捕えられた伍長

劇場公開日:

捕えられた伍長

解説・あらすじ

「大いなる幻影」などで知られるフランスの名匠ジャン・ルノワールの遺作となった長編映画。第2次世界大戦下、敵軍に捕らえられたフランス軍の伍長を主人公に、自由を求めて収容所からの脱出を試みる主人公の姿を通して、生きる喜びや素晴らしさを軽妙なタッチで描いた人生賛歌の物語。

1940年6月、フランスはドイツ軍に敗れ、休戦条約を結んだ。ある捕虜収容所に抑留されている、伍長を含む5人のフランス兵士たちは、脱走を試みては失敗することを繰り返す。次第に仲間内にあきらめムードが漂いはじめ、5人の絆も次第にほころびていくなかで、伍長だけはくじけていなかった。部下のパテルとともに6度目の脱走を試み、ついに2人は輸送列車に忍び込むことに成功するが……。

出演は「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」のジャン=ピエール・カッセル、「はなればなれに」のクロード・ブラッスール。2024年、ジャン・ルノワール生誕130周年にあわせた特集上映「ルノワール“新しい波”」にて、4Kレストア版でリバイバル公開。

1962年製作/107分/フランス
原題または英題:Le caporal epingle
配給:アイ・ヴィー・シー
劇場公開日:2024年11月1日

その他の公開日:1988年1月9日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

5.0自分の自由を奪うのは自分なのか

2025年5月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

住めば都という言葉がある通り、人は自らを環境に適応させていくものだと思う。収容所に入れられた直後は脱走する事ばかり考えていても、やがてその中に居場所を見つけて落ち着いていく。監視する側もそこを理解していて、飴と鞭を上手く使い分けている。

その様な環境の中で、主人公は何故それ程までに脱出しようと思い続けられたのか。そんな事を考えていると、少し前の香港での大規模な抗議活動の事を思い出された。そして、この収容所というものは自分の身近に有るのでは無いか。ひょっとしたら自分も何か(学校?会社?家庭?)に収容されているのではないか、その善悪は等と様々な事を考えさせられた。そして、その時点で自らの手で自らの自由を奪っているのではないかという気がしてきた。

最後に出てくる農夫の姿に、監督の人に対する愛情と信頼を感じた。

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komasa

5.0自由を求める脱走、しかし自由とは何か。

2024年11月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1962年。ジャン・ルノワール監督。第二次大戦下、ドイツ軍に降伏したフランス軍の捕虜は収容所から出られず、強制労働をさせられていた。そんな中、伍長とその仲間たちは何度も脱走を企てては失敗して懲罰を受ける。脱走を諦めて収容所内でのそれなりに豊かな暮らしに満足しかける伍長だったが、という話。
脱走→逮捕→連れ戻し→脱走、という形を繰り返しながら、逃走の仕方も捕まり方も随分とちがっていて、見ているうちにその「違い」がだんだん面白くなっていく映画。伍長と仲間たちとの「違い」もだんだん見えてくるので、それも面白い。コミカルな場面や恋愛の場面も的確に盛り込まれている。
コントラストが明確になって、雨粒までくっきり見える。もっとも、人物のクローズアップがシャープですばらしいのは4Kだからというわけではないだろう。親友の決死の脱出を時間をカウントすることで確認しようとする伍長の表情。すばらしい。
あれだけ脱走したがっていた伍長が最後に幸せそうに見えないところからもわかるが、収容所から逃げれば自由になるわけではない「苦い認識」がしっかりと描かれている。自由を求めて試行錯誤しながら、そもそも自由とは何かを考えざるをえないという苦さ。大人の映画だ。

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