ひまわり(1970)のレビュー・感想・評価
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分かりやすい戦争ドラマ
戦争を通じての人間ドラマを描いているわけですが、戦争から帰らない夫を待ち続ける女とか、敵地で女性に命を助けられた男が子供まで持ってしまったりとか、さらにその二人の再開とか、あまりにもわかりやすすぎる物語かと感じます。
属国とはいえ敵国の兵士を一生懸命助ける女性の存在も描き切れずに映画の一材料と化している感はあります。
とはいえ観客を飽きさせないテンポの良さ、情景の美しさ、音楽の心地よさがあることはなかなか良いと思います。
多くの兵士たちが眠る上に咲き誇るヒマワリ、どこまでも広がる様に見えるその規模に感慨
ビットリオ・デ・シーカ 監督による1970年製作(107分/G)のイタリア映画。
原題:I girasoli、配給:アンプラグド。
劇場公開日:2023年7月28日、その他の公開日:1970年9月(日本初公開)、1974年10月、1982年11月、2011年12月17日、2020年6月1日
ウクライナ侵攻が有り、あのヒマワリ畑はウクライナのロケということで再度注目を集めていて、再視聴。高校生の時に名画座で見て、感動して以来。
今見るとそれ程でも無いのだが、ソ連の有名女優だったリュドミラ・サベリーエワの儚げな美しさとヘンリー・マンシーニの美しい音楽に、当時メロメロになったのを思い出した。そして今見ても、水平線の向こうまで続く咲き誇るヒマワリのパノラマ的映像に、その下でソ連兵とドイツ兵のみならず大勢のイタリア兵も眠っていると思うと、感慨を覚えると共に圧倒もされた。
全く覚えていなかったのだが、マストロヤンニが作り過ぎた卵料理で新婚2人がゲンナリとしたり、徴兵回避の為に精神異常を装ったりと、前半は結構コミカルな演出。新婚2週間は徴兵されないとは、何ともイタリアらしい制度とかなり驚き(調べてみると、開戦初期の1940年と翌年の出生数は実際に増えていた)。
大女優ソフィア・ローレンの名前は知っていたが、このオバさんのどこに魅力が?と高校生だった自分は不思議であったが、今見てもわざと濃い色の肌のフケメイクを施していて、夫カルロ・ポンティが製作者でもあり、かなり不思議(その後、生命力に溢れて美しい彼女主演の映画を幾つか視聴)。
多くの庶民的オバさんを本映画のメインターゲットとしたかったせい?ただどうしても、サベリーエワの白さと若さが、より際立ってしまった印象は有る。そんな魅力的な現地妻なのに、マルチェロ・マストロヤンニの心は、ずっとソフィア・ローレンの方にある様。そうでないと悲恋ドラマにならないということかもしれないが、おじさん的には何とも不自然にも感じた。
恥ずかしながら、独ソ戦というイメージが強く、イタリア兵が多勢ソ連に赴き戦って亡くなったことを十分にイメージできないでいた。今回、雪上の敗残行軍で全く歩けなくなり横たわって死にかけているマストロヤンニを、リュドミラ・サベリーエワが重いのに足を引き摺り一生懸命に家に運び込もうとする映像を見て、かなり違和感を覚えてしまった。
周りには多くの兵士が倒れており、素直では無い気もするが、若い兵士を助けて夫にしたい彼女の邪心をイメージしてしまった。夫を必死に探して、ついに見つけ出したソフィア・ローレン中心のつくりであり、もしかして監督も、そう思われることを意図していた?
最後はひまわり畑の美しい映像で終わったが、今また、あのウクライナのひまわり畑は戦場になっているのだろうか?
