平和に生きる
劇場公開日:1949年10月
解説
「休暇中のアメリカ人」「尊敬すべきアンジェリナ」を最近監督したルイジ・ザンパが一九四七年三月に発表した作品。製作者は近作「フランスへの逃亡」「ポー河の水車小屋」のカルロ・ポンティ。脚本はスーゾ・チェッキ・ダミーコ、主演者のアルド・ファブリッツィ、「街には夢が沢山ある」のピエロ・テッリーニとルイジ・ザンパが共同で書卸した。主演者は「オープン・シティ」「ジオヴァンニ・エピスコーロの罪」「わが息子先生」などで知られた名優アルド・ファブリッツィほか「戦火のかなた」のガイ・ムーア「無慈悲」の黒人俳優ジョン・キッツミラー、新人ミレラ・モンティの助演者に加え、エルネスト・アルミランテ、アヴェ・ニンキ等のイタリアではよく知られた俳優が出演している。撮影はカルロ・モントゥオーリ、作曲は最近「子供の共和国」で認められたニーノ・ロータが担当した。この映画は一九四七年度ニューヨーク映画批評家賞、ブラッセル国際映画祭賞、アラション映画祭賞を獲得している。
1947年製作/90分/イタリア
原題または英題:Vivere in Pace
劇場公開日:1949年10月
ストーリー
第二次世界大戦末期の一そう話、場所は戦争が直接には影響していないイタリイのある山村である。一見平和そうに見えるこの山村で、ティーニャ叔父さんは、豚を飼い、ぶどう酒をつくって日を送っている。イタリイは独軍の占領下にあるが、ここには一人のファツショ駐在部長と一人のナチ監視兵が配置されているだけである。ある日のこと、ティーニャ叔父さんの孫に当たるシルヴィアとい娘とその弟チットが、納屋から逃げだした豚を追いかけながら、愛犬ディックを探しに森の中へ入っていくと二人の脱走兵が隠れていた。一人はアメリア軍の従軍記者ロナルド、一人は負傷した黒人兵士ジョーであった。姉弟は二人の脱走兵を馬小屋へそっと隠した。それを知ったティーニャ叔父さんは苦情ばかりいいたてる妻をなだめすかして、二人をかくまう。そして彼等も一家のもの同様に互いに親しくなっていった。一方、ナチ監視兵のハンヌは、ときおり郷愁にかられ、話相手がほしくなるのであった。ある夜のこと、彼は、突然、ティーニャ叔父さんの戸をたたいた。居間にいた脱走兵たちは逃げだした黒人ジョーのほうは穴倉へと身を隠した。ハンスは、酒を飲みながら、いい気持になり、自分が百姓をしていた昔話を長々と語り出した。穴倉にいるジョーは、貯蔵された酒を飲みだし、これもいい気持ちになって、放歌しはじめた。おどろいたティーニャ叔父はか一同は、ハンスをでん酔させ、急場をつくろおうと懸命になる。突如、ジョーが穴倉から姿を現わした。敵と味方が相対した。しかし、次の瞬間、ナチ兵と黒人兵士は抱擁し合い、千鳥足で夜の街を歩きながら、ピストルを乱射し、寝ている村人たちの安眠をさまたげた。彼等は二人の姿をみて戦争が終ったものと早合点し、ナチ食糧貯蔵庫へ押しかけ思い思いの品物を持ち出した。しかし戦争は終ったのではなかった。翌朝これを知った村人たちは一人の牧師を残し、家財道具をまとめて避難しはじめた。道ばたで寝てしまったハンスは翌朝、眼を覚ましたとき何も覚えていなかった。そのとき、突如、砲声がとどろき、彼の記憶がよみがえりだす。ナチ軍は連合軍のため遂に敗退したのだった。ハンスは変装して脱出をはかる。それを追っていくティーニャ叔父さん。しかし、これも逃走中のナチ兵士を乗せたオートバイが通りかかり、二人は無残にも殺されてしまう。そのあとで村には再び平和が訪れる。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ルイジ・ザンパ
- 脚本
- スーゾ・チェッキ・ダミーコ
- アルド・ファブリッツィ
- ピエロ・テッリーニ
- ルイジ・ザンパ
- 製作総指揮
- クレメンテ・フラカッシ
- 製作
- カルロ・ポンティ
- 撮影
- カルロ・モントゥオーリ
- マリオ・モントゥオーリ
- 作曲
- ニーノ・ロータ
- 助監督
- アントニオ・アルトビーティ
- デ・フェオ