トレインスポッティングのレビュー・感想・評価
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イギリスのスコットランドという地方の若者と、日本の氷河期世代と何ほどの違いがあるというのだ
原題の意味は、鉄道の些細なことが気になる連中のこと
つまり鉄オタ連中という意味あいだろう
しかし、本作には鉄道のシーンはあるにはあるが、そんなことには全く関係ない
では何故、鉄オタ?
真面目でダサい連中という意味合いで使われているのだと思う
でもそんなダサい連中が、実は人間らしい人生を手に入れているといいたいのだろう
不条理だとやっかんでいるタイトルなのだと思う
ラストの台詞を引用する
これで終わりにして、まともになり、人生を探そう。ずっと探し求めていた、あんたと同じような人生を
この「あんた」とは誰のことだろう?
鉄オタ連中のような真面目でダサい普通の暮らしを、普通の人生を送る人々のことだ
あなたのことかも知れない
そして続く言葉はこうだ
仕事、家族、大きなテレビ、食器洗い機、車、CD、電動缶切り、健康、低コレステロール、歯の保険、住宅ローン、遊び用の服、バッグ、スリーピースのスーツ、DIY、クイズ番組、ジャンク・フード、子ども、公園に散歩、9時から5時、ゴルフ、洗車、セーター選び、家庭的なクリスマス、年金、税控除
彼は、そんなものくだらないと言っているのだろうか?
否、違う!断じて違う!
そこを間違えると本作の意味が何も伝わらない
欲しいのだ、憧れているのだ
そんなもの彼には手に入らないと諦めていることだからだ
普通の人間らしい暮らしや退屈でも幸せな人生を手に入れたいという、火の出るような強烈な渇望の言葉なのだ
本作冒頭のレイトンの独白も思い返そう
人生を、仕事を、キャリアを、家族を求める
クソでかいテレビを、食器洗い機を、車を、CDプレーヤーを、電動缶切りを求める、健康を、低コレステロールを、歯の保険治療を求める
固定金利の住宅ローンを、マイホームを、友だちを求める
遊び用の服を、バカ高級な生地のスリーピースのスーツを求める
日曜日の朝にクソDIYをして過ごすことを求める
カウチに座って、ジャンク・フードを口に運びながらくだらないTV番組を見ることを求める
腐った体をみじめな家でムダに過ごすことを求める
未来を求める
人生を求める
具体的で詳細なのだ
身をよじるほど強烈に憧れて渇望して、どうしても手に入れたい、実現したいことだからだ
だが続く台詞はこうだ
どうして、こんなことを求めるんだ?
俺は求めない人生を求めることを選んだ
何かほかのことを
何でかって?理由なんてないさ?
ヘロインをやれば、理由なんていらない
これは諦めの言葉だ
果てしない絶望がそう言わせているのだ
だからヘロインでその渇望を紛らわせるしかないのだ
未来への不安、老後の自分の末路への不安
そんなものをかき消すためにそれが必要なのだ
求めない人生を求めることを選んだ?
鉄オタみたいなダサい連中になりたくなかったと、真面目に勉強もしなかったことを格好つけて粋がっているだけだ
自分もそのくちだった
麻薬の禁断症状の強烈な描写がなぜ、これでもかと執拗に描かれるのか?
それは、この普通の人々の、普通の暮らしや人生を死ぬほど渇望しているのに、普通の努力ではどうしても手に入れられない
それほどの渇望のメタファーなのだ
高卒なのに、一流大卒と偽って就職面接を受けるシーン
そいつのデタラメなダメ男の失業手当の獲得テクニックを紹介するだけのシーン?
違う
これは一度脱落するともうどうにも浮かび上がれないということを示しそうとしているシーンなのだ
彼のたわごとこそ真実の吐露なのだ
90年代中頃の英国
イギリスのスコットランドという地方の若者と、日本の氷河期世代と何ほどの違いがあるというのだ
非正規のワーキングプア
だから結婚もままならない
一体、自分の老後はどうなってしまうのだろう?
先の事を真面目に考えれば考えるほど絶望してしまう
日本には麻薬はない
あるのは、ネット、ゲーム、アニメ・・・だ
だから、そこに溺れていくのだ
禁断症状が怖くてさらに泥沼に転落していくのだ
そうした若者が、自暴自棄の生活から抜け出る道を見つけたのが本作の結末だ
生きていくのさ、未来を見すえて、死ぬその日まで
犯罪でもなにが悪い
彼にとっては、初めて普通の人間らしい暮らしや人生を手に入れられるチャンスだったのだ
気がつけば、この世代ももう40代半ば
レイトンのような道が見つからなければ?
この麻薬の禁断症状のような、人間らしい人生を手に入れられなかった苦しみを、他の人間にも味あわせてやりたい
そう考える人間もいるかも知れない
そのときジョーカーは生まれるのだろう
イギリスではこのような失われた世代を真正面から描いた傑作が撮られた
では、日本にそんな作品はあるのだろうか?