監督ビットリオ・デ・シーカ、製作アーサー・コーン、 カルロ・ポンティ、製作総指揮ジョセフ・E・レビン、脚本トニーノ・グエッラ、 ゲオルギ・ムディバニ、 チェザーレ・ザバッティーニ、撮影ジュゼッペ・ロトゥンノ、音楽ヘンリー・マンシーニ。
出演
ジョバンナソフィア・ローレン
アントニオマルチェロ・マストロヤンニ
リュドミラ・サベリーエワ
激しさと無情感
誰もが認める名画にようやく巡り合えた。名画座で何度もリバイバル上映があったが、おそらくメロドラマ仕立てのストーリーとソフィア・ローレンの喜怒哀楽の激しい演技が眩しすぎて、当時の自分は遠慮したのだと思う。
わかっていたとはいえ名画だな。名匠と大俳優とヘンリー・マンシーニ、映画史に刻まれる作品であることは確かでした。
主演のお三方はやっぱりスターの輝きだ。一挙手の無駄もなく火花に出るような緊張感ある演技は見事でした。この共演だけで十分の見ごたえ。ラストシーンの2人の表情が忘れられない。ちっちゃいことだけど、ソ連にいるマストロヤンニはやや足を引きずった感じで、これは素なのか演技なのか? もし傷痍兵を意識した演技だったら。
ソ連シーンは当時の限界を感じた。当時の西側からソ連のロケ、商工業が発展する様子や近代的な街並みは外せなかったと思うけど、民衆の働く様子や温かい現地ロケシーンはイタリアスタッフの粘り勝ちか。
ふと、1970年の万博ソ連館を思い出した。ソユーズと宇宙服は、月の石のアメリカ館と人気の双璧だった。大画面に映される連邦国の風土や地域の衣装・舞踊など、なんてすごい国かと思い記念に切手帳を買ってもらったけと、父親は否定的だった。なるほど、戦中派だから不可侵条約の破棄とか抑留、この国の負の部分がわかっていたのだと思う。
いま、ひまわりの咲き乱れるあの花畑はどうなっているのかなあ? 戦禍の終息を祈るばかり。
サーカーてこの当時からすごい人気やってんなあ
登場人物は少ないけれどエキストラはメチャクチャ多い。
それだけに主人公の二人とアントニオを助けたマーシャが際立っていた。
物語の前半はあの有名な音楽が似合わないような展開だがエンディングを想定するような響きがもの悲しい物語を予感させる。
スターリンが死んでから探しに行ったのが遅かったのか、アントニオには新しい家族が・・・
戦争がなかったらと誰もが感じるだろうし逆に戦争があったから新しい人間関係も生まれる。
ただ、悲劇の上に成り立っているのだけれど。
アントニオを助けたマーシャはロシア人という設定だがウクライナ人だったのではないだろうか?
列車から見える向日葵畑の映像がぶれまくりで見づらかったがこれも演出だったのだろうか?
それとも手ぶれ補正機能がなかったのか?ちょっと気になった。
「ローレンは『ひまわり』撮影当時、配偶者のいた製作者カルロ・ポンティと交際をしており、劇中に出てくる赤ちゃんは、実際の2人の間に出来た子供ポンティJrである。2人は後に正式に結婚。」という記事を発見した。(小ネタです)
いずれにしても戦争はあかんということで在りロシアの人はこの映画を観て何を感じるのだろうか?
