大砂塵

劇場公開日:1954年10月27日

解説

「突然の恐怖」のジョーン・クローフォードが主演する1954年作色彩(トルカラー)西部劇。ロイ・チャンスラーの小説を「魔術の恋」のフィリップ・ヨーダンが脚色し、新人ニコラス・レイが監督した。撮影は「女性よ永遠に」のハリー・ストラドリング、音楽は「テキサス街道」のヴィクター・ヤングである。共演者は「アスファルト・ジャングル」のスターリング・ヘイドン、マーセデス・マッケインブリッジ(“All the King's Menでアカデミー助演賞受賞)、「夜歩く男」のスコット・ブラディ、「素晴らしき哉、人生!」のワード・ボンド、ベン・クーパーなどである。

1954年製作/アメリカ
原題または英題:Johnny Guitar
配給:リパブリック日本支社=NCC
劇場公開日:1954年10月27日

あらすじ

鉄道敷設が進行していた1890年代の西部。かつてはやくざだったが、思うところあって足をあらい、ギターを弾いて生計を立てる男ジョニー・ギター(スターリング・ヘイドン)が、アリゾナの山奥のある賭博場へやって来た。店の女主人ヴィエンナ(ジョーン・クローフォード)は金銭に執着する意志的な女性。ジョニーが着いた夜、昼間起こった駅馬車襲撃の容疑者キッド逮捕に協力せよと、殺された男の娘エマや保安官たちが来た。しかしヴィエンナはこれを拒絶し、折から現れたキッドとジョニーのギターで踊りはじめた。憤慨した保安官は3人に24時間以内に退去を命じた。翌日キッド一味は銀行を襲ったが、エマはこの事件にヴィエンナとジョニーも関係しているといいふらした。その夜、エマは自警団を組織してヴィエンナを追い、保安官以下双方に死者が出た。自警団はヴィエンナの店に火をつけ、ヴィエンナは危いところをジョニーに救われてキッド一味の隠れ家に逃れた。そして追って来たエマとヴィエンナの一騎打は一瞬早くヴィエンナの勝となった。退去猶予の24時間がきれようとするころ、新生活を求めて谷を去るヴィエンナとジョニーの姿が見られた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0 最も硬派でプラトニックな暴力に満ちた映画

2025年9月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

プラトニックな暴力を描くには男より女が適している。これは差別ではない。女と女の多くの男を巻き込む代理戦争だ。
冒頭の小粋な雰囲気はどこへやら。中盤から終盤にかけて目も当てられぬほどの人間臭い惨事。
本作は現代の人間にとって、特にアメリカ人に見せると移民映画と言われそうだ。しかし、多くの移民映画がそうであるように、本作は人間の不寛容さ、怖れ、想像力の欠如がいかに滑稽かつ残虐なのかを描き切った!素晴らしい!!
独特な編集や間の取り方は見たことのない魔法だった。冒頭の逆光の馬と人のショットは息を呑ます美しさ。なぜか妙に絵画的で、しかも演技は演劇的な面白さに満ち、音楽的な愉快さもありながらどうしようもなく映画だった。
一生忘れたくない、忘れられない映画だった。

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悠

3.5 哀愁のメロディが有名な異色西部劇

2025年5月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

原題のタイトルロールであるジョニー・ギターは主人公ではなく、狂言回しのサポーティングロールです。

主役はジョーン・クロフォード扮する酒場の主人ヴィエナ。貫禄の演技、冒頭のパンツルックがとてもカッコいい。まさに彼女のための映画。

敵役はマーセデス・マッケンブリッジ扮するエマ。ヴィエナとは土地利権、恋のさやあて、兄の死の復讐(これは冤罪)と対立関係にあり、吐き捨てるような台詞回しに激しい憎悪を感じます。

ただその一方で男性優位のこの時代に、女性同士の激しい負のエネルギーの連帯のようなものを微かに感じます。

最終的にはこの二人の一騎打ちになるのですが、取り巻く双方の集団の人物描写がかなり丁寧になされます。ヴィエナ側の悪党四人組はそれぞれにキャラがたち、やがて仲間割れに至ってしまいますし、エマ側の自警団はエマに翻弄され、魔女狩り的暴挙に走りますが、それでも少数の穏健派がいるところにリアリティがあります。

「誰かを吊るしたいだけなのよ」というような、赤狩りを暗示させる台詞も出てきて、政治的意味合いも多分にあります。

さらにシャンデリアとピアノ演奏、燃え上がる建屋、異世界への入り口のような滝などビジュアル的にもかなり凝っています。

いろいろな意味で異色の西部劇であることは間違いないです。

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sugar bread

5.0 女同士の戦い

2025年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1954年。ニコラス・レイ監督。鉄道敷設が行われようとしている小さな町。5年前に外からやってきて酒場をつくった女主人は、街の嫌われ者のダンシング・キッドと親しくしていることからもあって、古くからの住民と一触即発の状態。そこへ、女主人に招かれてやってきたギターを担いだ流れ者ジョニー・ギター。大胆なふるまいで争いに巻き込まれていくが、実は女主人のかつての夫であり、一流の銃の腕前からボディガードを頼んだのだった。やがて二人の愛が再び燃え上がる、、、という話。
これすばらしい。ダンシング・キッドを慕いながらそれを認められない町の有力者の妹エマの女主人への憎しみが主題。無実の罪を女主人に押しつてリンチにあわそうとしたり、酒場に火を放ったり、キッドの仲間たちと謀って女主人を追い詰めたり。この憎しみが自らの認めがたい恋から発してるのがおぞましい。最後の女二人の決闘は女主人のジョーン・クロフォードによって変更された脚本らしいが、こうなるほかないと思わせる。
これでもかと高低差を利用したカメラ位置、ロケ撮影で水も火も土煙もふんだんに盛り込み、主人公の衣装は色彩豊かでかつバラエティに富んでいる。因縁を解き明かす前半は会話が多く、後半は次々とアクションが起こる。とにかくすごいというしかない映画。

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3.5 どことなくヨーロピアン

2024年4月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

制作年代からしても、いかにも西部劇ではない。灯りを付けるシーンが印象的。

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ouosou