デッドマン・ウォーキング

劇場公開日:1996年8月3日

解説

死刑囚とカトリックの修道女の心の交流を綴ったシリアス・ドラマ。実際に何人もの死刑囚に精神アドヴァイザーとして付き添った、シスター・ヘレン・プレイジョーン本人と、彼女の同名著書(邦訳・徳間文庫)に感銘を受けた、「依頼人」の演技派女優スーザン・サランドンがヒロインをつとめ、彼女の伴侶で「ショーシャンクの空に」などの個性派俳優ティム・ロビンスが「ボブ・ロバーツ」についで監督・脚本を手がけ、夫婦共同で映画化。サランドンは通算5度目のノミネートだった本作で、アカデミー主演女優賞をみごと受賞した。対する死刑囚には「カリートの道」のショーン・ペンが扮した。製作はロビンスと、「クロッカーズ」のジョン・キリク、「ナイト・オン・ザ・プラネット」のラッド・シモンズ、エグゼクティヴ・プロデューサーは「ボブ・ロバーツ」「未来は今」のティム・ビーヴァンとエリック・フェルナーのコンビ。撮影は「ショーシャンクの空に」のロジャー・ディーキンス。音楽はロビンスの実弟で、「ボブ・ロバーツ」のデイヴィッド・ロビンスがスコアを担当。主題歌は「フィラデルフィア」でアカデミーとグラミーの両賞を受賞したブルース・スプリングスティーンの書き下ろし、『デッドマン・ウォーキン』。劇中のエディ・ヴェダー&ヌスラット・ファティ・アリ・ハーン(2曲)、ジョニー・キャッシュ(1曲)の挿入曲も印象的。美術は「エド・ウッド」のリチャード・フーヴァー、編集は「リアリティ・バイツ」のリサ・ゼノ・チャージンで、二人は「ボブ・ロバーツ」にも参加。衣裳は「ギルバート・グレイプ」のルネ・アーリック・カルファス。共演は「ミセス・ダウト」のロバート・プロスキー、「クール・ランニング」のレイモンド・J・バリー、「フルメタル・ジャケット」「セブン」のR・リー・アーメイほか。

1995年製作/122分/アメリカ
原題または英題:Deadman Walking
配給:日本ヘラルド映画配給(アスミック=日本ヘラルド映画=テレビ東京提供)
劇場公開日:1996年8月3日

あらすじ

ルイジアナ州ニュー・オーリンズ。セント・トマスの希望の家で働くシスター・ヘレン(スーザン・サランドン)は死刑囚、マシュー・ポンスレット(ショーン・ペン)から何度か手紙を受け取る。マシューは相棒と二人でカップルを惨殺し、州立刑務所に収監されていた。死刑囚と会うのは初めての経験だったが、ヘレンはマシューの求めに応じ刑務所を訪れ、彼と面会する。傲慢で冷酷そうなマシューは印象こそ悪かったが、共犯者が無期懲役なのに、不利な証拠が重なって彼だけ死刑が確定したという事実に彼女は疑問を持つ。しばらく後、マシューから死刑執行の日が決まったという焦りの電話を受けて、ヘレンは特赦審問会請求のため弁護士ヒルトン・バーバー(ロバート・プロスキー)に協力を依頼。ヒルトンの説得により、彼らはマシューの母親(ロバータ・マックスウェル)を審問会で証言させ、万座の同情を得ようとしたが、努力も空しく嘆願は却下。残る手段は知事への直談判だけとなり、ヘレンは彼の精神アドヴァイザーとなることを承諾。ところが彼女はそこで、居合わせた被害者の遺族から非難を受ける。ショックを受けたヘレンは、殺されたカップルの青年ウォルターの父親デラクロワ氏(レイモンド・J・バリー)、娘ホープ・パーシーの両親(R・リー・アーメイ、シリア・ウェストン)を相次いで訪問。愛する家族を惨殺され、怒りと悲しみをあらわにする彼らを前に、彼女には言葉がない。そんな執行の日が近づく中、ヘレンはマシューの精神アドヴァイザーとして、彼と毎日数時間をすごし、彼の心に少しでも近づこうと努力を続ける。マシューは人種差別発言や犯行否認を相変わらず繰り返し、ヘレンを憤慨させたりしたが、そんな彼も家族には思いやりをみせ、ヘレンには心を開きはじめていた。死刑当日。刑の執行の午前0時まで、知事への嘆願の返事を待ち続ける二人。結局、上訴審は却下。死にゆくマシューに勇気を与えられんことを……と、ヘレンは神にひとり祈る。最後の面会。マシューはヘレンからあずかった聖書に名前と日付を入れ、彼女に渡す。マシューはヘレンに、犯行の事実を告白した。「ウォルターを撃って殺したのは自分だ。レイプは自分もしたが、ホープを刺したのは相棒だ。今は二人の死に責任を感じる。昨夜は二人のために祈った」と。午前0時数分前。マシューは迫りくる死の恐怖のためかすすり泣いた。そしてついにその時が。ヘレンは護送されるマシューの肩に手をかけ、最後まで付き添う。処刑台に縛られたマシューの最後の言葉は、処刑に立ちあった被害者の遺族への謝罪だった。マシューの葬儀。彼はヘレンらの教会の墓地に葬られた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第68回 アカデミー賞(1996年)