ウクライナの人だけでなくロシアの人にとっても毎日悲劇を生んでいるだろうから・・・
恋愛映画でありながら、戦争と人間について深く掘り下げている
有名作品ではあるが、実際には観たことがない人は多いと思う。ただ、中高年の人はヘンリー・マンシーニのテーマ曲は聴いたことがあるだろう。
ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニが第二次世界大戦で引き裂かれる夫婦を演じるメロドラマ。とてもよくできている。
ロケーションの美しさもさることながら、戦争と人間のかかわりを深く掘り下げている。
第二次世界大戦中、ナポリ娘のジョバンナとアフリカ戦線行きを控えたアントニオは恋に落ちて結婚する。アントニオは精神病を装って除隊を目論むが、見破られて逆にソ連戦線に送られる。
戦争は終わったが、アントニオは帰国せず、行方不明のままだった。
ジョバンナは夫を探しにソ連に行く。
ようやく見つけた夫は若いロシア人女性のマーシャと家庭を築いていた。
マーシャはジョバンナに、アントニオを雪原で発見したとき、記憶もない状態だったと語る。
ジョバンナはアントニオと再会は果たすのだがこらえきれず、その場を逃げ出す。もう別の道を歩んでいることを悟ったのだ。
しかし、後日アントニオから連絡があり、もう一度会いたいといわれる。
拒むジョバンナだったが…。
という物語。
イタリアは第二次大戦中にドイツ・日本とともに参戦していたので敗戦国だ。
ナチスドイツと協力してソ連と戦ったのだが、そのあたりは深くは触れられない。
むしろ、「戦争が人を別人にしてしまう」というテーマを掘り下げている。
印象的だったのは、本作で一番有名なビジュアルである「ひまわり畑」(ウクライナポルタヴァ州のチェルニチー・ヤール村)で「イタリア兵とロシア軍捕虜が埋まっている。ドイツ軍の命令で穴を掘らされた」と現地の女性が語るのだが、ジョバンナは「夫は生きている」と主張する。
戦争における大量の犠牲というものは、ジョバンナにとってはそれほど大事ではなく、アントニオの安否だけが問題なのだった。
逆にアントニオが「戦争が人を変えてしまう」と語るシーンがあり、彼にとっては戦争そのものが問題になっている。
キャラクターによって視点を使い分けているあたりもうまく、名画と呼ばれる所以だろう。
蛇足ながら、アントニオのロシア人妻マーシャを演じたリュドミラ・ミハイロヴナ・サベーリエワは非常に美人であり、マルチェロ・マストロヤンニはどこにいってもモテる設定なのだと納得した。
もう戦争はしちゃダメだよ
初めての鑑賞
妻が「昔見て、チョット泣けた」というのでBS放送を録画
第二次世界大戦中のイタリア
海辺で出会ったジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアントニオは恋に落ちる
アントニオはまもなく戦地へ赴くという
離れたくない二人は結婚し、休暇を取ることで出征を遅らせ
さらに、『アントニオが精神を病んでいる』という芝居をして
兵役逃れを企てるが、嘘であることがわかり、戦地へ赴くことになる
やがて終戦を迎え兵士たちが帰ってくるが、アントニオは一向に帰ってこない
ある日、ソ連の戦地でアントニオと一緒だったという帰還兵にあう
「死んだのではないか」という男
