誰が為に鐘は鳴る(1943)

劇場公開日:

解説

アーネスト・ヘミングウェイ(「破局」)の同名の長篇小説を色彩映画化した1943年作品。B・G・デシルヴァが製作指揮し、「アパッチ族の最後」のサム・ウッドが製作、監督に当たった。脚色は「駅馬車(1939)」のダドリー・ニコルズ、撮影は「ネブラスカ魂」のレイ・レナハン、音楽は「旅愁」のヴィクター・ヤングの担当である。主演派「ダラス」のゲイリー・クーパーと「白い恐怖」のイングリッド・バーグマンで、以下エイキム・タミロフ、「情炎の海」のアルチュロ・デ・コルドヴァ、「ヴァレンチノ」のジョセフ・カレイア、「渡洋爆撃隊」のウラジミル・ソコロフ、本作品でアカデミー助演賞を得たカティナ・パクシヌーらが助演する。

1943年製作/170分/アメリカ
原題または英題:For Whom the Bell Tolls
配給:パラマウント日本支社
劇場公開日:1952年10月1日

ストーリー

1937年。内乱のスペイン北部では、アメリカのカレッジ教授ロバート・ジョーダン(ゲイリー・クーパー)が人民戦線派に投じて右翼のフランコに対するゲリラを行なっていた。彼に与えられた新任務は山間の峡谷にかかる鉄橋の爆破で、期限は3日後の未明と定められた。ジョーダンはアンセルモ(ウラジムル・ソコロフ)という同志のジプシーを連れ、山間に巣食うジプシーのゲリラに援助を頼むためその本拠を訪れた。ここの頭はパブロ(エイキム・タミロフ)という男で、かつては人民戦線派の闘士だったが、今では殺人に対する懐疑から闘士を失い、妻のピラー(カティナ・パクシヌー)や手下に牛耳られている有様だった。またこの本拠には、スペインのある市長の娘で、右翼にはずかしめを受けて救われたマリア(イングリッド・バーグマン)という娘もかくまわれていた。マリアは、ジョーダンを一眼みて情熱的な思慕を抱いた。ピラーはジョーダンの手相に死を予見して、2人の恋を成就させてやりたいと願ったが、ともすれば裏切りしそうなパブロの態度や、馬の調達などで、ジョーダンには恋に酔う暇は与えられていなかった。馬の調達を引き受けたジプシーの頭目エル・ソルド(ジョズフ・キャレイア)は右翼軍に包囲され、爆撃を受けて死んだ。ジョーダンはこれを見ても救けるわけにはゆかなかったが、パブロは恐ろしさのあまり鉄橋爆破用の機械を焼いて逃亡してしまった。若い2人の恋の夜も明けてついに当日の朝が来た。改心したパブロも馬を連れて戻ってきた。一隊は二手に分かれて警備隊の詰所を襲い、ジョーダンとアンセルモは手ずから鉄橋にダイナマイトを仕掛けて、敵戦車が通過する直前に爆破した。アンセルモは死に、一隊は敵の面前を駆け抜けて逃走しようとした時、一弾がジョーダンの足を打ち砕いた。死を悟った彼は、泣き叫ぶマリアを一行とともに送り帰させたのち、ひとり敵軍に向けて機関銃の引金を引いた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第16回 アカデミー賞(1944年)

受賞

助演女優賞 カティーナ・パクシヌー

ノミネート

作品賞  
男優賞 ゲイリー・クーパー
女優賞 イングリッド・バーグマン
助演男優賞 エイキム・タミロフ
撮影賞(カラー) レイ・レナハン
編集賞 シャーマン・トッド ジョン・F・リンク
作曲賞(ドラマ/コメディ) ビクター・ヤング
美術賞(カラー)  
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映画レビュー

3.0バーグマンの美しさ

2023年4月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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Bluetom2020

4.0恋するマリアを演ずるバーグマンの輝くばかりの美しさと弾ける笑顔に魅せられる

2022年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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Kazu Ann

4.0今を生きるために、命の炎を燃やせ

2022年1月5日
PCから投稿

上記がヘミングウェイ作品に共通するメッセージのように思う。

つい一月ほど前に本で読んだが、割と忠実に再現していた。

人を殺すことに躊躇するアンセルモの苦悩や、主人公ジョーダンに死に際の

逡巡などは、本の方が伝わってきた。。

映画では、山岳地帯の恋愛としか捉えられない方も多いと思う。

是非、本で読んでください。

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藤崎敬太

2.0若い頃の、主人公の彼女への別れの言葉への違和感が思い出されたが…

2021年12月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

NHKの放映戦略か分からないが、
「100分de名著」で
ヘミングウェイスペシャルが放映された後に
この作品の放映があったので
数十年ぶりかで鑑賞。
劇場ではなく多分以前もTVだったと思うが、
キスに鼻が邪魔になるとのエピソードや
ラストの主人公の機銃掃射の映像を
印象的なシーンの映画として記憶していた。

全般的には山岳ゲリラのリーダーの
動きに振り回される部分や、
別のゲリラグループの登場と戦い・全滅の
エピソードの必要性が分からなく、
総じて作品自体が冗長に感じ、
原作がどうなのかは分からないが、
上手い演出とは思えない作品だった。
キネマ旬報では誰からの1票も
入らなかったのは当然に思えた。

全般的には今回も同じ印象だったが、
特に、若かりし頃に違和感を感じたのは、
ラストで主人公の彼女に語る言葉だった。
確かに涙誘う台詞ではあるが、
「いつも君と一緒だ」や
「離れても心はひとつだ」では、
彼女の彼への想いが足かせとなって
彼女の将来の幸福獲得への
障害になるばかりではないかと、
若気の至りで当時は反発を覚えた。
ここはむしろ「君のことはもう眼中に無い」
とか、自分を忘れさせるための突き放す
言葉の方が彼女のためになるはずだ、と。

しかし、今回は迷いが生じた。
どんな酷い言葉だろうが、
それが彼の真意ではないと
彼女は悟るだろうし、
彼の優しい心に触れた彼女が、
それを糧に力強く生きていく
とも想像出来たので。

若い時とは異なる、
老齢の境地の成せる感性だったろうか。

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