ファンタスティック・プラネット
劇場公開日 2021年5月28日
解説
アニメーション作品として史上初めてカンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したSFアニメ。フランスのSF作家ステファン・ウルの原作をもとに、漫画家・イラストレーターのローラン・トポールが4年の歳月をかけて描いた幻想的な原画を、ルネ・ラルー監督が切り絵アニメーションという手法で完成させた。地球ではないどこかの惑星。その星には真っ青な肌に赤い目をした巨人ドラーグ族と、彼らから虫けらのように虐げられている人類オム族が住んでいた。ある日、ドラーグ人の知事の娘ティバは、ドラーグ人の子どもたちにいじめられ母を亡くしたオム族の赤ん坊を拾う。ティバは赤ん坊をテールと名付け、ペットとして飼うことになるが……。
1973年製作/72分/フランス・チェコスロバキア合作
原題:La Planete sauvage
配給:ザジフィルムズ
日本初公開:1985年6月21日
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人間の賢さを表現したかったのだろうか…
学び、そして自由を勝ち取る。
2022年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ややもすれば悲壮感あり、殺伐となりそうなテーマなのに、シュールな映像で先取り感がある。
しかも展開の仕方が冷静で、人間に対する特別の思い入れもなく、だからむしろ人間に対する深い愛情を感じる。
何よりも古そうでありながら斬新なキャラクタやパーツの想像、高い芸術性がこの作品の魅力だと思う。
2022年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ドラーグ人知事の子ティパに拾われた人間の子テールをめぐる得体の知れない不思議なアニメ。知性を持つ人間は高い適応力を持つが命が短いとされていた。発想も展開もビジュアルも前衛的で極めて難解だね。まあ理解しようとせずに流して観ていたけど、BGMもなかなか良いのもあってそれなりに味わっていたよ。
2022年2月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ファンタジーは自由だ。リアリティの有無などというせせこましいくびきから逃れて、解放された世界で無邪気に遊べる。そんな世界観で綴られた物語から、何を受け取るかもまた自由だ。何かの教訓でも、単なる筋書きの面白さでも、美しさでも怖さでも。
星新一のショートショートが思い浮かんだ。星新一作品にはよく当然のように宇宙人が出てくる。高度な文明を持っていたり、青い皮膚だったり、人間を誘拐して動物園の動物のように見せ物にしたりする。ドライに描写された非日常の中に、押し付けがましくない寓意が見える。
遠い未来の世界で宇宙人に飼われ、不都合が起きれば蚊やノミのように殺される人間の物語を見ながら、人間以外の動物から見れば人間の姿や振る舞いはあの宇宙人のように不気味で尊大に見えるんだろうなと思ったりした。
ただ、分かったような気になれるのはその辺りだけだ。残りの大半は、超越したセンスのビジュアルと斜め上のクライマックスに呆然とするしかない。いちいち驚いている間に置いてきぼりにならないよう付いていくのに精一杯だ。
ドラーグ族の姿はもちろん、次から次へと登場するよく分からない動植物とその生態。どれも独創的でアートセンスを感じるが、何故か見ていて不安になる。ティバの学習ヘッドギアや飼われている人間のファッションなど、ごく一部かわいい要素も点在するので余計にカオスだ。
極め付けは、ドラーグ族の瞑想シーンだ。その色使いとサウンド、4人並んで瞑想する場面で体が変形する様子などは、何だか脳みその中を直接かき回されているような、催眠をかけられているような、謎の感触があった。ホラー映画のような怖さではなく、洗脳ビデオのような、うっかりすると取り込まれそうなちょっとした恐怖。
夢野久作の「ドグラ・マグラ」という、読むと気が狂うという歌い文句の小説がある。なぜそのように言われるかというと、狂人の精神状態を主観で描写しているかのようなくだりがあるからだ(私の解釈です)。この本を読んだ時に感じた、脳内に不可解なものがぬるりと入ってくるような恐怖と、本作の謎めいた感触はよく似ている気がした。
理屈では捉えきれないが、言葉にならないこの不穏な感触、嫌いじゃない。
徹頭徹尾振り切ったイマジネーションとシュールなビジュアルで固められた中、アップになった時の人間の顔とお婆さんのおっぱいの垂れ具合だけがやたら現実味があるのがまた独特の雰囲気を醸し出していた。
深夜にNHKBSで放送していたものを録画して観たが、リアルタイムで真夜中に観ていたら何かを持っていかれていたような気がする(妄想)。ドラーグ族の瞑想のように……
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