諦めきれないジョバンナは、アントニオを探すためにソ連に向かう
という物語
アントニオを探し続けるジョバンナ
どこまでも続くひまわり畑
ついに見つけたアントニオはロシア人女性マーシャと子供の3人で新しい生活を送っていた
アントニオはマーシャに助けられて命拾いをしたけど、
記憶を失っていて、そのままマーシャと暮らし始めたと・・
記憶があれば終戦と同時にイタリアに帰ったんだろうけど
自分がどこの誰だか分からなきゃ帰るところも無いわけで・・・
しばらくして、アントニオはイタリアを訪れ、ジョバンナに「会いたい」と連絡するんだけど
ジョバンナは再婚して、子供も生まれていて・・・
アントニオはやり直したいみたいなこと言うけど
ジョバンナは「無理でしょ」言う返事
見てるこっちも「もう無理でしょ」って思うわけで
でも「時間を戻せるなら、戻してあげろよ」とも思う
古い作品だから、不自然に感じる部分もあったけど
『やっぱり、戦争はダメだよ』
戦争への抗議と人への愛
オープニング、一面のひまわり畑。そのひまわり達は、背景に流れるテーマ曲のせいか、何ともいえない陰影を帯びて見える。
物語の終盤。男が女に一緒に来ないかと投げかけ、女が断る。これは、過去を肯定しつつ現在を受け入れ歩み続ける為の儀式だ。何と悲しく、何と美しい大人の逢瀬だろう。
これは、二人の演技だけでなく、そこに至るまでの時間経過と距離の見せ方の上手さがあってこそだ。
またこの作品では、理不尽の極みである戦争への怒りと抗議を直接的な形でも表現している。雪中の敗走、丘を埋め尽くす墓標、埋められた人々の上に咲く見渡す限りのひまわり等、強い印象を残す画ばかりだ。
しかし、戦争への憎しみを個々人に向けることは無い。イタリアとソ連の人々の日常を通して、東西ともに変わらぬ人間の営みがあるのだと伝えている。その姿勢こそ、この映画が愛され続ける理由なんだと思う。
ウクライナをはじめとする紛争地域に1日も早く平和が戻りますように。
…
この映画の内容を そのまま音にした様なテーマ曲がとても印象的。
…
群衆の中でも際立つソフィア・ローレンのスタイルの良さ、視線の強さ、美しさ。
離れていても思い合う2人
戦争が引き裂いた愛
テーマ曲が切ない。
1970年作品。
ソフィア・ローレンは35歳位。
マルチェロ・マストロヤンニは45歳位。
ヘンリー・マンシーニのテーマ曲が初めにも終わりにも流れて
切なさをかき立てられます。
アントニオとジョバンナの、たった12日間の結婚生活。
おままごとのように、24個の卵でオムレツを焼き。
ベッドでただただ抱き合った。
そして徴兵逃れの作戦を実行するものの、失敗して
ペナルティはアントニオのロシアへ徴用でした。
戦争が終わっても帰ってこないアントニオ。
生死が不明なのです。
遂にロシアへと探しに行くジョアンナ。
それにしてもジョバンナは強い女性。
そして優しい女性。
やっとアントニオを見つけた時。
既にロシア人の妻と娘の新しい生活がアントニオにはありました。
列車から降りて来るアントニオ。
アントニオを一眼見て、ジョバンナは即座にイタリアに引き返す。
決して妻子からアントニオを奪おうとしない。
しばらくしてアントニオがミラノにやって来る。
「二人で逃げよう」そういうアントニオを制して、
子供と今の生活を守る。
戦争が引き裂いた愛。
反戦映画の代表的な作品。