暗澹たる思いだ
日本では氷河期世代は映画界からも見捨てられ、金づるとしかみられていなかったのだ
もしかしたら本作に一番近い日本映画は「さようなら全てのエヴァンゲリオン」だけかも知れない
クールなイギリス映画を代表する作品
久しぶりに観返したが、いつ観ても色褪せないハイセンスなカルチャーと音楽がかっこいい。あの時代を象徴している。
軽やかでアイロニックななかに、しっかり人生において何を大切にするかという価値観のテーマも忍ばせている。
ドラッグの恐ろしさを幻覚の映像体験で表現するダニー・ボイル監督の演出が光る。
怒れる若者のイギリス映画の新たな秀作
近年イギリス映画が面白い。質的にも娯楽的にも水準の高い作品が並んでいる。このダニー・ボイル監督作品も、描かれている内容はハチャメチャな若者の自堕落な生活なのだが、表現の仕方に新しいタッチと面白いモンタージュがなされ、映画として大変楽しめる。例えば麻薬中毒の幻覚描写を沈むベットで視覚的に見せるユニークさはどうだろう。昨年来ミニシアターでヒットを続けたことは、非常に喜ばしいことである。良い映画とは言えないかもしれないが、映画表現の新しさに挑戦するイギリス映画の尖がった才能がある。この面白さは大いに認めなければならない。そして何より、出演している役者たちの際立つ個性と真面目な演技を評価しなければならない。
1997年 11月10日
幻覚を見ているシーンが印象的
ドラッグにハマってしまった青年たちの映画。
ストーリーは若者向けで様々な欲望や人間関係を描写している。
印象的なのは依存に苦しんでいるシーンで幻覚を見ているところ。
ドラッグしたことないから知らないけどなんか異常にリアルだし、音楽が耳に刺さってパーティでもしている感覚になった笑
彩られ繰り返される怪快奇喜
ヤク中が主人公の話はごまんとあるがこの映画は特に鑑賞者をセンセーショナルな刺激で満たしていく。
ヤク中で自堕落な青年である主人公はクスリを通した人間関係に翻弄されていくが…
主人公の幻覚症状が非常に猟奇的で観る人を圧倒させる。
最後の"もうクスリは要らない"と満面の笑顔で鑑賞者側に歩んでいくシーンは痛烈な皮肉に感じて思わず笑ってしまった。
坊主のユアンマクレガー めっちゃかっこいい
ファッションとかもお洒落で映画の雰囲気を楽しむ感じの映画だった
テンポ良いし見やすいし手をつけやすい作品
友達におすすめの映画聞かれたらおすすめできる感じの映画かな
古典になりつつある
良い意味での”雰囲気映画”なんだと思う。
初めて見たのは僕が高校生のときで、「おしゃれな部屋に必ず貼ってあるポスターの映画」だった。
当時はナイーブさからドラッグにはしる、という部分がちょっと理解できてなかったかもしれない。
主題としては古くは”タクシードライバー”や、
最近だと”JOKER”なんかに通じてるような気もするし
なんやかんやこういう作品は不滅なのかな。
なんというかありがとう
断ちたくても断てない薬物。自分も薬ではないがゲームが断てないという共通点(笑)を持っている。
それでもそんな状況を変えようと頑張る彼に共感を覚えて反省した、俺も変わるぞと。
思ったのは自分のことが嫌いな人間は我慢ができないんだなと。それに気づかせてくれた本作は俺のバイブル決定!
てかこれ続編あるのかよ(笑)見るわ(笑)
やはり最高だった
この作品を再びスクリーンで観れる事がとても嬉しい、シネクイントありがとう!
96年の作品だけど、今観ても古さなんて微塵も感じません。
まずオレンジを基調としたアートワークがすっごく良かった。仕事柄かもしれませんが、かなりぐっときました。
イギーのオープニングから飛ばしまくってて、カメラワークも素晴らしい。
場面転換ではしっとりとした引きを入れるなど緩急も効いています。
キャストも皆クセが強くて彼らを見ているだけでも飽きないんですね。
そしてなんと言っても選曲とその使い方のセンス、すばらしいに尽きます。
そういえば当時ラジオでは「ラストフォーライフ」と「ボーンスリッピー」は1日に3回は流れてましたよ。
演出も色々なアイディアが見て取れるし、話のテンポも良いです。
薬物中毒な若者をテーマにしている為、ノリだけで突っ走っているクライムムービーみたく捉えられる事もあるかと思います。
しかし世界がエイズに怯える中、スコットランドで暮らす若者達の不安や生活の実態といった側面をしっかり描いていると思います。
作中「歳をとるとクソってことか?」「それが真理だ」と言ったやり取りがありますが、後に「T2」が出来た事を考えると相当皮肉が効いていますね。何だかニヤリとしてしましました。
ラストのアンダーワールドの入れ方も見事で、最初から最後まで楽しめる作品です。
もう観終わった直後に「T2」を見返したくなりましたよ。
それにしても久しぶりに観たけどやはり最高だった、今なおボイルの最高傑作と言って良いでしょうね。
不快感を催す
ドラッグに溺れる若者達の最底辺な日常を見せつけることが本作のテーマであるとしたら、合間に挟まれる執拗なまでに不潔な描写は鑑賞者もその中に引きずり込むためだろうか。
狙い通り不快になった。
ただ、それだけであった。
決してそこから反転してのカタルシスを得るわけでもなく終盤を迎える。
飾らない点を評価すべきか判断に迷うが、もう一度見たいとは思えないのが正直な感想だ。つまり、★2が限界である。
平凡な日常の豊かさ
ヤク中の男達がヒャッハーする映画。
特にこれといったストーリーがある訳ではないのに惹き付けられる。
ジョークなどには不謹慎ながら笑ってしまった。
とにかくスピード感と楽しさを極めた作品という印象。
メッセージ性があるとしたら、何気ない日常こそが豊かな幸せということか。
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