ピーターズ・フレンズ
劇場公開日:1994年10月22日
解説
10年ぶりに再会を果たした大学時代の友人グループの姿を通して、普遍的な友情の価値というテーマを描いたハートウォーミングなコメディ。製作・監督は英国演劇界の風雲児ケネス・ブラナーで、「愛と死の間で」に続いて撮った長編第3作。脚本は出演もしているリタ・ラドナーと、彼女の夫マーティン・バーグマンのオリジナル。エグゼクティヴ・プロデューサーはスティーブン・エヴァンス。撮影のロジャー・ランサー、美術のティム・ハーヴェイ、編集のアンドリュー・マーカスらは、続くブラナー監督作「から騒ぎ」にも参加している。登場人物たちの10年間の軌跡を表すべく、メインテーマ曲としてクイーンの『マイ・ベスト・フレンド』が使われているほか、ブルース・スプリングスティーン、シンディ・ローパー、ティナ・ターナーなど、80年代のヒット曲が効果的に挿入されている。出演は私生活上でもパートナーである「から騒ぎ」のブラナーと「父の祈りを」のエマ・トンプソンを除くと、主人公ピーター役のスティーブン・フライ(英国で著名な劇作家・俳優)をはじめ、ほとんどが日本では馴染みのない俳優ばかりだが、その演技のアンサルブルは絶妙。
1992年製作/イギリス・アメリカ合作
原題または英題:Peter's Friends
配給:セテラ
劇場公開日:1994年10月22日
ストーリー
1982年、大学卒業を控えた男女6人組のグループが、メンバーのひとりで裕福なピーター(スティーブン・フライ)の屋敷で、馬鹿騒ぎに興じていた。彼らは揃いのコスチュームで、一枚の記念写真を撮る。10年後、父の死で屋敷とモートン卿の称号を受け継いだピーターは享楽に身をやつし、この間、社会的にも個人的にも何一つなし遂げたものはなかった。今や広すぎる屋敷を手放すかどうかの選択を迫られた彼は、大晦日に久々に大学時代の仲間6人を招待する。仲間たちもこの10年間に、それぞれ人生の現実と直面していた。映画の衣装デザイナーになったサラ(アルフォンシア・エマニュエル)は、本当の伴侶を探したいという気持ちと裏腹に、既婚者との不倫を重ねていて、今回も俳優のブライアン(トニー・スラタリー)を伴ってきた。かつてピーターと「目を見張る脚本」を仕上げようと躍起になっていたアンドリュー(ケネス・ブラナー)は、ハリウッドに渡ってテレビ業界に携わり、女優のキャロル(リタ・ラドナー)とも結婚し、そこそこの成功を収めていた。だが、理想と現実のギャップに自己嫌悪に陥っており、禁酒の問題を抱えていた。出版社に務めるマギー(エマ・トンプソン)は、何事も自信が持てずにマニュアル書どおりに従っており、まだ独身のピーターとの接近を夢見てやって来た。一番堅実な人生を歩んでいたのは、結婚したロジャー(ヒュー・ローリー)とメリー(イメルダ・スタウントン)のカップルだったが、双子の子供のひとりが死んだ事でメリーが情緒不安定に陥り、夫婦の危機が訪れている。夕食の席上、ロジャー夫婦の子供の話題をきっかけに、いつの間にか一同は罵り合いとなり、久々の再会を楽しもうというピーターの計画は丸潰れとなる。その夜、ピーターの寝室を訪ねたマギーは本のとおりに積極的に迫ろうとするが、彼から「僕はバイセクシュアルだ。君は最高だけどどうしてもダメなんだ」と告げられる。キャロルとブライアンは屋敷を出ていき、大晦日の夜に残ったのは結局、10年前と同じ6人組。まだ仲直りできない仲間たちに業を煮やしたピーターは、自分はHIVウィルスに感染していると言う。衝撃の告白は皆の心を一つに結びつけ、他人を思いやる気持ちを呼び覚ました。明るく希望を失わないピーターの前向きな気持ちに深く心を動かされた彼らは、優しく見守っていた家政婦のヴェラ(フィリダ・ロウ)に促され、新年の祝杯を上げた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ケネス・ブラナー
- 脚本
- マーティン・バーグマン
- リタ・ラドナー
- 製作総指揮
- スティーブン・エバンス
- 製作
- ケネス・ブラナー
- 撮影
- ロジャー・ランサー
- 美術
- ティム・ハーヴィ
- 音楽監督
- Gavin Greenaway
- 録音
- David Crozier
- 編集
- アンドリュー・マーカス
- 衣装デザイン
- Susan Coates
- ステファニー・コーリー
- 振り付け
- David Toguri
- 字幕
- 細川直子