セブン・イヤーズ・イン・チベット

劇場公開日:1997年12月13日

解説

神秘的な禁断の地チベットを舞台に、若き日のダライ・ラマと伝説の登山家の魂の交流を描いた、ロマン溢れるヒューマン・ドラマ。オーストリアに実在した世界的な登山家ハインリヒ・ハラーの実体験に基づく同名著書を、「愛人/ラマン」「愛と勇気の翼」のジャン=ジャック・アノーの監督で映画化。脚本は「プリンス アンダー・ザ・チェリー・ムーン」のベッキー・ジョンストン、撮影はロバート・フレイズ、音楽は「スリーパーズ」のジョン・ウィリアムズで、チェロ演奏は世界的なチェリストであるヨーヨー・マ。主演は「スリーパーズ」「デビル」のブラッド・ピット。共演は「恋の闇 愛の光」のデイヴィッド・シューリス、「エグゼクティブ デシジョン」のB・D・ウォン、「ライジング・サン」のマコ、本物のダライ・ラマの5歳年下の妹であるジェツン・ペマほか。第10回東京国際映画祭に出品された際、中国政府が抗議のため、出品作品を上映中止にした事件も話題に。

1997年製作/136分/アメリカ
原題または英題:Seven Years in Tibet
配給:松竹富士=日本ヘラルド映画
劇場公開日:1997年12月13日

あらすじ

1939年秋、ナチス統制下のオーストリア。有名な登山家ハラー(ブラッド・ピット)は身ごもった妻イングリッド(インゲボルガ・ダプクナイテ)も顧みず、彼は同国人のペーター・アウフシュナイダー(デイヴィッド・シューリス)と共に、ヒマラヤ山脈の最高峰、ナンガ・パルバットを目指して旅立った。幾多の危機を乗り越えながら、彼らの探査行は続けられたが、思わぬ雪崩によって断念せざるを得なくなる。その頃、第二次大戦の戦火は日増しに激化し、情勢はハラーたちにとって思わぬ方向に進んでいた。彼らはイギリス軍のドイツ宣戦布告によってイギリス植民地のインドで捕らえられ、戦犯の捕虜収容所に送られてしまう。ハラーは何度となく無謀な脱走を試みるが、すぐに連れ戻される。そんなある日、故国に残したイングリッドから離婚届けが届いた。自己中心的な生きかたをしてきたハラーにとって、初めて味わう大きな悲しみと挫折だった。彼は鉄条網に体をぶつけ、自らを傷つけることで、感情の捌け口を見いだそうとする。収容所生活も2年を超えた42年9月。作業員を運ぶインド人に化けた2人は、監視の目を欺いて脱出し、そこからハラーは単独で逃亡した。追跡を逃れて過酷な自然環境の中での逃避行を続け、ついにアウフシュナイダーと再会を果たした。足掛け2年に渡る長い逃避行を経て、45年、2人は外国人にとって禁断の地チベットのラサに辿り着いた。黄金宮に輝くポタラ宮殿。世界の屋根とうたわれるヒマラヤ山脈の壮大な眺め。宗教のもとに生きるラサの人々の純潔な精神。ハラーにとっては心洗われることの連続だった。犬のエサを盗み食いしようとした時に助けられた、政治階層のツァロン(マコ)はハラーたちのよき理解者となり、あらゆる援助の手を差し伸べてくれた。また、チベットの貴族ンガワン・ジグメ(B・D・ウォン)の特別な計らいで、若く美しい仕立屋ペマ(ラクパ・ツァムチョエ)の元を訪れ、洒落た服を仕立ててくれた。ハラーたちも、ラサの人々に大して自らの知識を惜しみなく与えた。そんな中、ハラーはダライ・ラマの母親(ジェツン・ペマ)の家に招待される機会を得、彼はそこで若き宗教指導者ダライ・ラマ(ジャムヤン・シャムツォ・ワンジュク)の家庭教師を依頼される。西洋文明に大して大きな興味を示すダライ・ラマに、ハラーは英語や地理などを教えながら、深い友情と魂の交流を重ねていく。二人の精神の絆が深まるにつれ、利己主義だったハラーは初めて無私の境地を体験し、心の変化をなし遂げていく。しかし、それまで微妙な関係にあった中国政府とチベットの間の緊張が、急激に高まっていく。中華人民共和国が成立し、突然やって来た中国全権大使(ヴィクター・ウォン)の要求に、ダライ・ラマは平和的な精神性を説き、宗教を否定する全権使節を怒らせる。ダライ・ラマは中国の侵略によってチベット人の多くの命が無残に失われる夢にうなされるが、不幸にもそれは現実となった。51年、激動の中でハラーはチベット滞在に終止符を打つ。ラサを去るにあたり、ペマと結婚してチベットに家を構えたアウフシュナイダーとの別れのバター茶を酌み交わすハラー。そして、自分の魂を変えてくれたダライ・ラマとの別れ。ダライ・ラマは、即位した説きから大事にしていたオルゴールをハラーに友情の証としてハラーに与え、愛用の望遠鏡で去っていく彼の姿をいつまでも見守るのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第21回 日本アカデミー賞(1998年)

ノミネート

外国作品賞  
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写真:AFLO

映画レビュー

3.0 平和な世とは

2025年9月14日
PCから投稿

ダライ・ラマ14世が当時即位したとき
すでに中国の脅威がはじまっていた。
今では香港、台湾がその脅威に脅かされています。
当時は情報網が発達しておらず
隣の国の動向すらわからなかったが
人の行き来があたりまえになり、ネットもあり
ジャーナリズムのあるこの世界でも
秩序が正されず混沌とした時代に陥っている。

世界平和と程遠い。

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to

5.0 いざチベットへ!

2025年8月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

知的

幸せ

見たことはある
そんな程度の記憶だった
私はまだ若く、他国の重大な事件などなんとも思わずただ流れる映像を見ていただけなのだろう
今なら理解できる、なぜ彼があそこで涙を流したのかも

映画『F1』を見てあらためてブラット・ピットの魅力にしてやられたことは言うまでもないのです
『フューリー』で見た彼も心をえぐってきた
なので彼の若い頃の作品をもう一度見たくなったのだった
運がいいのか偶然なのかテレビで放送していたので録画して見て見ました
見始めるまではなかなか再生ボタンを押せなかった
なんだか長そうだし重いテーマのようだしそもそも覚えていない
しかし見始めるとグイグイと引き込まれる
そして知るのだ
大国は大国なりの理由があるのだろうけどどうして土地を欲しがるのだ
もうたくさん持っているではないか
武力で捩じ伏せて乗っ取っていく、今もそれは続いている
日本は太平洋戦争で大敗しなかったらどうなっていたのだろう、今は国民自体が軟弱化してきていると言われているがもう戦争はしないのでそれでいい
ドイツも日本も戦争はもう懲り懲りなのだ
立てる腹があったら寝転んで横にするくらいでいいのだ
私も行ってみたい、チベットへ

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カルヴェロ

4.0 若き日のダライラマ14世が・・。

2025年7月21日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

単純

知的

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カル―ステ・ガルベンキヤン