受賞

主演女優賞 スーザン・サランドン

ノミネート

監督賞 ティム・ロビンス
主演男優賞 ショーン・ペン
主題歌賞

第53回 ゴールデングローブ賞(1996年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) ショーン・ペン
最優秀主演女優賞(ドラマ) スーザン・サランドン
最優秀脚本賞 ティム・ロビンス
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映画レビュー

3.5【”死刑執行前に初めて口にした謝罪の言葉。”今作は死刑制度の是非について観る側に問いかけて来る作品である。】

2025年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■シスター・ヘレン(スーザン・サランドン)は、死刑囚のマシュー・ポンスレット(ショーン・ペン)から文通相手になってほしいと依頼される。
 彼は10代のカップルを惨殺した容疑で死刑を求刑されていた。マシューと文通を始めたヘレンは、面会を重ねるうちに心を突き動かされるようになる。

◆感想

・最初に書くが、私は死刑制度賛成論者である。死刑制度は凶悪犯罪抑止にはならないと思っているが、それ相応の行為をした者には、自らの命で償わさせるのが当たり前だと思っている。

・但し、それは司法制度が正しく機能している事が前提であり、昨今の様に冤罪が次々に発覚すると少しその思いが揺らぐのも事実である。

・私は、大学の時に”疑わしきは罰せず”という司法制度の大原則を叩き込まれたが、今作ではマシュー・ポンスレットは、何の罪もない若き男女を殺害している。それも非道極まりない方法で。

・今作は死刑囚の精神アドバイザーを務めたヘレン・プレイジョーンによる著書を映画化したものだそうであるが、そこには死刑制度反対とも賛成とも主張はない。
 只、自分の行いの報いを受けるマシュー・ポンスレットと交流を持つシスター・ヘレンの姿が描かれるのである。淡々と・・。

<今作は、死刑制度の是非を観る側に考えさせる作品である。感想は人それぞれであろう。だが、私はもし愛する人が傷つけられたら、傷つけた奴は絶対に赦さない。死刑ではなく、自分の手で仕返しをすると思う。例え、それで自分が死刑になっても・・。>

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NOBU

4.0とても難しい

2025年7月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

死刑制度を題材に、さらに宗教的な映画なので感想がとても難しい。というより答は見つからない。
でも映画として面白かったです。

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光陽

4.0当然の帰結。もっと衝撃的な展開かと思ったが…ある意味こちらの方がよ...

2024年12月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

当然の帰結。もっと衝撃的な展開かと思ったが…ある意味こちらの方がより衝撃的。

死刑制度の是非。赦しのための宗教。
シスター、死刑囚、被害者、家族、それぞれの視点がとてもリアル。深く考えさせられる。
最後の死刑制度反対!みたいなセリフだけがやや余計だった気がする。

名優2人の競演もお見事、ティム・ロビンス監督恐るべしってところか。

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はむひろみ

4.0デッドマン=死刑囚

2024年11月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

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ゆい