美しく力強い。
(ソフィア・ローレンは88歳で存命なのですね)
素晴らしいことです。
後半に問題
惹かれあっていても
戦争にさえ行かなければ、二人が引き裂かれることはなかった。
あのロシアのツンドラの凍土を歩かされる兵士たち。あれは体力のない者を自然淘汰する為に歩かせたとさえ思わせてしまう光景。
あの小屋、開けてびっくり、立って眠る兵士たち⁉️
男なら徴兵される、男は辛い、大変だなぁと思った。今もし徴兵制度がしかれたら女性もだろうなぁ、と思うが。
アントニオは助けてもらったにせよ、生きておれるのがラッキーな状況だった。そう思えば、最愛の人と別れても生きている方がマシか?
助けてもらえなければ亡くなっていた筈。
ジョバンナが言ったように感謝して立ち去る事はできなかったのだろうか。
アントニオが言っていたようにマーシャの所だけしか安心できなかった状況だったからか。
ジョバンナが探して探してやっと見つけたら他の女性と結婚して子供もいた。怒り心頭に発するのだけど、記憶喪失だったら仕方ないか❓生きていてよかった、と考えるしかなく自分に言い聞かせ別の男性と結婚してしまった。
アントニオが会いに来たが、どうしようもできない。愛し合っているのに別れるしかない悲しさ。
しかし、アントニオ身勝手な人とも映る。マーシャと娘を置いてきてジョバンナとヨリを戻そうとするのは。
いや、しかし、これが戦争の苦しさむごさなのかもしれない。極限状態におかれてしまったら、心が変わってしまうのかも。
あのお墓の情景、広すぎる、多すぎる。
やはりラストの場面、音楽が素敵過ぎる。
悲しさを倍増させる。
追記:
撮影はウクライナで行われていて今もひまわり畑が広がっているらしい。
上映は、当時ソ連で一度も行われず撮影場所に住む方も観たことがなかったらしい。
ウクライナ侵攻で本作各地でリバイバル上映されていて収益金をウクライナに送るとか。
名作はやはり名作でした
今から50年以上昔の映画。昔から知ってはいたけれど、古いからと観ずにきた。今、ロシアとウクライナの戦争からこのひまわり畑がクローズアップされたことと、終戦記念日あたりで特集される戦争もの。やっと観てみようという気になった。
名作と言われる映画、やはり良い映画でした。観ていなくても、音楽も聴いたことがある。そしてソフィア・ローレン、やはりお綺麗な方なんだな。目鼻立ちもくっきりと、背も高くお色気もあります。終盤のマネキン人形を
磨く仕事をしている時に、仕事を変えないとね、と言われていたところがおかしかった。確かになんか仕事しているのに色気ありすぎ。
どの国の戦争映画でも、恋人夫婦、親子にしても戦地に行くために離れ離れになるのは辛い。終戦になっても帰らない夫を探しにロシアに向かうが、当てもなく探すのに、
よくも住まいを探し当てたな。そこはまあ、映画だから。
死にかけて記憶がなかったようだから、助けてくれたロシアの奥さんを好きになってしまっても仕方ないだろう。
ロシアの奥さん、幼い娘にまで会ってしまい、幸せそうな2人を見たら、泣いて縋るわけにもいかないだろう。何も言わずに汽車に飛び乗り、汽車の中で号泣する。とても辛い場面。
後日夫が訪ねてきても、突き放す。ロシアの奥さんと娘の元に返す。強く、でも優しい女性。夫よ、せめて母親にも会いに行ってあげてほしい。行ったのかな?
