脱獄囚(1957)

劇場公開日:

解説

石川年の『囮』を原案に「空の大怪獣 ラドン」の共同脚本執筆家の一人、村田武雄が脚本化、「危険な英雄」の鈴木英夫が監督したスリラー・ドラマ。撮影は「裸の町」の玉井正夫。主演は「夕凪」の池部良、「大学の侍たち」の草笛光子、「不良少年(1956)」の佐藤允、新人家田佳子、それに尾上九朗右衛門、河内桃子。1957年11月26日より全国公開。

1957年製作/86分/日本
原題または英題:The Decoy
配給:東宝
劇場公開日:1957年11月5日

ストーリー

午前一時二十分、田畑、戸川、山下という死刑囚三人が刑務所を脱走した。この事件の担当と決ったのが山下を挙げた星野警部。脱獄囚は隠匿していた金と一挺のピストルを分配して三方へ散った。午前九時、警官のピストルに傷ついた田畑が逮捕された。しかし一挺のピストルは山下の手にあり、それで山下に死刑を求刑した検事の奥さんが殺された。星野は、山下の見逃してくれという頼みも空しく彼の情婦千代が逮捕され自殺を遂げた時「覚えていろ!今に思い知るぜ」といった山下の叫びを思い出した。彼が狙っているのは女房なのだ。星野は妻の節子を囮に使うことに意を決した。節子が居ないと分れば山下が来ないからだ。午後一時三十分、戸川が逮捕された。午後四時三十分、山下は星野の家を探しあて、庭の木蔭に潜伏して機会を狙った。警察は附近に警戒網を敷いたが節子を護るのは星野一人である。山下は隣家の主婦克子と、木崎刑事を捕え、克子の家の二階の窓から節子を狙っていた。隣家の二階にぶらさがっている布地に不審を抱いた節子は隣家へ電話をかけた。克子は山下にピストルをつきつけられ命ぜられるまま応答した。その時そこに横たわっていた木崎が「山下はここにいる」と絶叫して倒れた。山下は克子の娘俊子にピストルをつきつけ、節子を外に呼び出すことを克子に命じた。星野は節子に山下を外へおびき寄せることを命じ、節子はそれを実行した。が、星野の計算は狂い山下は星野宅に侵入した。山下と星野の対決となった。途端に節子が電源を切った。暗闇の中に一発の銃声。山下が倒れたのは出獄して二十時間、午後十時二十分のことであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

映画レビュー

5.0凶悪な脱獄者との息詰まる攻防と切れ味

2022年3月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

鈴木英夫特集にて鑑賞

主演は池部良ですが、のちの曲者俳優の佐藤允が準主演に初抜擢された鈴木英夫作品で、撮影が成瀬巳喜男と名作を連発している玉井正夫なのでそこも期待したが中々の出来栄え。

冒頭から10分で5人も殺す凶悪な脱獄死刑囚の佐藤允(ターミネーターも真っ青な速さ)迫力と相変わらずセリフが棒な藤田進が印象的

ちなみに死刑脱獄囚は3人で、一人は恐喝とテキ屋の罪で死刑囚に認定されたらしい。(そんなアホな)

工場の警備員を殺すシーンの陰影と光の使い方がとても見事な撮影と強烈な場面だがここを筆頭に全体的に映像などの照明と撮影が素晴らしい。

立て籠もった家での攻防戦も中々の迫力で、犯人を射殺して余り余韻なくパタと終わるのもイイ。

最近の作品に比べるとあっさりした印象で多少は変なところもあるが(女の人質は縛らないなど)向かいの家での息詰まる攻防は、ウィリアム・ワイラー監督の傑作『必死の逃亡者』を彷彿させて、類似点も多くておそらく元ネタだと思う。あちらほど深みは無いが面白い。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ミラーズ

他のユーザーは「脱獄囚(1957)」以外にこんな作品をCheck-inしています。