ピクニック(1936)

劇場公開日:2015年6月13日

解説・あらすじ

印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールの息子、ジャン・ルノワール監督による中編作品。ギィ・ド・モーパッサンの小説「野あそび」を原作に、パリから田舎にピクニックにやってきた一家の一日や、地元青年と一家の娘の愛を、モノクロの美しい映像で紡いだ。1936年に撮影されたものの、第2次大戦時にドイツ軍によってプリントが破棄。シネマテーク・フランセーズの創設者アンリ・ラングロワがオリジナルネガを救出し、プロデューサーのピエール・ブラウンベルジェがアメリカへ亡命中だったルノワール監督の了解を得て編集作業が続けられ、完成。第2次大戦が終結した翌年の46年、撮影から10年を経てパリで初公開されたという経緯を持つ作品。2015年、戦後70年を記念して日本でもデジタルリマスター版が劇場公開。

1936年製作/40分/フランス
原題または英題:Partie de campagne
配給:クレストインターナショナル
劇場公開日:2015年6月13日

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映画レビュー

4.0 映画史に残るブランコに乗る娘のシーン

2025年7月10日
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ある夏の日、パリに住む一家が、馬車で田舎へ来るシーンで始まる。どこでランチをしようか、そこには都会には無い豊かな自然が有った。

流れる川
そよぐ風
歌う小鳥
木陰の優しさ

多感な娘アンリエットは
不思議な感情が芽生える

下心のある田舎の青年は
アンリエットを眩しく思う

ひとときの出会い

揺れ動く恋は偽物か
永遠に続く切なさか
時間は残酷なものか。

原作は1881年の短編。余暇を求め田舎へ遠征するパリの裕福な人々を描いた。その頃のヨーロッパの絵画には公園や近郊の田舎でくつろぐ市民の姿を描いたものも多い。監督は有名画家の息子ジャン・ルノワール。戦争で不明になったフイルムをかき集め、何とか編集し40分の作品に仕上げた。恐らく撮影したであろうラストへと繋がる熱い恋の行方が無いのは残念だけど、時間の流れを川のワンショットで省略したのは正解だと思う。

前後に何もなくても感じるものが有る稀有なシーン。何度も映し出されるブランコのシーンは、彼女の中に湧き上がる新しい感情、抑えきれない喜びのシーンだと理解している。

星3つはブランコのシーン
もうひとつは魅力的な物語

欠落してしまい
完璧では無い物語
だけど素敵な映画
そう思います。



10年前に渋谷で鑑賞

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星組

5.0 美しい映像詩

2025年1月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

この時代に自然の中でここまで美しいパンを撮るというルノワール
カメラの流麗さが並みじゃない
詩情を強く感じた

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悠

3.5 小さいながら印象に残る、興味深い映画だが…。

2024年3月13日
Androidアプリから投稿

自然の力と若さと偶然…そのようなものが作用したのだと思う、男の方はふだんの現実的抑制的がモットーが、この時だけは崩れた。女の方も我を忘れた。二人にとっては、奇跡的なことだった。忘れがたい思い出となった。
生の味わいの一側面、自然が与える生きる力、性の力の一側面を、木漏れ日や水面のゆらめきや雲の流れ、草葉の揺れとともに、美しく、印象的に描かれていて素敵だ。
小さい作品ながら印象に残る。

ただし…母と娘がそろって…という展開はビミョーだった。母なら娘のことをもう少し気にかけるものじゃないだろうか。男の願望が勝手につくりあげたアホらしいストーリーにも思えてくる。またこれは、後の再会の場面がなければ、親子揃って見舞われた強◯事件と誤解されても仕方がない展開じゃないの?

しかし、未完ということだし、原作との関係もあるかもしれないので、気にしないでおこうと思う。
テーマとしては『草の上の昼食』につながるものがあるように思った。

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あまおと

3.5 【”月曜日のように悲しい日曜日が過ぎ、数年が経った・・。”楽しきピクニックの風景を描きつつ、人生の哀楽を盛り込んだ品性ある作品。】

2023年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー ひと時の恋に輝き、その恋が破れながらも、その愛を抱き続けた若き女性をみずみずしく描き出した作品。-

■パリで小さな店を持つデュフールは、妻と娘と義母、そして使用人・アナトールを連れて田舎にピクニックにやってきた。
 昼食後、デュフール夫人と娘のアンリエットは、舟遊びの青年アンリと、ロドルフに舟遊びに誘われる。
 アンリとアンリエットは惹かれあうが。

◆感想

・前半は、デュフール一家が浮き浮きした気分で、ピクニックを愉しむ様が描かれる。

・そして、アンリエットは、アンリの秘密の場所でキスをするのだが・・。

■その後描かれるのは、黒い雲が沸き上がり、驟雨が降る様である。
 陽と陰の絶妙な使い分けである。

<別れた二人が、数年後、同じ場所で再開するシーンも何とも切ない。今作は美しくも物語の流れを風景で絶妙に表した作品なのである。>

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NOBU