やはり、昔の名作といわれる映画、観ておくべきだな、と改めて感じた。
ソフィアとかジョバンナとか
ジョバンニとかジョバーナとかジョルノとか(出てないか)
名前が夢の国すぎる、憧れの国その名は伊太利亜🇮🇹🍅🍝
音楽いいね🎶
あんなに綺麗だった人が今では孫悟空の物真似の人の物真似の人みたいになってるのね。
まず卵使いすぎ。コレステロール値とか考えた事ある?勿体ないし。
おばちゃん達の群れの中で1人だけ背たかいけんめっちゃ目立ってる(浮いてる)🤔
おっパイ揉みたくなる気持ち分かる着衣の着方がイタリアっぽくてエロい( ^ω^)
めっちゃ若いなめっちゃ可愛いなそりゃ目移りしますわ!急にめっちゃ若いやん(๑♡∀♡๑)ってなった
この映画見たら、(え?あそこまでチャリ取り行くん😭マジで❕(>ω<。)めんどくさ( -᷄ω-᷅ )もうええわ新しいの買お)とか言わずに頑張って取りに行けるし、(ええ〜〜!名古屋‼️お前どんだけ離れたんだよ、結婚は祝福してるけど…流石にちょっと…その距離は…)と思ってた招待も、よしアイツのためなら祝いに行こう(๑•̀ㅂ•́)و✧!って成る( ¯꒳¯ )。
戦争の残酷さ
WOWOWオンデマンドで78回目の終戦記念日に視ました。美男美女のメロドラマ要素もありますが、その当時の平凡な男女でも第二次世界大戦の下では各国で起こっていた出来事であるのだろうなと思いました。
ようやく会ったときに逃げるように列車に飛び乗るジョバンナ。アントニオが訪ねてきたときに一線を越えないジョバンナ。帰らないかもしれないと思いつつイタリアへ帰ることを許す美しいロシア人の妻。
60年以上前の映画ですが出てくる女性が強く美しく印象的です。
戦争の愚かさ、残酷さを美しい音楽と美男美女が教えてくれる名作です。
2人のロマンスを秘めて咲くひまわり
終戦の日を前にして
この映画は、一見すると、イタリアの美女(ソフィア・ローレン)と美男(マストロヤンニ)によるやや大袈裟なメロドラマに見えてしまう。今、受け入れられているのは、ロシアのウクライナ侵攻との関連だろう。しかし、それだけでは、なぜこれほどの大きな評判を得てきたのか、説明がつかない。
ソ連を含むヨーロッパでは、この映画には同時代的ドキュメンタリーの要素があったのではないか。まず、ソ連の東部戦線に送られた夫アントニオ(マストロヤンニ)が、終戦後、何年経っても帰国しないため、妻ジョバンナ(ローレン)が、ソ連まで探しに出かけたのはスターリン死後の1955年頃か。東部戦線で、イタリア人捕虜の多くが亡くなったことは事実のようだ。アントニオは撤退途上の雪原で凍死しかけていた自分を救ってくれたロシア人の若い女性マーシャと家庭をもち、幼い女の子をもうけていた。そのマーシャの許しを得てソ連を出国し、ジョバンナをミラノに訪ねたのは、さらにその数年後か。その頃には、ジョバンナもまた家庭を持ち、子供をもうけていた(子役は、ローレンの実子とか)。
制作者たちが長い年月をかけて交渉した結果、現地でのロケが実現したこともあって、夫を探すジョバンナが歩き回るソ連の情景は印象的。ジョバンナは、長くて深いエスカレーターと広い構内を持つ地下鉄駅でイタリア人の男性と出会うが、祖国へ戻らなかった(戻れなかった)イタリア人兵士も、確かに存在したのだろう。ジョバンナが最後にアントニオを探し当てた郊外の駅の裏手には、ソ連の工業立国を象徴する原発と見紛うような火力発電所の冷却塔が聳え立つ。ただ、ウクライナのヤール村にあったと言うひまわり畑は本物だが、この映画で最も印象的であったイタリア人兵士の墓地は屋外セットであったと言うことだ。
この映画が1970年の封切り時、イタリアで絶賛されたのは当然であるが、日本でも大ヒットした。ソフィア・ローレンの魅力と、ヘンリー・マンシーニの映画音楽に多くを依っているのだろう。しかし、当時の日本の事情も関係していたに違いないと思う。
終戦時、中国大陸には兵隊を含め280万人の日本人がいたとされる。その多くは、中国国民党政府と米国の理解により、無事帰国された。その後、台湾に移ることを余儀なくされた蒋介石の「以徳報怨」と言う発言は、今でも我が国の保守党のバックボーンになっている(それほど、単純な問題ではないにせよ)。様々な事情により、大陸に残らざるを得なかった日本人もたくさんおられ、その後中国残留日本人として表面化する。一方、中国東北部(満州)では、終戦時のゴタゴタを縫うように侵攻したソ連と、当地を支配していた中国共産党の影響下に多くの兵隊はシベリアへ長期に渡って抑留され、一般の日本人も帰国時に辛酸をなめた。日本人は、昔も今も多くを語らないが、そうした事情をよく知っていた人々は、この映画を見て、涙を流したに相違ない。
特に昔を知る日本人にとって、忘れることのできない映画である。
0031 ストーリーはいたってシンプルなんですね。
1970年公開
ソフィアローレンには昔からそそらなかったので
この名作未見でした。
で、終活のため4K版観覧。
絵は抜群
ヘンリーマンシーニ最高!
で結局現地妻をめとったら本妻がアバウトに探しに来て
運よく(悪く?)見つかってしまい
なんて人なの!私もオトコ見つけてやる!
現地妻は本妻怒ってるので行ってやって。
でも最後は帰ってきてね。
おっとこ前はええのう。
って話ですか?
