは意外に予想以上で「何気に傑作なのか?」と少し期待してしまったのだが…
結果としてはホントどうでもいい陳腐なメロドラマであった。
ただ、それはあくまでストーリー展開の方であって、予想通り冒頭からの映像は本当に素晴らしく名手レナート・ベルタの流麗なカメラワークは、まさに一流の職人技。どれも構図が素晴らしかった。ラウール・ヒメネスが担当した美術の方も本当に素晴らしく、画面に現れてくる見事な配色のアレンジが、これまた一流の職人技だった。
そしてカルロス・ダレッシオの音楽の方も、これまた素晴らしく良かった。
蓮實重彦が絶賛していたシーンも間違いなく名シーンで、白い壁に二人の美しいブルーの影が浮かび上がり、その直後に女のショールがバサっと階段に落ちて… そのまま情事に耽る男と女…
確かにあれを見るだけでも、この映画を観る価値があるとは言える。
し・か・し・だ!あまりにストーリーが陳腐すぎる。
あれなら20分くらいの短編にした方が、よっぽど良かった。
甘やかされ育てられたであろう良いトコの坊ちゃん風のダメダメな外交官が辺鄙な国に左遷させられ、女に対する未熟さゆえ、ただただ振り回される話なんか、ホントどうでもいい。
破滅型というほど奈落の底に堕ちていくような凄みがある訳でも無く、女の方もファムファタールというほどの魅力ある訳でも無く、演じたローレン・ハットンそのまんま、モデル崩れの「それ風」を演じている女にしか見えない。
「モロッコ」のオマージュもあったかと思うが、ファムファタール演じるなら、やはり、デートリッヒくらいの謎めいた雰囲気はないと。
ローレン・ハットンだとチョットどころか、だいぶ卑近な感じになってしまう。
ひょっとしたら、シュミットは、あえて捻くれた皮肉を込めて、卑近なイメージのファムファタールに、ストーリーの方も、あえて陳腐なメロドラマにしたのかもしれないが、もし実際そうなら、それこそホントどーでもいい企てだ。
そして、ローレン・ハットンといえば、インタビューでも、大のセックス好きを公言しているのだから(良くも悪くも、いかにもそんな顔だ)、絡みのシーンは全て本番で撮影すべきだったのだ。殆ど喘ぎ声さえ出さない不感症のような女の本性を知りたくて夢中になる設定より、やっぱり派手にスケべにヨガる肉食系の女に翻弄されてしまう方が「ヘカテ」のイメージにも合う。シュミットの趣味とは(ダジャレじゃないよ)合わないかもしれないが…
ともかくあの女では、ヘカテーいうほどの凄みが無い。
あと、オマージュといえば、あの少年がレイプされるシーン、あれは「アラビアのロレンス」のオマージュだろうが…
配給会社も映画館の方も、あの名作の(と一応は言われている)「アラビアのロレンス」でOKなら問題ないっしょ!と思ったかもしれないが、ああいうのは予めアナウンスは必要だろ。見たくないヤツは見たくないのだ!ということは、つくづく良〜く理解して欲しいところだ。
とまあ、色んな意味でダメダメな部分を含んだ映画だったが、あえてダメな映画を観たいという方、特に画面や音楽の方はバッチリ素晴らしいのに、ストーリーがダメダメな映画を観たいという奇特な方には、間違いなくオススメの一本だ。