ハムレット(1947)

劇場公開日:

解説

「ヘンリー五世(1945)」に次いでローレンス・オリヴィエが製作・監督・主演したシェイクスピア劇映画で、フィリッポ・デル・ジュウディテェが製作指揮に任じた一九四七年作品。装置と衣装は「ヘンリー五世(1945)」の衣装デザイナーのロジャー・ファースがカーメン・ディランの協力を得て担当し、撮影は「ハングリー・ヒル」のデスモンド・ディキンソン、音楽は「ヘンリー五世(1945)」と同じくウィリアム・ウォルトンが作曲し、演奏はフィルハーモニア・オーケストラである。台本編修も同様アラン・デントが受持っている。オリヴィエのハムレットを囲って「大いなる遺産」のジーン・シモンズ。シェイクスピア劇俳優のベイジル・シドニー及びノーマン・ウーランド、「双頭の鷲」の舞台に出演したアイリーン・ハーリー、「ミスター人類」の舞台にオリヴィエを助演したテレンス・モーガン、「ヘンリー五世(1945)」のフェリックス・エイルマー、ジョン・ローリー、エズモンド・ナイト及びハーコート・ウィリアムス、「逢びき」のスタンリー・ホロウェイ、その他ピーター・カッシング、アンソニー・クェイル、ラッセル・ソーンダイッ等が出演する。

1947年製作/155分/イギリス
原題または英題:Hamlet
劇場公開日:1949年9月10日

ストーリー

十三世紀のころとか、デンマークの王ハムレットは、庭園に眠っていて毒へびにかまれて亡くなったとか、王位は弟クローディアスが継ぎ、幾ばくもなくして前王妃ガートルードが新王と結婚した。前王の一子ハムレットはすでに成人しており、本来ならば王位に即くべきであろうが、新王にはばかってかと角の取さたも余り聞えない。王子ハムレットは一人憂愁に閉ざされ、あれほども父に愛されていた、が母が義弟と再婚してからは、彼は狂気じみた言行がある程である。重臣ポローニヤスの娘オフィリアに、王子が言寄っても彼女はその愛の言葉が本心やら戯れ言やら分らない。時しもハムレットの親友ホレーショがウイテンベルグから帰って来たが、彼の言葉でハムレットは父王の亡霊が、エルシノーア城の前の高台に現れると知り一夜亡霊と会って父は弟の為に毒殺されたこと必ず復しゅうをとげろと告げられる。かねての疑がいよいよ真実と知ったハムレットは復しゅうを決意するが証拠がない。そこで訪れた旅役者に「ゴンザゴ殺し」を演じさせると、王は見るに堪えず中止を命ずる。そしてポローニヤスにハムレットの本心を探らせると、ハムレットは間謀と思ってカーテン越しに刺殺す。父を殺されたオフィリアは悲しみの余り発狂した。ハムレットは王の命令でイギリスへ使者に赴いたが、王の奸計を知って引返すと、恋人オリフィアは川におぼれて死んでいた。父と妹を殺したのはハムレットと告げられて、ポローニヤスの一子レヤーチーズは王に願ってハムレットと御前試合を許される。クローディアスはレヤーチーズの剣尖に毒を塗り、さらに毒盃を用意する。レヤーチーズはハムレットと会って真実を知ると、試合をやめたいと思ったが、それもならず剣を交える。毒剣がカスリ創をハムレットに与えると、レヤーチーズは剣を取替え深傷を負いクローディアス王の奸計を告白して絶命する。ガートルード王妃は息子を死なせる罪を恐れて自ら毒盃を仰ぐ。ハムレットは一剣クローディアスを刺して復しゅうを遂げ、王位はノルウエイ王子フォーチンブラスに譲るとホレーショに後事を託して空しく息絶える。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第21回 アカデミー賞(1949年)

受賞

作品賞  
男優賞 ローレンス・オリビエ
衣装デザイン賞(白黒) ロジャー・ファース
美術賞(白黒)  

ノミネート

監督賞 ローレンス・オリビエ
助演女優賞 ジーン・シモンズ
作曲賞(ドラマ/コメディ) ウィリアム・ウォルトン

第9回 ベネチア国際映画祭(1948年)

受賞

ベネチア国際グランプリ ローレンス・オリビエ
ボルピ杯(最優秀女優賞) ジーン・シモンズ
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映画レビュー

4.0考えさせられる

2024年9月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

神の視線が抑止力なのな。オフィーリアがひたすら気の毒。/映画としては、舞台と映画のいいとこ取りでよかった。/『ゲアトルーズ』じゃん!教養がないと何事も新鮮で楽しい。

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ouosou

2.5あんまり面白くないな

2024年7月22日
PCから投稿

若い頃に3回ぐらい ハムレット 読んだから ストーリー 知り尽くしているし。あ、でも 黒沢の蜘蛛の巣城はそれでも面白いからやはりこれは 映画化に当たって工夫が足りなかったかな。 まあ 写真がすごいけどね

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タンバラライ

5.0もっと早く見たらよかった

2023年6月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

なぜ今まで見なかったのだろうか
どうにも見るには腰が重かった
お高くとまったメガネをかけたインテリが口にするようなそんな作品
いつまでもそう思い込んで疑わず出来るだけ近づかないようにしていたのですがもう無理だと気付きました
たんなる私個人の偏見にならないのです
ありとあらゆる多くの作品に影響を与えているシェイクスピアを、もうこれ以上無視は出来ない

いざ見てみるととても引き込まれるのです
この作品を語るには私はまだまだ薄すぎる
何を言っても上っ面の表面しか見ていないようになってしまうのです
まだシェイクスピアの作品はたくさんあります
もっと他のものも見てみたい

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カルヴェロ

4.0シェークスピア劇のオーソリティー、ローレンス・オリビエの模範的ハムレットの演劇映画

2021年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波

この作品は、かつてノーカットをNHKテレビで見学して非常に感動した記憶がある。15歳の頃だったか。しかし、ハムレット映画にはもう一つの優れた作品があり、それはグリゴーリ・コージンツェ監督、インノケンティ・スモクトゥノフスキー主演のソビエト映画である。これは一夜にして12歳の少年を映画の魅力の虜にした。このスモクトゥフスキーのハムレット像が心に焼き付いていた為、ローレンス・オリビエのハムレットには、共感よりも芝居の巧さに感動したというのが正直なところ。それで改めて映画館で鑑賞すると、上映時間2時間半の長尺が1時間ぐらいにしか感じなかった。オリビエ演出の完成された演劇映画の集中力のある作劇の中に取り込まれ、操られたような没入感があった。殆ど屋内シーンのセット撮影による、演技を引き立たせる照明の練られた演出設計と、そのモノクロ映像の美しさ。全体的に暗いトーンで統一した世界観のカメラワークが素晴らしかった。シェークスピア演劇の模範的演出と演技の映画作品に隙は無い。唯一、オフェリアが川で溺れ死ぬシーンと埋葬のシーンの屋外の自然な場面になると、描写の迫力が削がれるのが惜しいと感じた。
それにしても、舞台となるエルシアノ城の雰囲気を醸し出すイメージはどうであろう。不気味で神秘的で如何にも13世紀の感じがする。霧のシーンの映像美も卓越している。演劇の面白さと舞台空間が一つに溶け込んだ映像作品だった。演技面では、オリビエと共にベイジル・シドニーの重厚な悪徳演技が秀逸。

  1976年 11月12日  池袋文芸坐

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Gustav

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