地下鉄のザジ

劇場公開日:

解説

レイモン・クノーのベスト・セラー小説の映画化。「恋人たち」のルイ・マルが監督した喜劇で、脚色にマルとジャン・ポール・ラプノーの共同で、撮影はアンリ・レイシ、音楽をフィオレンツォ・カルピが担当。出演は主役の少女ザジに三百人の応募者から選ばれたカトリーヌ・ドモンジョ、ほかにフィリップ・ノワレ、ユベール・デシャン、アントワーヌ・ロブロ、アニー・フラテリニら。製作イレーネ・ルリシュ。

1960年製作/93分/フランス
原題または英題:Zazie dans Le Metro
配給:映配
劇場公開日:1961年2月16日

あらすじ

十歳の少女ザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)は母とともに生れて初めてパリにやってきた。母はザジを弟のガブリエル(フィリップ・ノワレ)にあずけると、恋人とさっさと消えてしまった。ガブリエル叔父さんはナイト・クラブの芸人だった。パリにあこがれるザジの目的は地下鉄に乗ることだった。その地下鉄がストライキで彼女を大変失望させた。叔父さんの友達で気のいい運転手シャルル(アントワーヌ・ロブロ)の車で家につき、美しい叔母さんのアルベルチーヌが出迎えた。翌朝、ザジは一人で部屋を抜け出し、一階で酒場を経営する家主チュランド(ユベール・デシャン)の目を盗み地下鉄の乗り場に行った。門は閉っていた。泣き出したザジのそばに一人の得体の知れぬ男が近寄った。ザジは男とノミの市に行ったり、レストランに入ったり、さんざんいいおもいをして、用がなくなるとすたこら家へ逃げこんだ。後を追ってきた男は叔母さんに色目を使って叔父さんにつまみだされた。ガブリエルはザジを連れてエッフェル塔に出かけた。叔父さんはそこで四人のドイツ娘からスターと間違えられた。帰り道、街角で話かけたエロ婆さんことムーアック未亡人に、またまたガブリエルは追いかけられる。そこに例の娘たちが現われ、彼をバスに乗せていってしまった。叫び声にかけつけた男は、今朝と同一人物のトルースカイヨン警官だった。警官は未亡人の車にザジと未亡人を乗せて、バスの後を追った。トルースカイヨンは未亡人をまいてアルベルチーヌのもとに行く。彼女は受けつけず、夫に衣裳をとどけた。シャルルが酒場の女店員マドと結婚するという。ガブリエルはレストランに結婚祝いの客たちを招待した。未亡人からドイツ娘、クラブの踊り子……。お祝いが始まり、やがて喧嘩騒ぎになった。ザジは疲れて眠りこんだ。乱闘の最中、警察官トルースカイヨンこと暗黒街の親分アラシッドが、部下たちに武器をもたせてやってきた。レストランは阿修羅の巷と化した。ガブリエルはザジを抱えて地下鉄に避難した。とたんにストの解決した地下鉄が動き出した。ザジはまだ眠っている。翌朝--ザジは約束の時間に叔母さんと母の待つ駅に行った。母親は地下鉄に乗ったかと聞いた。ザジはただ“乗らない、疲れちやった”といった。それがパリヘきた彼女の感想だった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

1.5総合:30点 ( ストーリー:30点|キャスト:65点|演出:40...

2025年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

総合:30点 ( ストーリー:30点|キャスト:65点|演出:40点|ビジュアル:65点|音楽:65点 )

 童話か子供向けアニメの喜劇を実写化したような作品。

 登場人物の動きを楽しむものだろうが、内容は無きに等しいし演出も古い。最後のほうはまだ幼いザジに相応しくない場面ということなのか彼女を眠らさせたままにしてドタバタ劇が続く。このころには自分はすっかり興味を失っていた。
 幼い子供が観ればそれなりに楽しめるかもしれないし、部分部分に芸術的な表現もあるしこの時代なりの斬新さもあるが、現代の大人が観るには退屈だった。