なんか切なさの前に入れ食いのマストロヤンニに腹立つ。
70点
初鑑賞 2023年8月9日 京都シネマ
分断された心と愛
どこまでも拡がるひまわり畑と、美しくも哀しいヘンリー・マンシーニのテーマ曲が心に残る名作中の名作。
戦争は人の心と愛を分断するものなのだと改めて考えさせられた。
戦地に赴き地獄を味わった者と、兵士の帰還を待ち続ける者とでは同じ想いを共有するのは本当に難しいだろう。
映画はロシア戦線からの帰還兵の中に夫の姿を探す妻の描写から始まる。
夫は生きているのかと詰め寄るジョバンナの気性の激しさがまず印象に残る。
ジョバンナとアントニオの馴れ初めも非常に情熱的だ。
アントニオはアフリカ戦線行きを控えていたために、ジョバンナは彼に求婚し、結婚休暇を取ることで出征を送らせようとする。
二人が一緒にいられるのはたったの12日間。
こういう場合、とてもロマンチックで哀しみを誘うような描写が多くなりそうだが、大量の卵でオムレツを作る場面などはとてもユーモアに溢れている。
そして二人は橋が爆撃される様子を間近に見ながら、お互いに何があっても離れないと固く愛を誓い合う。
かと思えば何の前振りもなく、アントニオがナイフを持ってジョバンナに襲いかかる場面に。
実はこれは二人の作戦で、精神病院送りになることで兵役を免れようとしたのだ。
が、作戦は失敗し、アントニオはさらに過酷なロシア戦線へ送られてしまう。
やがて戦争は終わりを告げるが、ジョバンナは毎日駅のホームでアントニオの写真を手に彼の帰還を待ち続けている。
すると彼と戦線を共にしたという男が彼女に声をかける。
極寒の戦場はまさに地獄そのもので、力を使い果たしたアントニオは雪の中に倒れてしまう。
男は何とかアントニオを励まそうとするが、自分も命の危険にさらされているため、やむ無く彼を置き去りにしてしまう。
去っていく男を見つめながら、覚悟を決めたように手を上げるアントニオの痛々しい姿が目に焼き付く。
その男も極限状態にいたわけで、誰も彼を責めることは出来ないだろうが、ジョバンナは夫を置き去りにした彼を激しく責め立てる。
ジョバンナにしても、男の行動がやむを得ないものであったことを理解しているだろう。
しかし彼女は男を責めずにはいられないのだ。
それでも彼女はどこまでも強く、行動力があり大胆だ。
彼女はアントニオを探しにロシアを訪れる。
ひまわり畑の下に眠っているという数多くの兵士や民間人の供述が生々しい。
どこまでもアントニオの生存を信じているジョバンナは、ついに彼の居所に辿り着く。
しかしそこにはマーシャというロシア人女性と幼い娘がいた。
その姿を見て、何かを察知するジョバンナ。
マーシャは瀕死の状態のアントニオを看病したのだが、彼は自分の名前も記憶も失ってしまっていたらしい。
やがてマーシャはアントニオを迎えに駅へと向かう。
そして列車から降りてきたアントニオは、ジョバンナの姿を見て愕然とする。
どう見ても彼はジョバンナのことを覚えている。
アントニオの姿を見てショックを受けたジョバンナは、そのまま列車に乗り帰国する。
そしてアントニオの写真を破り捨て、彼の一切を忘れることを誓う。
ジョバンナを一目見てしまったアントニオは、再び彼女への愛を思い出してしまう。
妻子がありながら彼はジョバンナに会いにイタリアにやって来てしまう。
そして彼女に電話をかけるが、そこで彼女にも新しい相手があることを知らされる。
アントニオはジョバンナに会うこともなく立ち去ろうとするが、ストのせいで列車は動かない。
そこで彼は娼婦に声をかけられ、そのまま彼女について行ってしまう。
このあたりがアントニオの意志の弱さであろうか。
彼は娼婦のもとから再びジョバンナに電話をかける。
一度はアントニオを拒んだジョバンナだが、彼のことをまだ愛しているのだろう、住所を告げて彼に会う約束をする。
稲光だけが二人を照らす暗い部屋での再会の場面はとても印象的だ。
アントニオは何もかも捨ててやり直そうとジョバンナに縋る。
ジョバンナも本心では彼を受け入れたいのだろう。
しかしそこで突如赤ん坊の泣き声がする。
彼女にもすでに新しい家族が出来ていたのだ。
アントニオもジョバンナも、それぞれに家族の生活を守るために、二人の愛に別れを告げる。
ラストのプラットホームでの別れの場面は涙を誘う。
どちらにも事情があり、そしてどちらの言い分も正しいのだろう。
戦争さえなければ二人の愛は続いていたのかもしれない。
戦争は人の命を奪うだけではない。
それでも二人にはそれぞれに自分を待つ人がいることがせめてもの救いだと思った。
引きのショットからのクローズアップがとても効果的で、言葉はなくとも登場人物の心情を饒舌に語っていると思った。
アントニオ役のマストロヤンニはさすがの風格だが、ジョバンナ役のソフィア・ローレンの熱量には圧倒された。
マーシャ役のリュドミラ・サベリーエワも哀れみを誘う表情が印象的だった。
全132件中、21~40件目を表示