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Cape God

0.5監督の名前だけで興行すべきでない。

2023年3月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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アンドロイド爺さん♥️

4.0シュルレアリスムタッチのスラップスティック・コメディにみるルイ・マル監督の斬新さ

2023年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「死刑台のエレベーター」「恋人たち」のルイ・マル監督第三作目。緊張感と深刻さが勝るサスペンス映画と恋愛映画に続いて発表した作品は、映画のそれもサイレント映画の娯楽作品であったドタバタ喜劇のスラップスティックを1960年代に再現した斬新さに、制作当時27歳のマル監督の純粋な映画愛が溢れている。しかも主人公を10歳の少女ザジにして、大人顔負けの怖いもの知らずな子供の自由奔放な行動をカルカチュアした背景には、彼女を取り囲む大人社会への痛烈な批判も感じられる。単なる映画遊戯に終わっていないところが、この若きフランス人監督の驚くべき才能である。演出は他愛もないように見えて計算されていて、例えばエッフェル塔のシーンはシュルレアリスムタッチの技巧を凝らしたカメラワークが楽しめる。映画好きには堪らない、マル監督の野心作であろう。

役者もいい。コメディの演技ほど俳優の演技力が試されるものは無い。屈託のない笑顔を振りまくザジ役のカトリーヌ・ドモンジョは、嬉々として演じているのが自然であり、彼女だけの独特な個性も充分表現されている。「ニュー・シネマ・パラダイス」や「イル・ポスティーノ」の名優フィリップ・ノワレは、30歳には見えない貫禄と演技で謎めいたガブリエル伯父さんを演じていて流石の存在感。登場人物の中でひとり異様にして、能面の如く表情が変わらないアルベルティーヌのカルラ・マルリエの凛とした美しさ。殆ど家の中にいたアルベルティーヌが、夫の衣装を届けるために夜のパリを移動するシーンがいい。脚本と演出の巧さが光る。スラップスティックを全開に楽しませてくれるのが、ザジの冒険に同行するトルースカイヨンのイタリア人俳優ヴィットリオ・カプリオーリ。この紳士と絡むムアック未亡人のイヴォンヌ・クレシュの悲哀と痛さも印象に残る。

ルイ・マル作品の中で、映画を創りながら監督も楽しんでいる様に感じられる点では「ビバ・マリア!」に近い。また、少女が持つ女の怖さを描いたところは、ブルック・シールズ主演の「プリティ・ベビー」と似ている。後期の代表作「さよなら子供たち」から分かるように、裕福な家庭で恵まれた人生を送ってきたルイ・マル監督には幼少期のトラウマがある。「恋人たち」「鬼火」「ルシアンの青春」など、大人の視点で人間の生き方を追求した真面目さと厳しさの基本には、子供時代の人間の育ち方への関心の高さが窺われる。

「死刑台のエレベーター」のモダンさは一目瞭然だが、この映画の真剣な遊び方も粋でありモダン的である。そんなルイ・マル監督は、1962年の29歳の時、日本に初来日して京都を満喫している。淀川長治さんの話では、金閣寺や平安神宮の素晴らしさに感動して、その美しさはイタリアのフィレンツェだって及ばないと絶賛していたという。純日本式旅館に一週間以上滞在して、清水寺と法隆寺の美しさなどに魅了されたとある。日本の監督では、溝口健二と黒澤明が好きというのも、興味深い。これら古都の美術への関心の高さがあって、作家としての感性、創作における新しい試みが生まれるのではないかと想像する。「地下鉄のザジ」は、マル監督のモダンさが最も発揮された異色のバーレスク映画である。

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Gustav

2.0得体のしれない展開

2023年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

カトリーヌドモンジョ扮する10歳のザジはパリに来ておじさんにあずけられた。ザジは地下鉄に乗りたかったのにストだった。
ちょっと得体のしれない展開だったね。ナンセンス映画かな。

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重

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